2019年8月9日金曜日

世界の見方?:トランプ大統領「あなたこそクビだ」と


頻繁な閣僚更迭、辞任劇、米中貿易摩擦で景気下降リスクの予防的利下げをFRBに要求し、中国に制裁第4弾を課そうとしたり、国際舞台では多国間交渉より二国間交渉を優先し、国際協調路線から孤立する米政権にあって、世界はトランプ大統領に「あなたこそクビだ」と思っているのではないか。

アメリカの世論調査によると大統領選で民主党指名候補者のバイデン氏に差をつけられているトランプ大統領だから相手方の悪口をたたいたり自らの支持拡大に躍起になり外交で打つ出す政策も先鋭化しているのではないか。

「アメリカ第一」をさらに継続すべく「アメリカ偉大そのまま」をスローガンに掲げており再選に向けて必死だ。日本でもそうだが選挙を控えると政策内容も変化してくる。

来年の米大統領選までこんな状況が続くのか。

「アメリカ第一」でトランプ大統領が撒いた米中貿易摩擦での中国との高関税の掛け合い、英のEU離脱など欧州経済状況ともあいまって世界経済は景気下降リスクに直面すると、尻拭いにFRBパウエル議長に「利下げ」を要求、0.25%の利下げをコメントすると「それでは不足」と更なる利下げを要求、首の挿げ替えをにおわせけん制する始末だ。

先の米中首脳会談での約束が守られていないとトランプ大統領が第4弾の政策を発表すると、中国は「約束を守っていないのはアメリカ」と責任のなすりあいだ。

米中が応酬を始めると市場は「利下げ」を要求する。その結果は円高、株安、長期金利の低下になるが需要増にはならない。企業活動も株価も期待薄なのだ。そりゃそうだアメリカ、中国という市場に期待できないのだ。さらに通貨高は避けなければならない。新興国から資本が海外に流出する。

トランプ政権は為替操作国として中国を指定した。輸出促進のために元安誘導をしていると攻撃するが中国は否定する。

日本も異次元の金融緩和で市場にカネを垂れ流すことは円安誘導とも見なされるが、今のところ為替操作とは見られていないか。しかしアメリカのことだ交渉がうまくいかなくなると言い出すかもしれない。

通常はけんかするときは「落としどころ」が必要だが、トランプ大統領はどう考えているのか。例によってけん制し相手の譲歩を期待しているだけの外交なのか。

貿易バランスの修復、雇用、成長レベル、米大統領選でのトランプ支持率などが考えられるだろうが、ことが面倒なのは共産主義政権、覇権拡大というと中国の構造改革を要求している。

GDP第1位、世界最強の軍事力を持ち立場としては「世界の警察官」を自負すべきだが、恣意的な外交、経済政策に先進国はついていけない。英国の新しいジョンソン首相はトランプよりだが独、仏は「有志連合」構想から一歩引いている。安倍政権も選挙前は参加する環境にないと言っていながら今、どういう形で参加できるか検討しているという。

今のようなことをやっていると先進国間の隙間を狙って中国、ロシアが覇権拡大を狙っていることぐらい分からないのか。

トランプ大統領の簡単なッイッターの発言でメデイアは大層な記事に仕上げ配信するが、トランプ大統領はそこまで考えているのか。一度無視してみたらどうか。

8月7日午後10時ごろ、浅間山小噴火:寺田寅彦博士の随筆「小爆発2件」を思い出す

6日から群馬県磯部温泉に滞在していたが、7日午後10時過ぎテレビのニュースで浅間山が噴火、噴石に注意という。すぐ孫2人を連れて浅間山が見える道路に出てみたが浅間山は霞んで噴煙も見えない。

その後、噴火警戒を1から3の入山規制に引き上げたらしい。2015年6月以降という。北方向に火山灰が流されたというので、私のいたところとは反対側だ。天明の大噴火の時もそうだった。

翌日の新聞、テレビニュースなどから小噴火で大したことはなかったようだ浅間山が良く見える安中バイパスを車で走ったが、浅間は頂上は見えず付近から雲が立ち上がり、東方向に流れていた。この雲がすべて噴煙とは思えない。

