リーマンショック、コロナ禍そして中国の覇権拡大戦略で世界経済は好循環の維持が出来ない。打つ手も限られている。景気対策で財政出動、格差是正を目指す「大きな政府」か、民間の活力を期待する「小さな政府」か。
財政出動、異次元の量的緩和でも回復の勢いが弱い日本は低成長、低金利、低インフレに悩むが世界もこの「日本化」に警戒する。
新聞報道では米国はコロナ対策、中国の挑戦での財政出動で「大きな政府」を目指し、格差是正策もあって政府債務は対GDP比100%を超えた。
民間経済には介入せず、競争させて勝ち組が富を得、儲けを低所得者に配分する「小さな政府」を目指した。「トリクルダウン」と言うらしいが、日本でも失敗した。
日本は海外から「内需拡大」を求められ、中曽根内閣のとき前川レポート、更に福田内閣のとき21世紀版前川レポートを発表したが、いずれも失敗、外需重視の経済運営になった。
その要因に企業の儲けを国民に再分配するシステムができていなかったと専門家は指摘していた。
米国も日本も富の再分配、格差是正は経済回復には重要な政策だ。米国は児童税額控除で子供一人年間3000~3600ドル給付した。更に富裕層への課税強化にも踏み切った。富の再分配を目指している。
日本は、ワクチン接種を進め、消費の回復を目指そうとしている。菅総理も経済学者、経済人との接触を増やしている。秋以降は経済も立て直していかなければいけないと思っているのだ。それは即、自らの総裁選、総選挙をにらんでのことだ。
でも日本経済の停滞の要因をしっかり把握することだ。
デフレ、円高、株安を改善するために安倍政権は市場に大量のカネを流す異次元の金融政策を採用した。リフレ派経済学者の理論に乗っかったのだ。2年で2%の物価目標を掲げて黒田総裁が登場したが、8年以上たっても物価上昇は心もとない。経済成長もゼロ%で欧米に比べて悪い結果だ。アベノミクスはなんだったのかと言うことになる。
日本社会を考えたとき、人口の減少、将来は7000万人になると予測され、当然に市場は縮小だ。少子高齢化は労働人口の減少、社会保障費の増加で財政を圧迫することに若者は不安を感じる。だから消費など伸びるはずがないというのだ。
一方で高齢者は消費せずに貯蓄に回す。先に給付された10万円もほとんどが貯蓄、若者は将来のために貯蓄なのだ。
そこで専門家は若者の賃上げ、女性の進出、観光客の誘致を上げている。しかし時間給の値上げもままならず、海外の観光客の誘致には問題がある。中国人の爆買いに対応した企業も店じまい、倒産が多発している。一時の観光客の誘致は問題だ。しかし、菅政権は海外からの観光客の誘致で経済回復を目論んでいる。
内需拡大で人口減少にも対応するのは北欧諸国、福祉国家が参考になるか。
高い技術での製品開発、儲けを国民に分配する福祉国家。国民は将来への不安はなく高課税も不満がない。人口減少に対しては、そんな国を目指す必要があるのか。
一方、今まで巨大市場を背景に世界経済を牽引してきた中国も新聞報道では、少子高齢化、生産年齢人口の減少が見られると言う。そういえば成長率も下がってきた。
一帯一路構想で新興国の経済支援をやっているし、南シナ海では島を埋め立てて軍事施設を建設し、バイデン大統領をして「民主主義vs専制主義」の戦いと言わしめているが、政府債務も高額で国営企業ではデフォルトが発生していると言う。
中国もそのうちに「日本化」が顕著になってくるが、それを隠すためにどんな手を打ってくるか。
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