必要法案の成立をごり押しするために安倍政権は国会会期を95日延長し、「丁寧な説明」にカモフラージュされた乱暴な国会運営で安保関連法案、改革断行のための関連法案の成立を目指すのか。「違憲」のうねりで安保関連法案の先行きが不透明になってきたための思い切った延長策に出た。
丁度今日は沖縄「慰霊の日」に当たる。あの悲惨な戦争を経験し犠牲になった人たちが今の日本国憲法を見たとき「これで民主政治が始まる」と希望を持った。沖縄へ米軍が上陸作戦を実施したとき防空壕から出て来て米軍の前で体をブルブル震わせながら恐怖の顔で見つめていた少年も親、兄弟から離れどうなったのだろうかと心配になる。生きていれば80歳代だろう。
悲惨な戦争を経験し、ポツダム宣言を受諾した日本は現・日本国憲法で戦争放棄し平和を維持する国へと変わっていった。
ところがあれから70年、憲法9条は幾多の解釈変遷を経て今、又集団的自衛権の行使容認へと安保関連法案の成立に一歩踏み出した。憲法改正ではなく閣議決定が先行したために
立憲主義に反し「違憲」の大きなうねりが出て来た。そういう意味では逆説になるが、憲法審査会の参考人供述は大きな意味があるのだ。
だが、反対する野党の足並みが揃わない。維新の党が対案を出すというが安倍さんが乗ってきた。対案も審議し修正変更の可能性を匂わすが自公のみでの強行採決でなく維新も加えた採決をやったことに意義を見いだしている。安倍さんらしい野党分断の策らしい。橋下さんは自分の都構想が自民党の大阪府連の反対で廃案になったことをどう思っているのかしらないが、安倍さんにすり寄った格好だ。これでは維新の党が何を考えているのか分からない。
それにしても安倍さんは口先では常に「丁寧な説明」と言うが実際には自分の知識の範囲内でしか答えられないので答弁は粗雑で、岡田さんらから「質問に答えていない」と再三批判される。
集団的自衛権行使の詳細に議論が及ぶと「外交上手の内を知られたくないので答えられない」と言うがそれでは審議にならない。「縛り」を入れるから暴走はしない、大丈夫だと言うが憲法に違反「する」「しない」の判断が内閣に丸投げの状態に変わりはない。
特に「今、なぜ」という疑問は自民党支持者にも大きいと言うが答えられない。
「国際安保環境は厳しくなっている。それに対応するため」とか「国民の命、生活を守る」と言うだけ。安倍さんの本音はホルムズ海峡での掃海」にあるようだ。イランなど中東での政情不安は高まるしホルムズ海峡が閉鎖されると日本も石油の輸入が困難になり、あげくは国民生活に影響が出る。だから国民の生活を守るためにも「今、法律を成立させておかなければならない」のだろう。
そして、中国の尖閣諸島への領海侵犯、韓国の竹島問題など近隣諸国との領土問題。北朝鮮の核ミサイルの脅威など日本単独では対応が難しく米国との同盟強化で抑止力を誇示するしかなさそうだ。
そこから、米国から何らかの要求が来たときに自衛隊が即対応できるように集団的自衛権の行使容認は「合憲」としたいのだ。
憲法学者を含め有識者でも「違憲」という人が圧倒的に多い中で、極々少数の「合憲」を主張する学者もいる。今彼らも公やけの場で発言するようになったが長い屁理屈のあとでの「合憲」であり、思いも寄らなかった「徴兵制も合憲」の発言まで出て来た。
政府は歴代「徴兵制は違憲」の解釈だが御用学者は「合憲」だという。とすると都合の良いところだけの「つまみ食い」だ。そういえば砂川判決も「合憲」の根拠に政府は挙げているが専門家は「つまみ食い」と批判する。
大事なことは今後3ヶ月間、「違憲」、「合憲」で切れ目ない議論を続ける事だ。例え強行採決されても近づく参院選で審判を下せば良い。
更に、安保関連法案の違憲の訴えを起こすことだ。「最高裁が違憲」と判断すれば安保関連法案も廃止することが出来るが、時間がかかりすぎる。
朝日新聞(2015.6.23)で世論調査の結果が出た。
69%は「丁寧な説明がされていない」といい、強行する安倍内閣の支持率は40%を切って39%になった。安保法案を賛成は29%で反対の53%を大きく下回った。
朝日新聞の世論調査によると、内閣支持率39%、自民党支持率36%で合計すると75%。青木さんが2つの支持率の合計が「○○%」を切るとその内閣は危ないと言ったそうだが、その合計支持率が?%だったか定かでない。もし80%だったら安倍政権は危ないことになる。
新聞報道によると自民党総裁選も対抗馬がなく安倍さんが信任される見方だ。幹事長の谷垣さんがポストア安倍の最右翼と思われているが安保関連法案への発言も余り聞こえなくなった。石破さんは「次はあなたしかいない」と煽てられていたがそんな約束など政界ではないに等しい。
特別委員会、本会議は強行採決の可能性もあるが、議員一人一人が党議拘束されず自分の判断で投票して欲しいものだ。現行憲法はその精神なのだ。
国民の半分以上が「反対」の意思を国会議員は「賛成多数」で覆い隠すのか。
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