トランプ大統領登場による米国民の分断、一時入国禁止令に見る米国内混乱にもかかわらず安倍総理が強行した安倍-トランプ会談は事前の危惧も何のその、相互に要求を満たした玉虫色の決着になったように思える。
一方で、アメリカに極度に依存しない日本の立ち位置を世界に示すことは出来なかった。
思いだしてみよう。先の伊勢志摩サミットでの安倍総理の挙動を。伊勢神宮では最後に登場したオバマ大統領と一緒に歩く姿、広島訪問では他のサミット参加首脳をほったらかしてのオバマ大統領に同行し記念碑に献花した姿は、米国大統領を十二分に利用した事になる。
日本はどうしてもアメリカに追随する外交しか出来ないのだ。しかし、トランプ大統領になって保護主義、一時入国禁止などで世界の首脳が批判する中での
会談は心配の種でもあった。
今回の会談は双方が国益を守る結果になった。でもトランプ大統領の強かさも覗いた。
中国の尖閣列島における不法行為に対して日米安保第5条適用の言質をとり、中国を牽制する事が出来たが、一方でトランプ大統領は「1つの中国」を認めたり、習近平氏と事前に親書、電話会談し日本を牽制することも忘れなかった。
通商では日本が譲歩したように見える。米国が要求する二国間貿易、投資の拡大で閣僚級の協議を設けるという。安倍総理が言っていたTPPはどうなったのか。
政治、経済、軍事面で多国間協議を避けると言うことは、資本主義国が求める「世界の警察官」を放棄したことにならないか。
欧州で「自国第一」を主張する右翼政党の台頭、トランプ大統領の「アメリカファースト」、国益第一はこれからのG7,G20など国際政治でどう影響するか。英国の離脱後のEUの結束にも影響する。ドイツでも社会民主党が支持率でメルケル首相を脅かしている。難民受け入れ問題でピンチらしい。
国際社会で1番安定しているとみられる安倍総理だが、不人気なトランプ大統領に異常接近するのは国益に反しないか。
安倍総理が帰国後、国会審議で今回の会談の意義、成果をどう言及するか知らないが期待は禁物だ。
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