すぐに思い出したのが寺田寅彦博士の随筆「小爆発2件」を思い出した。軽井沢に滞在していた博士が2度続けて浅間山の噴火を経験し物理学者らしく噴煙の上昇速度や広がり方を観察し随筆に書いている。

一度目は昭和10年8月4日午前、二度目は8月17日の午後だ。だから今回の浅間山小噴火も続いて起きるのではないかと思ったほどだが、昭和10年の8月噴火は4月20にちに発生した大爆発(大噴火)の後に続く小噴火だった。

火山が噴火するとメデイアがその様子を報道するが、「ウソ」ッぽいと博士は警告する。

博士の2度の経験でも場所によって様子が違うのだ。1回目の噴火の時は軽井沢千が滝のグリーンホテルんの食堂で朝食のあとだったが、「ドカン ドカドカドカーン ドカーン」、「ゴー」という雷鳴の反響が23秒続いたという。

2度目は星野温泉に滞在していたが爆音も気波も感じなかったが場所によって気波を感じた人もいた。居場所によって大きく違うのだ。

だから博士は人のうわさをたれ流すのではなく、爆発の型、等級の分類などをつけて例えばA型大三級など表現を考えたらどうかと提案していた。昭和10年の話だ。今では研究の進み表現にも工夫されているようだ。

浅間山も活火山、普段はあまり気にならないが首都直下、南海トラフなど巨大地震の前には内陸での地震、火山噴火が前兆になるという。

また、磯部温泉は天明の大噴火の時に温泉が噴き出したのだ。次の大噴火で温泉が止まる危険もあるのだ。


2019年8月5日月曜日

世界を混乱させる元凶トランプ大統領はいつ自覚するのか、大統領選に負けた時か

世界を混乱させている元凶であるトランプ大統領が、そのことをいつ自覚するのか、大統領選に負けた時か。トランプ大統領の米中貿易摩擦で世界経済は下降局面なると米国内経済への影響を警戒し、FRBに「利下げ」を要求、パウエル議長が0.25%の利下げに言及すると「それでは不足」とさらなる利下げを要求し首のすげ替えをにおわせけん制する。

考えてみれば自分の身勝手な政策の「つけ」をFRBに押し付けた感じだ。FRBの動きにECBや各国中央銀行が一斉に「利下げ」に動く。パウエル議長は「予防的措置」という。

米中がお互いに高関税をかけあうとトータルではチャラになるのではないかと思っていたがそうはいかない。

商品が高くなれば売れない。メーカーは経営が苦しくなり失業者も増え雇用が悪化する。高くなった商品を輸入すれ物価高、消費は伸びず国内消費も伸びず景気は下降、2%物価目標など可能性がなくなる。

トランプ大統領は米国民の雇用、ラストベルト地帯の産業の復興を期して安物が入ってくることを防止しようとしているが米国内経済にも影響が出てくるのだ。

米中の経済が下降すれば原材料などを米中に収めている国にも影響が及ぶ。GDPの1,2位の米中の経済摩擦だからその影響は計り知れない。

トランプ大統領の「保護主義」「アメリカ第一」戦略は国際舞台でもアメリカだけが浮き上がる結果になって、先進国間の協調路線に狂いが生じ、その間隙を中国が覇権拡大に動いている。

G20、G7は19:1、6:1で会議で孤立化し、会議内容をかく乱させている。

イラン核合意から離脱し経済制裁を突き付けアメリカ対イランは中東の安全にも影響が出て来ている。ホルムズ海峡も安全確保のための「有志連合」を提案し、当初は60か国以上が参加しいたが最近は30か国に減ったようだ。ドイツ、フランスは参加見送りだ。

駐留による米軍に軍事費を肩代わりすべき軍事費負担増額を同盟国に要求している。フランスはNATO軍に代わる欧州独自の軍の創設を提案している。韓国は増額に同意したらしいが、日本に「5倍増」にとんでもない金額だ」と苦慮している。

