維新八策には共感できる面が多いが、その実現には不安を感じざるを得ない。耳障りのいい政策を掲げ、ポピュリズムに乗ってそれ相当の議席を確保できたとしても、民主党の二の舞になる可能性が大きい。ただ政権を取れる状態ではないために一抹の安心感はある。
国政に進出が画策されている維新の会(維新政治塾)の八策がメデイアで漏れ伝えられるようになった。既成政党の不甲斐なさをしり目に、上げ潮の大阪維新の会だが、その政策の内容が明らかになるに従い、賛同する面も大きいが、尻込みする面もある。
最近のメデイアの世論調査では、大阪維新の会の国政進出を56%の人が期待し(読売新聞2012.7.16)、比例代表の投票先でも維新の会が28%、民主党14%、自民党16%で圧倒的に人気がある(毎日新聞2012.6.3)。
この結果を見て、橋下大阪市長は「大変うれしい。ただ既成政党に対する不信の裏返しで、積極的な維新の会への応援ではないと思う」(毎日新聞6.4)と冷静は判断を示していた。
決して維新の会に追い風が吹いているとは限らないのだ。7月1日投開票のあった大阪府羽曳野市長選では首長選での推薦候補が初めて敗れる結果になった。29日には山口県知事選でも維新の会に近い関係者が出馬し、その趨勢が注目されている。
維新の会が大きな曲がり角に立ったのは、大飯原発再稼働に向けて反対だった橋下市長が、何を思ったのか条件付き賛成に回り、なし崩しで野田政権は再稼働に踏み切った。維新八策には「脱原発依存体制へ」が掲げられているが、理想論をぶち上げる一方で現実問題に直面した時、翻意しなければならない事態にも直面するのが現実の政治なのだ。
維新の会の八策には共感すべきことが多いが、特に若い世代は「自立、自己責任」が要求されていることを忘れてはいけない。
世代間格差では「同一労働 同一賃金」を問題解決手段に挙げている。企業は人件費削減に非正規雇用を強めているが、同一労働、同一賃金で正社員との格差を是正しようとしている。これは昔から提案されていたことであるが、最低賃金の改正だって抵抗が大きい。
年金システムも賦課方式から積立方式に変えることにより、年金保険料が自分の年金給付のためだけに使われ、年金不信も解消するというのだ。
生活保護も問題がある。務めて得る収入より生活保護の方が収入が多く、おまけに医療費までただなのだ。これでは公平さに問題がある。年越し村が社会現象になって以来、生活保護費が急増し、財政を圧迫するまでになった。貧困を食い物にする輩が増え、本当に保護されなければならない弱者の保護がないがしろにされている。
この医療費を自己負担させる改革が挙げられているが、既得権益者である医師会が反対しているという。医療費が只だからチョッとしたことでも医者に行く。医者はそれで儲かるというのだ。
日本を本当に変えようと思うと既得権益者の排除は欠かせない。財務省の権限を弱体化するためには歳入庁の創設が急がれるが、何故か民主党はマニフェストに掲げながら、歳入庁構想は消えて行った。修正合意でも自民党が歳入庁に反対したらしい。それはそうだろう、自民党の伊吹さんだって財務省出身だ。野田総理だって財務省に助けられてやっと政権運営やっているようなものだ。
特別会計の見直しもやらなければならない。国会の監視なしに官僚が思うままに使える会計などあってはならないものだ。民主党も主張していたが、今はどうなったか。
国家公務員の強固な身分保障など廃止した方がいいに決まっている。しかし、公労協を支持母体に持つ民主党では不可能だ。
統治機構の作り直しも課題だ。維新の会は首相公募、消費税の地方税化、道州制を挙げている。憲法改正が必要な課題もあり、チョッとやソッとではできない。ハードルの高い政策であるが、人気のある政策なのだ。
今無党派層が50%を超えている。既成政党に飽きて第三極が注目されているが、維新の会のどの程度の実行力があるのか。そして、自助、自己責任で自分はどう対応できるのかを合わせ考えて行かなければならない。
熊本県知事を辞めた細川さんが日本新党を立ち上げた時、希望あふれる若手政治家などが集まり国会へ進出し、連立政権を樹立したが陰の実力者、財務省に引っ掻き回され、そして自らの政治とカネの問題で1年と持たず瓦解した。
新しい党だったから、地方組織も整備されないまま献金を募ったために、募金をしたがうんともすんとも言ってこないと批判される事態になった。
寄せ集め所帯の民主党だって、「日本の仕組みを変える」と理想論を打って政権の座に就いたが、理想のかけらもなくなり自民党に牛耳られる状態になり下がった。
「日本を変えなければならない」、「自助、自己責任」、「維新の会が本当に期待できるか」など慎重に考えながら、「維新の会」に対応しなければならない。
一時の夢を託した行動は慎むべきだ。
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