中国共産党一党独裁体制で、経済を「市場の見えざる手」に託すことが出来るのか。先の米中首脳会談で習主席は「中国経済は順調に7%成長をしている」と強調したそうだが、テレビに映る中国本国の経済の状況は、資金繰りの悪化(?)で工事途中でストップした高層マンション群、人気のないショッピングセンター、天津大爆発、重要なイベントでは工場の操業を対しして青空をよみがえらせなければならない酷い大気汚染、泡立つ河川の水質汚濁、その一方で日本における中国観光客の爆買いとチグハグな光景では7%成長を信じる者はいない。
中国経済のバブル崩壊は上海株式市場の大暴落を招くが、それに対する中国政府の対応は後手後手の一方、23日の製造業の景況感PMIは47ポイントの低水準であることが分かり、米国市場は大幅下落で東京市場も17000円を割る大幅な下落となった。
連日の乱高下は、それだけ市場は迷っていることになる。
G20で中国は経済回復には5~6年はかかるだろうとみているが、中国の関係者は「10年は無理」と本音発言している。根は相当深いようだ。
中国経済は一体どうなっているのか。
中国経済は高度成長から中高度成長、製造業からサービス業、大型国有企業の改革などで節約型の成長路線の「新常態」という新しい正常な状態への移行途中あり、今の状況は問題ないと不安を払拭するのに懸命のようだ。
最近メデイアに中国の経済学者が目立ってきた。彼らの見方を拾ってみた。
リーマンショック後、中国は40兆元という驚愕の公共投資で景気対策をし世界経済をけん引してきたのは確かだ。国営企業をドンドン設立して1100社、冨の60%を占めるぐらいになったそうだ。
しかし、その結果は過剰投資→生産過剰でデフレ状態、日本企業では工場閉鎖、撤退の動きが出て来た。
過剰な労働力、生産過剰を回避する為に中国政府は海外へ進出を目論んでいる。「新シルクロード経済圏構想」がそうだ。
国内では、設立しすぎた企業を集約し過剰生産の解消、成長力のある産業分野への経済改革が必要になってくる。
資金、土地、労働を市場の力により利用する「市場の見えざる手」に託すべきだったが、中国政府は逆に「市場より中央」とばかりに国営企業の市場寡占、共産党の指導強化に出て来た。
国有の二大鉄道車両を合併させ国際競争力を付けさせようとする。最近インドネシアの高速鉄道建設で日本と中国が競争し、一時政権が変わって中止になったと思ったら新政権で中国が巻き返し中国案で決まったそうだ。要因の一つに政府の債務保証を不要とした支援があったようだ。
そして、デフレにかかっているために財政出動、金融政策の必要性を訴えている。そのためには中国人民銀行と市場関係者、メデイアとのコミュニケーションが大切になるが共産党一党独裁政治体制にあって政府の意向が強く反映しコミュニケーションなど不可能だろう。
中国経済のイノベーションでは国有企業の改革が必要であるが中国政府は寧ろ国有企業の市場寡占化を狙っている。
更に今、中国経済を引っ張っているのはIT産業でGDPの2割を占めている。今回の習主席の訪米でも米国のIT産業との会合が盛大だったことからもわかる。
しかし、製造業の復活は欠かせない。そのためにも中国でも「内需拡大」が重要課題になる。
見てみると言われていることの多くは日本経済にも当てはまることだ。
中国は、時と場所に応じて「新常態」への移行途上と強弁するが、実体は逆行する政策で「市場の見えざる手」に託した経済運営は共産党一党独裁の中国では不可能だろう。
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