地球温暖化での「パリ協定」も離脱した。米国産業にとっては不利というが、各州、産業界は取り組みをやっているようだ。ちぐはぐさが目立つ。

北朝鮮との非核化も米朝会談で実績が出ず、金委員長は3回にも及ぶミサイル発射などでアメリカをけん制しているがトランプ大統領だけは「問題なしと静観」の構えだ。「政権内では国連制裁違反と危惧する見方もあるが自分は問題なしとみる」とこれもちぐはぐな対応だ。

中国、ロシアはトランプ大統領のやり方に反対、文韓国大統領は無視され、日本はどっちつかずで期待の薄い日朝会談を要求してしている。

大統領選に向け、トランプ陣営は「アメリカ第一維持」とかいうスローガンで支持者の囲い込みをやっているが、世論調査では民主党候補のバイデンさんに差をつけられているようだ。

しかしこの米中経済摩擦も背景には、中国の覇権拡大、知的財産権、中国国営企業への優遇策など構造改革が含まれ対共産主義の様相だ。中国は譲歩できないだろう。

アメリカもこのままでは同盟国との協調もままならず、世界でのアメリカの立ち位置にも問題が出てくるのだが、米国民はどう評価しているのか。

雇用、消費など経済面ばかりを考えると判断が遅れるが、世界におけるリーダーとしての立場を考えるとデメリットが大きい。

来年の大統領選で良識ある判断をすべきではないか。

世界の中の日本:アメリカ頼みの外交に限界? 日米安保、憲法改正の行方?


世界の中の日本はどうあるべきか、アメリカ頼みの外交も限界を感じる。トランプ大統領の米軍駐留費5倍増額、日米安保の片務的内容発言から日米安保のあり方がクローズアップされるとともに安倍総理の目指す憲法改正推進は、世界での日本の立ち位置を変えようとしているのか。

日本に対する近隣諸国、中国、韓国、ロシアの対応を見ると「何をやっても日本は強く出てこない」という安心感から好き勝手なことをやられている。軍事力を持たない日本は、力には頼らず国際法をよりどころにしているが相手国が応じなければ何の効果もない。

中国とは首脳会談でにこやかに握手する姿は見えるが、尖閣諸島領海侵犯は増える一方で日本の漁民の安全は保てていない。日米安保で尖閣諸島も「日米安保の効力が及ぶ」と米側に発言させたことも、安倍政権が頼み込んでのことだったらしい。東シナ海の海底油田開発も中国の一方的な行為だ。これらの違法行為に対して日本は口頭で注意するしかない。

日韓関係も元徴用工問題、「ホワイト国」からの除外などで関係悪化が激しいが、竹島問題は力づくでの領土侵犯だ。先のポンペオ国務大臣、河野大臣、康外務大臣による外相会談でも米国の仲介はなく、日韓で対応を迫られる結果になった。

不発に終わった原因は、韓国がアメリカに仲介を頼んだが日本は仲介を依頼しなかったらしい。国内問題もあり安倍政権が強い姿勢に出たのだ。

対ロシアの北方4島返還問題も平和条約締結後に2島返還に方針を変えたようだ。後の2島は断念するのかと問うと「4島返還に変わりはない」と安倍政権はいうが、詳細な説明はない。プーチン大統領との首脳会談も2人だけの会談時間も設けての交渉らしい。

ロシアの島民もロシアの政権も4島返還はないという。では安倍政権の開発の経済支援は何なのか。騙されて開発資金だけせびり取られているのか。

最近は在沖縄米軍の存在を持ち出して、2島返還後にアメリカが基地を建設するのではないかと危惧しだした。

そして従来の日本外交の前提を覆しかねない事態が出てきた。日本の政権は政権基盤の強化は「日米安保の固い絆」に頼っている。そのためには何でもやる。自民党の総理はまず、アメリカ詣でだ。安倍総理のゴルフ外交は他国の首脳もうらやむほど(?)だったし、麻生総理のときは時間が取れないにもかかわらず強引な日帰り訪米をやった。政権が危なくなるとアメリカ頼みだ。

