2015年7月8日水曜日

どうなる新・国立競技場論争:安倍さんのIOC総会での発言がフレキシブルな考えの障害に

IOC総会での安倍総理の発言
NHKクローズアップ現代 2015.7.8
7日の日本スポーツ振興センター(JSC)の有識者会議で新・国立競技場の建設にGOサインが出たが、どうなるのか今まで出て来た論争は。責任を取らない官僚、一度決めたことを変更することがない官僚組織の特異性もあるが、なんと言ってもIOC総会での安倍さんの「他に似たものがない真新しいスタジアム」発言がフレキシブルな考えを妨げているのではないか。

事業主体であるJSCが有識者会議で現行設計案で総工費2520億円見直し案を提案し了承されたという。組織委員会会長の森さんが「よくここまで縮小できた」と評価したそうだがテレビの画面を見る限り老害以外の何物でもない。

工事費が高すぎると異論が出、槇先生などが1000億円安く工期も間に合う新しい設計案を提案しているがJSCは本気に検討した事があるのか。

旧・国立競技場を改修すれば安くて出来ると言う案も出ていたが、耐震性、国際基準に合致しない、解体工事も遅れているなどで早々と解体してしまって選択肢も減ってきた。文科省辺りの役人の作戦か。

そして今回の現行案での了承だ。

あれだけ責任追及、都民にどう説明するんだと息巻いていた舛添知事も了承したらしい。自民党辺りからクレームが付いたのだろう。十分にあり得ることだ。

その中でJOC会長がIOC総会で安倍さんが「他に似たものがない真新しいスタジアムの建設」発言を取り上げて「国際公約を守るのは重要」と後押ししたようだ。

2016年のオリンピック誘致で失敗した原因に「国民の盛り上がりがない」と言うことが挙げられていた反省からロシアに出張していた安倍さんがIOC総会が開かれるアルゼンチンまで飛んできた。そして会長が掲げる「TOKYO」のカードに現地の日本関係者、日本各地のスポーツ愛好家が歓喜に涌いた。

でも放射能汚染の心配が指摘されれば安倍さんは「アンダーコントロール」と胸を張った。この発言はその後の福島第一原発の汚染対策に支障を来したが、安倍さんの「他に似たものがない真新しいスタジアム」建設発言もその後の善良な国民、専門家のフレキシブルな考えを葬り去る事態になっている。

今わき起こっているギリシャのデフォルト問題は2004年のアテネ五輪での出費が大きく絡んでいるといわれるが、この新・国立競技場論争は我が国の今後の財政にも影響を及ぼす危険があるのだ。

アテネ五輪では競技場の他に周辺環境整備(?)として新国際空港、地下鉄建設、高速道建設など89.5億ユーロ(約1兆円)をかけた。その後の放漫財政で借金は日本円で42兆円、対GDP比177%になっている(日刊ゲンダイ2015.7.8)。

東京オリンピックも当初コンパクトな構想だったが会場を周辺都市に分散し東京オリンピックとは言えなくなってきたが施設整備費7141億円、東京だけで4500億円を用意しているとはIOC総会で猪瀬前知事が言及していた。新・国立競技場建設の工事費のうち文科省は500億円を東京に要求しているがこのおカネがあることが前提ではないか。

それにしてもアテネオリンピックの1兆円、東京オリンピックの7000億円超はオリンピック招致が高価につくことを表していないか。

政治家やスポーツ団体関係者はパフォーマンスを重視するが後で責任を持たされるのは納税者としての国民だ。


2020年のオリンピック誘致に負けた都市に笑われないようなオリンピックにしてほしいものだ。


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2015.7.6掲載
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