2012年7月21日土曜日

大飯、志賀原発の活断層再調査:3.11を機に「合理的見地」から「最悪想定」へ意識が変わったのか


原発周辺の活断層の存在で再調査の動きが出てきた。3.11を機に「合理的見地」から「最悪想定」へ舵切りされたような感じだ。1980年代は原発ラッシュの「原発ありき」、「建設ありき」で、建設の障害になりそうな活断層の存在、評価があいまいに扱われたのではないか。それが3.11の大震災による原発災害で見直しが急がれるのは当然の結果だ。

それにしても活断層のずさんな判定には驚くばかりだ。朝日新聞(2012.7.18)によると、電力会社の設置許可申請でのずさんな調査、不十分な提出資料に原子力安全・保安院の専門家会議で「よく審査に通った」とあきれる意見も出たそうだ。

会合の結果、大飯原発は再調査、志賀原発も再調査し、活断層であれば廃炉の方向性も出てきた。泊原発も敷地内に11もの断層が走っていると言われ、検討するように指示されたらしい。

何故今問題になっているのか。

「活断層の上に原発の重要施設を建ててはいけない」という規定は、原発の耐震安全審査指針で示されている。2006年のことだ。

活断層でよく言われることは、断層の長さを短く見る、地表に出ている部分だけで地下あるいは海底への延長を無視する、活断層であるかどうかを曖昧にするなどが考えられる。電力会社も活断層になると原発建設もままならないために、いろんな理由を付けて否定する。

原子力安全・保安院の専門家会合で従来と180度異なる意見/評価が出たことに関して、専門家会合のメンバーが大幅に変わったのかと思い、原子力安全・保安院のHPで確認しようとしたが、わからなかった。同じメンバーではないのか。

そうだとしたら、専門家もいい加減だ。

3.11を機に、原発に対する安全の考え方も「合理的見地」から「最悪想定」に意識が変わったのか。3.11以前は何とか原発を維持しようとする「原発ありき」が前提にあったが、3.11以降は本来の安全確保に回帰したのだ。

国会事故調査委員会が先に指摘していたように、電力会社と規制当局のもたれあいが、活断層否定の根底にあったのではないか。

枝野経済産業相は、讀賣新聞とのインタビュー(2012.7.21)で、活断層と廃炉に言及し、従来の基準に照らし、建ててはいけないところに建っている場合は、保安院として廃炉を求めるのは当然との立場を明らかにした。

日本全国いたるところに断層が走っている。原発立地は大量の冷却水が取り入れられる海岸線が適しているのだろう。原発周辺の断層、活断層が連動し原発に大きな被害を及ぼすことは十分に理解できるが、その発生が明日なのか、数十年先なのか数百年先かは誰もわからない。

40年で廃炉を考えると既設原発も大丈夫なような気もするが、一度原発災害が発生すると取り返しにつかない結果になることは、今回の東電・福島第一原発事故で明らかだ。

原発の安全を確保すべく新しい原子力行政として原子力規制委員会の設置が決まっているが、肝心の5委員の国会同意が停滞しているという。原因は人事が国会で決まる前に、新聞報道で内容が流出したことに、自民党が反発しているというのだ。

原発の安全をつかさどる目的から余りにもかけ離れた理由で新しい規制組織が決まらないなんてもってのほかだ。

政治家はメンツを捨て「国民のための」政治を取り戻さなけれなばらない。

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