読売新聞 2015.10.31 |
30日の政策決定会合で日銀は追加緩和を見送ったが市場の動揺は見えず。市場も口先では追加緩和を期待するが、市場にこのまま大量のカネを流すことの弊害も分かっているので織り込み済みの行動をしているのではないか。
毎月2度の日銀の決定会合が注目される。「2%物価目標達成?」、「追加緩和?」、市場は消費者物価の動向を見ながら追加緩和を期待し予想を流すが、日銀の「追加緩和なし」でも動揺は少ない。30日の株価は19083円10銭で149円39銭高、円相場も120円70銭台で4銭高だ。
市場は口先では2%物価目標困難とみて追加緩和を予測するが、追加緩和の弊害も分かっているのだろう。
今回もGDPの伸び、消費者物価指数の伸びも芳しくない。日銀は「必要があれば躊躇なく」と言うが追加緩和は円安を導き輸入品の価格上昇で国内物価も悪しき上昇となり家計を圧迫、景気は冷え込む。
「脱デフレ」はアベノミクスの成果として政権、日銀ともに出来るだけ早く宣言したいところだろうが「2%達成目標」も「16年度前半」から「16年度後半」に先延ばしでは覚束ない。
そもそも何故、2%なのか。
安倍政権がスタートした直後、安倍総理と民主党・前原さんが予算委員会で質疑したことがある。安倍総理は「2,3,4%といろんな数値が出ているが、一番達成の可能性がある2%に決めた」と答弁し、前原さんが「その程度の根拠か」と言い、「今後も追求していく」と締めた。しかしその後、2%と言う数値が議論されたことはない。
中国経済の減速では中国経済の実態が不明確になってきた。中国政府はGDP成長率6.9%と言うが、中国で企業活動する経営者は「3~4%程度では」という一方、最近ではマイナス成長ではないかと言う見方が出て来た。
リーマンショック後、4兆元という巨額の投資で国営企業を設立、雇用を創出し7%を越える成長率確保で世界経済をけん引してきたように見えるが、今実体はボロボロの状況のようだ。
国内需要の不足、労働者の失業対策で海外へ手を伸ばそうとしている。南沙諸島の人工島建設、軍事施設化も、その一環である気がする。
中国経済の減速、新興国の景気停滞懸念がいつも上げられる経済指標伸び悩みの要因ではあるが日銀は「物価の基調は着実に改善」と評し、市場との乖離が見られるが日銀に何か秘策でもあるのか。
「2%物価目標は困難」と言えば、アベノミクスを否定する事にもなり、政権はぶっ飛ぶ危険がある。日銀は絶対に言えないのだ。
「金融政策だけでは物価2%は難しい」、黒田総裁、麻生財務相もことある毎に言及し政府の成長戦略に期待するがこれがなかなかうまく行かない。
「内需拡大」も重要なテーマではあるが中曽根内閣以降うまく行った例しがない。
米国の利上げのタイミングも重視する必要がある。米国もGDPの伸びは減速気味、個人消費、輸出の伸びも芳しくなく、雇用も問題を抱えて様子見だろう。
市場は全てを分かって「追加緩和」のアドバルーンを上げ、日銀は期待感を煽っているのだ。
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