枝野さんよく聞け、政権交代は難しい。安保、外交では現状維持、内政にあっては現状の政権の政策を修正し有権者の支持を得ることが出来るかだ。自民党政権から民主党に政権が移ったとき、確かにポピュリズムにのって「政権交代しませんか」と民主党は訴えた。
しかし、民主党の選挙公約は大風呂敷で財源の根拠もなくそのうちに信用を失うことになったが、国民の多くは「この辺で一度自民党にお灸を」の意識が強かったと思う。当初から指摘されていた小沢さんとの権力の二重構造、民主党議員が一人ひとり勝手に言動しまとまりのない政権となった。いざと言うときは「我先に」脱走するのだ。
今、衆院議員の任期が迫る中で、菅政権の支持率は28%に下落、危険水域に入ったことは確かだ。菅総理はコロナ対策でワクチン接種に期待するが、数度の緊急事態宣言後も一向に感染者数に改善がない。
オリンピックの強行開催が感染者数の爆発的拡大の要因になったことを頑なに否定する。責任を問われると感染防止に全力を尽くすとはぐらかす。国民の民意が理解できていないのか。
誰が見ても菅政権打倒のチャンスだが、野党第一党の立憲民主党が率いる野党連合構想にもいかんともしがたい問題がある。
新聞報道では、立憲民主党単独で議席数の過半数にあたる小選挙区211人、国民民主、社民を合わせると236人を擁立し3党で過半数を目指すと言う。共産党とも200の選挙区で一本化できたという。
しかし、国民民主、共産党、連合との間では主要政策の違いが尾を引き、更には枝野さんは民主党政権時の悪いイメージを引きずっている。
世論調査での政党支持率が自民党30%超でありながら立憲民主などは5~6%の低い支持だ。「他に良い内閣がない」「他の内閣よりマシ」が支持率の高い要因だ。
一時、非自民党政権、民主党政権になったが、有権者の根底には自民党支持が強い。政権のわがままに「お灸をする」ことが目的だったのだ。
しかし、今回はどうか。前安倍政権は7年と言う長期政権を築いたが恣意的政権運営、民主政治の根幹を揺るがす結果になったし、その後を継いだ菅政権も国民の民意が通じない、自らの政権の座に拘る政策は国民にそっぽを向かせる結果になってきた。
そんな時、読売新聞(2021.8.22)の「本よみうり堂」で山本健太郎氏の「政界再編 離合集散の30年から何を学ぶか」の橋本五郎さんの書評が目に付いた。
それによると、自民党に勝つためには大同団結が必要だが、各党の出自、政策の違いが路線対立を激化させ分裂、自民復活につながると言う。
野党にとって大事なことは大同団結した後の政権の姿を明示するとともに政権の決めたことを全員で守る規律の維持が重要と言う。
確かに非自民党政権ではそうだったし、民主党政権でも権力の二重構造、皆が皆勝手な言動では政権の維持など出来ない。自民党が長期政権を維持できたのは、政策の違いがあっても最後は団結できたことだ。
そして、中道に位置して、外交、安保では現状維持、内政では現状からの修正を目指し、「よりよき統治」を目指すことだと言う。
難しい面もある。非自民党政権時、村山さんが総理についたが、当時の社会党は今までの安保政策を変更した。それがその後の社会党衰退の要因になったのではないか。
内政では現政権の政策をよりよく修正する必要があることは当然だ。今問題は新型コロナ対策だ。立憲民主は急増する自宅療養者の支援強化、抗体ワクチン療法の外来使用体制の整備を挙げている。今、菅政権でも手をつけた政策だ。
そして、リベラル政党としてのイメージを発展的に脱却し、いかに中道を目指すかだと言う。
昔、保守は自民、リベラルは社会、中道は民社と言われた時代があった。しかし、自民以外はかすれてしまった。少数、弱小政党・派閥として相変わらず政策を固執しているだけだ。
中道は難しい。安全保障を考えても自民で日米安保を堅持し中国に対峙するか、日米同盟を破棄して北朝鮮、中国にどう対峙していくか。話し合いの外交で対応できる時代ではなくなった。アフガニスタンからの米軍の撤退でタリバンが制覇した。日本でも米軍が撤退することがあるのか。バイデン大統領はアフガンとは違うという。
対中、対北を念頭に置くと在日米軍はアメリカの前線基地だ。日本にとっても傘の下だ。
原発問題も悩ましい問題だ。地球温暖化防止でのCO2削減を考えると原発は残された存在であるが、自民党は卑怯にも選挙では争点にせず交わそうとしている。英国でのCOP 26を前に「日本の石炭火力の全廃」を要求されている。
野党が政権交代を目指すのであれば主要政策で統一した内容のものを提案すべきだ。一度提案したら全員が守ることも大事だ。最初から反対であれば離党すべきである。ゴタゴタは絶対に避けるべきだ。