横浜市都筑区の大型マンション杭打ち施工不良事件は根本的には元請けの三井住友建設の現場管理体制に不備があったのではないか。マンション建設と言っても地下の杭打ち工事などは土木工事で現場に元請けの土木技術者が常駐していたのか。
相次いでデータ改ざんが明るみに出、数百社の業者に社内調査を指示する事態になってきたが、杭打ち業者を批判する前に元請けの責任は重大である。
私も発注者の立場で土木建設に従事した経験がある。
自分の会社の系列に建設会社があるのでその会社を元請けにしなければならなかったが、経験がないために下請けに大手ゼネコンを付けたので実質的には大手ゼネコンが元請けの立場で工事を実施した。
元請け会社が実際に手を付けるのではなく県内の土建会社が下請けにはいる。元請け、下請け、孫請けになるとそれぞれが管理費をピンハネするので孫請けはコスト的のも苦しい立場だろう。孫請けでもその下には日給月給の作業員が雇われる。
だから下層階級が多いほど、元請けや下請けの現場管理が重要になる。
でも元請けにしても現場に所長は勿論社員が何人付くかだ。請負金額でそれは決まる。今回の元請けである三井住友建設が現場に何人社員を配置していたかだ。更に地下工事は土木、上物は建築になるが杭打ち工事期間中に三井住友建設の土木技術者が付いていたかどうかだ。多くの場合は建築技術者が見ることになるのだろう。
又、マンション売り主の三井不動産販売が建設費を押さえようと思うと元請け、下請け、孫請けにも影響する。旭化成建材がどんな会社か知らないが自ずと作業員の質も落ちることになる。
また、発注者、元請け、下請け、孫請けの上下関係ははっきりしているのだ。元請けの担当者が経験の浅い技術者であっても経験豊富な下請け、孫請けの社員が元請けに意見を上げることはなかなか難しい。愚痴を言い合っている場合もある。
私の場合は、オフサイト関係の管理者であったが建設現場には常に顔を出していたために下請けや孫請けの作業員が気楽に情報を上げてきてくれたので重要と思う事項に関しては元請けと話し合うことも出来た。下請けの作業員が言っていると言うことではなく自分が感じ事として話した。
又、他の工場の土木事案ではプロジェクト・リーダーになり、長さ45m(15m×3本)、25カ所の杭打ち工事をしたが、杭には番号を打ち、全箇所を写真撮影、地下の支持層に達したことは電流計で確認する作業をやった。
嫌気性排水処理の反応槽を建設する工事だったので不等沈下したら設備としては致命傷になるので杭打ち工事は最重要工事の認識があった。
そういう経験から考えて、今回の大型マンションの傾斜事案は驚きだ。日常業務として杭打ち工事をやっていたとしたら事の重大性に対する認識が甘くなっていたのではないか。
慣れっこよりも怖さを知って仕事をする事の重要性が再認識できる最近の事案ではないか。元請けの三井住友建設の責任は大きすぎると言っても言い過ぎではない。
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2015.10.15掲載
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