2015年6月22日月曜日

返済時期が近づくと再燃するギリシャ危機:一層のことユーロ離脱、デフォルトしたら楽になるのか

またまたギリシャの危機が叫ばれ出した。危機の先延ばしで何とかつないでいたがデフォルトしユーロ離脱したらギリシャは楽になるのか。決定的な策がなくギリシャ国民は銀行預金引き出しに走り1日で15億ユーロ(約2100億円)に達し、更に増えるらしい。

年金削減、失業に悩まされ緊縮政策に飽き飽きした国民が反緊縮のチプラス政権を樹立したが年金減額など構造改革を迫るEU,IMFに支援のために譲歩するか、緊縮政策に反対する国民との板挟み状態の政権だ。

18日の財務相会議では合意が得られず、返済繰り延べ政策をとるIMFも「返済猶予はない。71日にはデフォルト状態になる」と専務理事が言うが30日にはIMFへの返済15億ユーロ(約2100億円)が迫っている。合意が成立し72億ユーロ(約1兆円)の金融支援があったとしても78月にかけてECBへ国債償還で67億ユーロ(約9300億円)と続くらしい。全く自転車操業だ。

EUから構造改革を迫られる年金減額も1%削減に対してギリシャ政権の提示はその1/30程度で溝は深い。ギリシャの年金支出はGDPの17.5%でEU平均の13.2%に較べても突出している。寧ろ優遇されているギリシャに何故支援しなければならないのかとEU諸国が思うのも当然だ。

新聞報道によると22日の緊急ユーロ圏首脳会議の前にチプラス首相と他の首脳らとの駆け引きが激しさを増しており年金の削減は譲れないが、早期退職制度の抑制、法人税増税が検討されているらしい。歳出削減と税収増を狙っているのだが国民の反対が大きい年金給付額削減には手を付けられないようだ。

そこでEU,ユーロ圏への牽制を狙ってプーチン大統領とも会談しロシアに支援依頼している。ロシアも勢力圏拡大にはもってこいだろうがロシアだって財政難のはず、次々に出てくる返済を支援できる余裕があるのか。

EU,ユーロ圏を維持するために問題を先送りし支援を続行する場合はデフォルトの危機も回避でき世界経済への影響も少なく出来るが、ギリシャの借金は増え続け観光が主要産業では自転車操業の状況には変わりない。貸し倒れを覚悟での支援が続くのか。ドイツなどがそれを容認できるか。

一方、一層のことデフォルトしたらどうか。欧州経済での混乱は大きいだろう。欧州の株価下落は日米の下落にもつながる。米国は利上げ時期が伸びるだろう。日銀は16年度初めに2%の物価上昇を目論んでいるが達成は不可能だ。黒田さん、岩田さんは理由はどうあれ責任を取って辞任せざるを得ないだろう。アベノミクスも失敗で安倍政権は信用を失うことになる。

ギリシャだけでなく,スペイン、ポルトガル、イタリアにも波及し、17年度に国民投票する英国だってEU離脱の可能性が高くなるだろう。政治統合を後回しにし経済統合を先行したツケは大きい。

デフォルトしても反緊縮政策を望んでいたギリシャ国民自身も大変だ。

昨年だったか朝日新聞にアルゼンチン政府の意見広告が2回にわたって掲載されたことを覚えている。

アルゼンチン政府は債権者と個別に交渉し債務額を決め返済を続けていたが、米国のファンドだけは全額返済を主張し米国の裁判所に訴えた結果、裁判所はファンド側を支持した。そのため今まで返済を続けていた債権者に返済できなくなったこと訴えた。

アルゼンチン政府は返済したいのだけど米国のファンドの訴えが通ったので返済が不可能になっているというのだ。

融資を受けられなければ返済が滞るギリシャは厳しい状況に置かれる。決して良い結果ではないが「最後はギリシャ政権も譲歩するだろう」という見方が強い。 

また、IMF72億ユーロ(1兆円)の融資枠を設けていると言うがこれだって加盟国からの出資金ではないのか。だとするとIMFだって資金枯渇の恐れも出てくるのではないか。


ギリシャ国民が自らの道をどう選択するか。注目だ。

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