その安保条約にトランプ大統領が噛み付いた。内容が不公平で「片務的」と言い出した。米国は日本を守らなければならないが、日本は米国を守る必要なないと不満を言う。

さらには、在日米軍の駐留費の5倍増額を打診してきたらしい。日本は今、年間約2000億円の「おもてなし予算」などを組んでいるが、応分の負担をしなければ撤退もあるとけん制した。

他にも対中国、北朝鮮の核ミサイル発射を防衛するために巨額の軍事費でアメリカの兵器の購入を約束しその額は5兆円を超える。

一方で、何かことがあるとカネを出せば済むと思っている日本に、親日家のアーミテージさんに「ショー・ザ・フラッグ」と忠告されたことで時の橋本政権が右往左往した。巨額のカネだけ出しても軽蔑されるだけの結果に終わっていたのだ。「人を出す」、「汗をかくこと」が必要と考えられるようになった。

為政者にとっては憲法9条は国際協力を考えると集団的自衛権行使の足かせとなったが、99年には周辺事態法で自衛隊による米軍の後方支援が可能になったが、それも日本の周辺地域に限られた。

これがきっかけで海外での自衛隊の活動をなし崩し的に広めて言った。安倍政権で15年には安保関連法案も成立し、集団的自衛権行使も閣議で憲法解釈を決めた。

そして、今回の参院選で安倍政権は「憲法改正審議を前へ進めるか、後退させるか」の政党を選ぶことを争点にした。自公で2/3の議席は無理だったが、安倍政権は審議推進を目指す政党に手を伸ばしている。

「審議を進める」、「自民党草案を紹介する」「自民党草案にこだわらない」と安倍総理は言うが、どんな草案が出ているのか。

船田さんや石破さんらが検討した自民党案は戦争放棄→安全保障、9条2項を削除し新たに自衛権の発動を妨げるものではないとする。また新しく9条の2に「国防軍」を設置する案だ。

これに対して安倍政権の考えている自民党草案は、9条1,2項を維持したまま自衛隊を明記するのだ。

必要な自衛措置を取ることを妨げないとし、「そのための実力組織として内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持する」という内容らしい。自衛隊は戦力ではなく自衛隊の存在は合憲という考えだ。

憲法改正へのハードルは高い。国を二分する事態になり国民投票が実施されるかは不透明だし、周辺国も第二次世界大戦を取り上げて猛反発するるだろう。今までもそうだった。

日本の立ち位置が内外で問われる。慣れ親しんだ米国追随の外交の転換点になるのだ。

2019年8月3日土曜日

「ホワイト国」から韓国外す:米国に頼らず日韓でどう対応するか、安倍外交が試される時だ

「ホワイト国」から韓国を外す決定をしたことで日韓関係のさらなる悪化が懸念されるが日韓双方でどう修復していくか、アメリカに頼らない安倍外交の手腕が問われている。

外為法に基づく輸出優遇国(現在27か国)から韓国を外すことになったのは当然だが、韓国も「無謀な決定」と批判、元徴用工訴訟への経済報復措置とみているが、重要なことは米国の仲裁がなかったことだ。

そもそもの発端は、化学物質など武器転用が可能な物質を第三国に転売という「不適切な事案」の疑いが出てきたことではなかったか。日本の指摘に対して韓国は否定し「根拠を示せ」と反論したが、情報の出所を明示することなどできるはずはない。

この政府決定に対して、韓国もWTOへの提訴や日韓軍事情報包括保護協定の破棄などをにおわせてきた。

韓国はトランプ大統領に仲裁を依頼したそうだが、日本政府は「トランプ大統領に仲介してもらう類の話ではない」と主張する。トランプ大統領も双方の仲介依頼を条件にしたが日本が断っているために動きが鈍い。

バンコクでのポンぺオ国務大臣、河野外務大臣、康大臣の外相会談があったがポンぺオ国務大臣は「協力して前へ」と促すだけだったと新聞は伝える。新聞報道の写真を見てもぎくしゃくしている。

