2023年6月23日金曜日

福島第一原発・トリチウム含有排水基準の科学的根拠と政治的根拠

 排水基準とは、本来は必要ない基準だが、どうしても排水する必要があるときの許容基準だ。トリチウム含有排水の国の基準は60000ベクレル/L,WHOの飲料水基準は10000ベクレル/Lになっている。

その福島第一原発事故以来、トリチウム以外の放射性物質は除去され残ったトリチウム含有排水を海洋投棄する事案について、日本政府、福島などの漁民と近隣国の中国、韓国そして南太平洋島国とで放流の考え方に溝があるのだ。

安全な放流の考え方は次のような方法がある。

(1)多くの事例があるように希釈して排水基準以下で放流する方法

(2)濃度の他に全排出量を比較する方法

(3)海産物接種や海水浴場など自然界での被ばく量を比較する方法

(1)の排水基準はよく検討されている。放流する前に大量の海水で濃度を1500ベクレル/L以下にし、放流トンネルから出た途端に30ベクレル/L以下になる想定だ。この基準は日本や他の国の原発排水基準より低い。

実際に、国の排水基準の40分の1以下、WHOの基準の7分の1という。この濃度は原発周辺の井戸からくみ上げて海洋に投棄する地下水濃度の上限値にあわせたという。

濃度ばかりではない。(2)のトリチウムの排出総量の比較も必要だ。新聞報道では東京電力福島第一原発の場合、事故前は2.2兆ベクレルだったが、kpン会は22兆ベクレルをしたまわることをかんがえているようだ。

中国で稼働している原発の場合は約90~143兆ベクレルで断トツに多いが、それについては何も言わないらしい。放出に反対し、廃炉作業を妨害しているように思える。政治的配慮が大きいのか。

魚類、海産物などに対する被ばく量、風評被害が心配されている。福島漁民ばかりでなく海外も同様だ。これは難しい問題だ。経済支援で解決できる場合もあるが、どうだろう。

日本政府はIAEAの力も借りて何とか解決しようとするだろうが、科学的根拠だけで解決できるとは思わない。しかし何とかしなければ廃炉作業に遅れが出、福品復興に支障をきたす。


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