2009年10月11日日曜日

民主党の議員立法禁止は憲法に反しないか


民主党が政策一元化のために、議員立法を原則禁止し、法案提出は政府提案に限ることを決めて、所属国会議員に通知したことが波紋を広げている。
 更に、横路衆議院議長が、これに異論を呈した。独裁国家ではあるまいし、三権分立で立法府の役割は非常に重要だという。
 民主党内でも政府にも入れず、党の要職にも就けなかった議員は「なにをすれば良いんだと言うことになる」と混乱している。

 国会議員は、国民全体の代表者であり、選挙民からも独立した法的地位を持っている。最近は政党が発達(?)したために、政党による議員拘束が強化され、その地位はかなり制約されたモノになってきた。党の指令に拘束されあ、討議により発言、評決しなければならない。

 憲法では、「国会は、国の唯一の立法機関である」と規定し、法律案は両議員で可決した時に法律となる(憲法第59条)。国会を通じ、国会中心に行なわれ、国会の議決のみで成立する国会単独立法である(憲法第41条)。

 では、法律の発議権はどこにあるのか。

 国会議員(一人では出来ず、衆議院20人、参議院10人の賛同が必要)にあるのは当然であるが、内閣にあるかは争う店であるが、内閣法第5条で「内閣総理大臣は内閣を代表して内閣提出の法律案、予算その他議案を国会に提出し・・・」と期され、内閣にも法律案の発議が出来ることになっている。実際に衆法(衆議院議員提出法律案)、参法(参議院議員提出法律案)、閣法(内閣提出法律案)がある。

 第171回国会を見ると、衆法では提出97件で成立は17件、成立率は17%。参法は提出41件、成立1件の2.4%。一方、閣法は提出91件、成立71件で78%と圧倒的に内閣提出法案の成立が高い。

 この衆法には、「臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律案」も含まれ、議員立法の必要性を訴えている。この法案の背景には、内閣では立場上法案提出がしにくかったために、議員立法で処理する方法をとったと記憶している。

 内閣が提出する法案は官僚主導の法案であり、制度を維持していくための改正などであるが、議員立法は民意を反映させた法案が多いのだろう(詳細は内容を調べてみないと分からないのだが)。
 民主党が政策を一元化するのも、内閣提出立法の効率を狙った方がよいだろうが、政府がキチンと民意を吸い上げていることが前提になる。政府が、官僚側に偏り国民の民意をくみ取れなくなった時には、本来の議員立法が威力を発揮することになる。

要は、民主党政権が「国民のための目線」を持っているかどうかによる。

原則禁止なので、特例も残されているのだろうが、民主党の議員立法原則禁止は、憲法に反する処置である。

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