集団的自衛権行使の安保関連法案は、これも米国の「外圧」に従い「一級国」を目指すためか。そうにおわすような記事が週刊朝日(2015.7.17)の新聞広告に載った。目にとまった記事は「緊急検証 安保法制はコピペだ」で第3次アーミテージ・ナイレポートと照合している。
気になったので購入して読んでみた。今国会で審議されている集団的自衛権行使の安保関連法案の内容が2012年8月に出された知日派の大物がまとめた「第三次アーミテージ・ナイ レポート」で日米両国に様々な改革を提言している。安倍総理が成立を急ぐのもアメリカの外圧に応え日米同盟を強化するためなのだ。
それによると、日本は「一級国」であり続けたいか、「二級国」で満足するかと問い、「一級国」でいたいのならこのレポートに関心を持てというのだ。
具体的な提言は、自衛隊のより大きな役割、平和憲法の改正、集団的自衛権の禁止は障害、ホルムズ海峡の掃海、自衛隊の活動範囲を日本の領域からはるかに超えて拡張等が含まれている。本記事は米国の報告書と安倍政権の政策の共通点も指摘している。
そして改革官僚だった古賀茂明さんは「言うことを聞かなければ米国が日本を守ってくれなくなる」という論法で「外圧」を利用して目的を達成する日本の政権の常とう手段だと指摘する。
安倍政権発足時の2012年は日本経済再生に向けたアベノミクス重点の国会だったが、2014年の解散・総選挙後は安倍総理の持論である憲法改正、集団的自衛権行使の容認に重点を移した。
安倍政権当初は、米国に行ってもオバマ大統領には歓迎されず会談でも顔もろくに合わせず、記者の求めでやっと握手する光景をテレビで見たが、誰が見ても日米に溝があったことは分かった。
尖閣諸島での中国の領海侵犯、北朝鮮の核ミサイル問題など「日本国民の命、生活を脅かす周辺事態」が顕著になり、これではだめだと思っただろう。日米関係強化が抑止力に繋がることぐらいは誰だってわかる。普天間移設問題も日米関係では重要な政策課題でとん挫させるわけにいかない。
安倍総理の意向と日米関係強化の政策で一致を見たのが「アーミテージ・ナイ レポート」だったのだろうか。安倍総理の指示で対米政策、自衛隊の活動範囲を検討する段階で外務省がこのレポートを引っ張りだしたことは容易に想像がつく。
日本政府が外圧に弱いことは分かっている。
2001年ごろに「年次改革要望書」という形で日本と米国の経済発展のために改善が必要となる規制、制度がまとめられ日米経済パートナーシップの一環として取り組まれた。小泉政権での郵政民営化は有名だ。
当時は毎年進捗状況をお互いの政府に報告するようになっていて在日米国大使館のHPでもトップページの右下に「年次改革報告書」があってクリックすると詳細な内容が載っているページが開いた。でもこれも民主党・鳩山政権で廃止になった。
ところが今も2011年ごろの状況は在日米国大使館のHPで見ることができるが、そのページに行きつくまでに数回のクリックが必要だ。まず、トップページの「政策関連情報」→「経済通商関連」→「日米経済、国際経済一般」→「規制改革」→「日米経済調和対話」となる。
今は、民主党クリントン政権での第1次、共和党ブッシュ政権での第2次、民主党オバマ政権での第3次アーミテージ・ナイ レポートが指南役なのか。
6年で6人の総理が変わり、混乱が続き日米関係が「漂流」している状況の中で日本が「一級国」として「一級国」の米国とパートナーとして協力することが世界への貢献になるとしている。
しかし今回の安保関連法案は、安倍政権の稚拙な政権運営でその成立も強行採決の手段でしか可能性がない状況では「一級国」としての体裁を欠いている。
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