トランプ大統領の本気度が分からず、米国の態度が決まっていないのだ。そうだろう。トランプ大統領は多国間交渉より二国間交渉を好む。これが同盟国関係がアメリカの覇権を支えていえること理解できていないのだ。そこに中国が覇権拡大を狙ってくる。

メデイアの指摘は当たっている。日韓関係の悪化は中国の出番なのだ。

どうもトランプ大統領と米政権内でも意思の疎通を欠いているのではないか。たとえば北のミサイル発射問題も政権内では問題視するがトランプ大統領は「問題なし」という。トランプ大統領はアメリカ大統領選を控え、政策が歪曲化しているのではないか。

今回の日韓関係悪化も「双方がけん制しあい相手方の譲歩を引き出す」作戦とみるとトランプ流ではないか。

何かきっかけがないと「前へ進まない」、そんな関係になってきた。たとえば北朝鮮が弾道ミサイルを発射したり、核実験を再開したりする状況になるなど。


2019年8月2日金曜日

ポピュリズム、経済成長、金融緩和で間違った常識にとらわれていないか


今日の朝日新聞(2019.8.2)を読んで、欧州で台頭する左派ポピュリズムの台頭、経済成長、そして各国中央銀行が金融正常化から緩和へ逆行する動きに今までの常識に囚われすぎていないかと思う。

目に付いた記事は「経済気象台 「経済成長の果て」」、「10年ぶりに米利下げ 世界に緩和の波」、「「山本太郎という現象」新時代を拓く実験委期待」だ。

「経済成長の果て」では、執筆者が英国を旅行して英国の「落ち着きと豊かさを感じた」という。英国は今、EU離脱で混乱と衰退ばかりが目に付き「終わった国」と見られているがそうでもないという。

そのギャップは「成長パラノイア」というキーワードにあるという(河北稔・大阪大名誉教授)。先生によれば経済が右肩上がりに成長しなければならないという頭で考えると、実現できなければ衰退と悲観するのだという。

これは日本にとっても言えるのだ。人口減少、競争力低下、構造改革の遅れが中国のGDPと比べても1/3で経済衰退のイメージを強めている。でも日本の1人あたりのGDPは中国の2.6倍で豊かさを見えなくしているのは「成長パラノイア」だというのだ。

英国民は成長がもたらした豊かさを享受しているが、日本は強迫観念に追い立てられているとしたら間違ったビジョンと政策の責任だという。まったく同感だ。

今、各国は2%物価目標を目指している。本当に2%が必要なのか。中央銀行の仕事は金融政策を通じて物価の安定を図ることだが、2%に達しないが1%台で物価は安定しているのではないか。なぜ、上げることが難しい物価を無理してでも上げなければならないのか。

FRBパウエル議長は米中貿易摩擦など世界経済の先行き懸念から予防的に10年振りに利下げをするという。米国経済は堅調、雇用も好調といわれながら物価上昇が進まないことも理由に挙げられている。

日銀は依然として異次元の金融緩和を継続しているが世界各国の中央銀行も利下げに舵きりした。経済不安が付きまとえば市場は中央銀行に緩和策を要求する。トランプ大統領も自らの米中貿易摩擦で世界経済が混沌としてきたのに、0.25%の利下げだけでは不足だと大統領選に向けたアピールをする。

「より長期間、より低い金利を保つ」ことを狙っているようだ。

でも市場の期待にこたえて緩和すると株価は上昇、投資家は潤うし企業は巨大化する一方で、経済成長力は衰える。IT革命で賃金は伸び悩みインフレは強まらない。

また、政治面では欧州では左派ポピュリズム政党の台頭で政権も不安定になっているようだが、日本でも「れいわ新撰組」の山本太郎現象もポピュリズムの日本版と見ていいだろう。

「山本太郎という現象」の中で水島治郎・千葉大教授はポピュリズムの訳語の使用が間違っているという。本来ポピュリズムとは「既存の政治が人民を置き去りにしていると主張すること」という。左派とは「下からの政治」。つまり左派ポピュリズムとは「政権から疎外されていた人たちがボトムアップで政策を訴える」ことなのだ。

