何時再燃するのか、埋め立て処分場逼迫問題。一時廃棄物の埋め立て処分場が不足しているとともに不法投棄の急増など社会問題化したことがあるが、手間とカネのかかるリサイクル社会も受け皿の頓挫でうまく行っていないようだ。
以前から最終処分場の残余年数が問題になっている。いろんな資料を読むと残余年数は15~20年ほどだ。年によって埋め立て地の新設、増設、排出量の削減、有効利用で残余年数が違ってくる。
最近では2014年3月末で最終処分場の残余年数は19.3年という(朝日新聞2015.7.19 ごみどうしますか?)。
先日も新聞報道で東京23区から出る廃棄物の埋め立て処分場である東京湾埋め立て地の残余年数が50年余りだと分かった。新しい埋め立て地は無理で各自治体は有効利用、削減策で埋め立て地への持ち込み量を減らし埋め立て費の削減に努めているという。
ところが一方で、ゴミの再利用が行き詰まり資源化センターを体育館に改造する計画が出て来た(朝日新聞2015.7.18)。
それによると、循環型社会を目指し1997年群馬県板倉町が資源化センターを設立し脚光を浴びリサイクル社会の定着を目指したがうまく行かず体育館に転用することが決まったというのだ。
廃棄物は分別し可燃ゴミは固形燃料に、生ゴミは堆肥、熱源も再利用のリサイクル社会を目指した。ところが可燃物ゴミの受入量も20T/日の計画が実際には10T/日、固形燃料も6.5T/日しか出来ず、ダイオキシン規制や家庭ゴミでの塩素イオン含有がネックにもなったが計画通りには行かなかった。こう言うシステムは受け皿の確保が重要なのだが再利用場所が遠隔であると売値より運搬費がかかるのだ。
私も50年ほど前に可燃物、汚泥類を固形燃料にしようと考え検討したことがある。丁度北海道の自治体がドイツから固形化のマシーンを導入し固形燃料にして温室や学校へ燃料として供給する事例が出ていた。
検討結果ネックになったのが含有する塩素イオンと近くに消費場所がなかったことだ。
そしてこの頃、廃棄物の不法投棄が社会問題化した。一番の例は青森・岩手県境不法投棄事件だ。関東圏から集めた廃棄物が東北地方へ運ばれ正式に処理されるのであればいいのだが受け入れた企業もご多分に漏れず資金繰りが悪く不法投棄、未処理のまま丘陵地帯の地形が変わるほど埋め立てしてしまった。
地域の住民は早くから異常に気づき行政へ連絡するも行政の動きは鈍く、結果として巨大な不法投棄現場になった。最終的には排出者責任で排出者の割り出しを急いだが「不法投棄の認識」がなかったり正当な処理費を支払っていた例も多く、排出者が処理費を負担しても多くは自治体が代執行するしかなかった。
最近のテレビニュースで不法投棄された現場はきれいに原状回復されているようだったが、出てくる浸出水の処理は永久に続くことになる。埋め立て処分場に付く負の遺産が浸出水処理なのだ。
産業廃棄物処理業者の埋め立て処分場は10年ぐらいで埋め立てを終わって閉鎖する規模だ。
一般廃棄物の埋め立て処分場はどうなのか。近隣自治体と持ち合わせたり埋め立て業者に依頼したりするが土地の確保は難しい。埋め立て処分場の必要性は理解するが自分の近くは嫌だというエゴもは蔓延る。住民説得に長年かかりスムーズな計画が進まない。
例え可燃物を排出し固形燃料にしても燃やせば必ず焼却灰が出てくる。それを溶融して路盤材などに利用することも出来るがほとんどは埋め立て処分で処分場が必要になる。
今、環境方針で「ゼロエミッション」を唱っている企業もあるが、これはまやかしだ。
自分のところから出る廃棄物を有価物として有効利用できる企業に売却すれば自分のところから出る廃棄物はゼロになるが委託先、売却先では最終的には廃棄物となる部分がある。だから決して廃棄物がゼロということはないのだ。
埋め立て処分場がゼロになることはないだろうが、確保はしておかなければならない。震災時、廃棄物の処理がうまく行かなければ復興事業もはかどらないことは3.11東北地方太平洋沖地震で経験済みだ。
家庭から出る廃棄物がどう処理経過をたどるか、社会見学しておくのも有効ではないか。街に不法投棄が増えることだけは避けたいものだ。
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