2015年7月6日月曜日

ギリシャ国民投票で61%が「NO」:民意を背景にEUから譲歩を勝ち取れるか

NHKおはよう日本 2015.7.6
注目を浴びていたギリシャの国民投票も世論調査では賛否拮抗の見方が出ていたが、国民の61%が緊縮政策に反対する「NO」を突き付け、この民意を背景にチプラス首相はEUに譲歩を迫る交渉を再開するらしい。

「今日、民主主義はEUの脅迫に勝利した」と宣言したのだ。

6月30日のIMFへの返済に際してギリギリまで交渉を続けていたが物別れで「延滞扱い」となった。デフォルトではないことはユーロ離脱の危機を一応回避したことか。

ギリシャは5年にわたる緊縮政策で経済は疲弊、失業率は高まって国民はこれ以上の緊縮政策はごめんだ」という意識が強い。反緊縮政策を掲げて政権の座に就いたチプラス首相も緊縮政策の譲歩を求めたがそれぞれの思惑が有り了解点には達していない。

ギリシャは「豊かな国が貧しい国を助けるべきだが、貧しい国に押しつけようとしている」という感情を持っているようだが、ドイツは「ドイツだって厳しい財政状況である。他国の放漫財政のツケを払わされるのはごめんだ」というのだ。

ギリシャの身勝手さには驚くばかりだ。

朝起きて、ギリシャの国民投票がどうなったか知るためにNHKnewsWebを開くと「ギリシャ国民投票 チプラス首相が勝利宣言」で85%の開票時点で反対61%、賛成38%で圧倒的に反対が多い。

IMFへの返済不能でカネが不足し銀行閉鎖、ATMに行列が出来、「今日の生活にも困っている」というテレビの画面を見ると、この体験は緊縮財政賛成に有利だと思っていたが、ギリシャ人の判断は逆だった。

国民投票、住民投票となると過半数が重要になるが本当に過半数が民意を反映しているのか疑問だった。多数決は必ずしも多数意見を反映していないという書籍が出ている(「多数決を疑う 社会的選択理論な何か」の書評 朝日新聞2015.6.14)。

それによると、多数意見では64%が必要と言うのだ。

そういうことを考えると今回のギリシャの国民投票の結果は緊縮財政反対の国民の民意を表していると思う。

ギリシャの公共放送も国民投票の結果を反対61%、賛成39%と報じた。

市場も反応し株価下落、ユーロ安に動いた。

ギリシャは民意を背景にEUと交渉すると言うが合意は難しいと言う。でも大事なことはギリシャをユーロから離脱させないことらしい。逆にギリシャに甘い判断をするとスペイン、ポルトガル、イタリアがどう動くか。

経済学での一番良い処理はギリシャのデフォルト、ユーロ離脱ということなのだが。


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2015.7.2掲載
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