ポピュリズムというと極左あるいは極右勢力の台頭で政治も危なくなると思っていたが決してそうではないのだ。「人民第一主義」なのだ。

山本太郎さん率いる「れいわ新撰組」は2人の重度障害者を特定枠で当選させた。このほかにも落選したが各分野で疎外されていた人たちが立ち上がるきっかけを作った功績は大きい。他の野党が触手を伸ばすのも当然だろうが、職業政治家ではなく、働く者たちが政治活動に足を踏み入れることは大事なのではないか。

政治、経済成長、金融緩和で常識を覆す動きを大事にしたいものだ。

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2019.7.27記載
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2019年8月1日木曜日

トランプ、安倍の本当の友好関係?:トランプは「NO」を言わせない、安倍は「YES」を言わせる?

日米貿易交渉、在日米軍経費、ホルムズ海峡での「有志連合」など日米追随でトランプ大統領と安倍総理の友好関係が正念場を迎えている。トランプ大統領にとっては安倍総理との友好関係は「NO」と言わせないこと、安倍総理にとってトランプ大統領との友好関係は「YES」と言わせることだ。

アメリカは日本に対して日米貿易交渉で有利な条件を約束させようとしているし、在日米軍経費の増額要求、ホルムズ海峡での安全確保に「有志連合」を結成し日本に参加を求めてきた。

一方、日本はアメリカに対して日米同盟を確固たるものにし、日本の安全を守るとともに政権基盤の強化を求めてきた。中国の尖閣諸島領海侵犯問題では日米安保条約の範囲を尖閣諸島まで及ぶことを宣言させた。また政権維持、支持率維持のために米大統領を最大限に利用してきたことはG7伊勢湾サミットでのオバマ前大統領と行動を共にしたことからも明らかだし、トランプ大統領に対するゴルフ外交は他国の首脳もうらやむほどだ。

しかし、トランプ大統領の「利益者負担増」は、個人的友好関係を飛び越して大統領選に対するアピールとなれば大いに政治的色彩を帯びてくる。

在日米軍駐留費のアメリカの負担増の要求は「5倍」とも言われるとんでもない金額だ。ドイツが30%であるのに対して日本はすでに75%の負担をし、在日米軍駐留経費は5年間で9465億円、19年度は1974億円が計上されている。しかしさらに米軍再編関係費などを加えれば年間6000億円とも言われており詳細がわからない。

トランプ大統領は全額負担しなければ日本から米軍撤退とも言い出した。共産党などは在日米軍撤退のチャンスと言い出した。

でもアメリカにとっては在日米軍の日本からの撤退など出来っこない。前にアメリカ政府が駐沖縄海兵隊の在り方を検討したことがあるが、海兵隊という組織を今後も維持するには在沖縄が一番経費的に安いというのだ。沖縄基地は狭いし訓練にも支障をきたすが年間の半分以上を海外で訓練している。

またトランプ大統領は日本を守っているという。確かにその一面はあるし、日本政府はそこが重要なのだが、事があれば沖縄海兵隊は遠くはインド、中東まで派遣されているし、対中国、対ロシア、対北朝鮮では重要な拠点になるのだ。地政学的にもアメリカにとっては最重要基地で撤退などできない。

さらに思い出してほしい。北朝鮮の核ミサイルの挑発行為で脅威を煽りアメリカから高額な兵器の購入を約束し5兆円にも達している。でもオスプレイ、F35は事故も多い。欠陥兵器か。

安倍総理が米朝会談で頼みごとをするとお返しに兵器購入になるし、トランプ大統領も「何か安倍に言うとすぐ買ってくれる」とツイッターで暴露していた。

トランプ大統領と安倍総理の個人的な友好関係などこの程度のものなのだろう。

トランプ大統領が大統領選に落ち、安倍総理が総理の座を降りると日米関係はどうなるのか。ドイツやフランスのように外交で毅然たる姿勢を示すのが国益に合っているのだ。