経団連 傘下のの企業の設備投資、研究開発投資 を呼び起こすことが出来るか。経済界の日本の 将来ビジョンを具体的に示せ |
先の記者会見で成長率の足踏みで記者から「補正予算?」と聞かれた麻生財務相が「補正は考えていない。14年度予算、15年度補正でやって欲しい」と言う意味の発言をし、加えて「今は財政出動から民間出動ではないか。法人税を下げろと言うから下げたが、企業の内部留保は356兆円になっている」とコメントしていた。
麻生財務相に言わせれば財政政策を当てにせず、内部留保も多額になっているのだから今度は企業が投資意欲を持つべきではないのかと言うことだ。至極もっともな話で、企業の言うことを聞くばかりでなく政府は経済界と意思疎通を図るべきだ。
安倍総理は日本が世界で一番企業活動しやすい国にすると言って法人税の減税に取り組んだ。これで経済成長路線に乗り企業が儲け、国は税収が増え、儲けの再分配で家計も潤えば消費も増え物価も上がり経済の好循環が期待出来ると見ている。
しかし、税率と経済成長の相関関係はないのだ。朝日新聞(2015.10.9)のクルーグマン・コラムでクルーグマン先生が指摘している。今までのアメリカの例をあげ増税しても経済が活況を呈したし、減税しても経済回復は遅れ、経済破綻した例を挙げて説明している。
結局、政府は企業や富裕層が減税を望んでいるから大幅減税し、富裕層や企業は儲かり米国にとってはいいことと思い込んでいるというのだ。
だから減税を進める安倍政権の経済政策は悪い経済学なのだ。
ところで、おねだりばかりの経済界は何をしようとしているのか。内需拡大、雇用創出、所得の再分配は将来の質の良い労働力を確保するためにも必要であるが、今やっていることは逆のこと。このままでは将来企業に大きなツケとなって帰ってくる。
Keidanrenの「豊かで活力のある日本の再生」(2015.1.1)見てみた。
経済活動における家計、企業、政府の役割を説明している。2013年度の実績で年間付加価値が276.3兆円、このうち170.5兆円(全体の60%)が給与、4540万人の雇用を創出、2760万世帯を支えているという。営業利益は21.4兆円で設備投資、研究開発投資の原資になっている。企業からの税、社会保障料の負担は48.3兆円で国民の生活の安心、安全を担っているというのだ。
ところが、この年間付加価値は20年前の水準と変わっていない。企業の持続的成長は国民生活の向上と一体を成すものであるがこれが20年間変わっていないのだから大変なことなのだ。
国民の生活をより一層豊かなものにするために,企業は自ら収益力を強化し、付加価値を一層たかめなくてはならないが、自ら主体的リスクをとって、投資などの事業拡大→成長社会の創出→雇用、賃金の拡大努力することが求められているという(同上)。
15年間のデフレ、名目GDPは20年前の水準を下回り、日本だけが成長から取り残されているが、明るい未来を切り開き、子や孫、次世代に活力ある経済、社会を引き継いで行くことが今の我々の責務であると言う。
そして、企業として設備投資、研究開発投資を活発にさせ、積極経営を通じてイノベーションを推進、世界の成長に積極的に取り組み新しい成長の機会、雇用機会を国内で創出、自ら経済の好循環を生み出すと言う。
経団連としては、「イノベーション」「グローバリゼーション」が経済活動の源泉として2030年のあるべき姿、2020年代に実現する日本の姿を見据えたビジョンを描く。集中的に取り組む課題を明らかにし若い世代に勇気と希望を与え挑戦を促すビジョンを実現したいというのだ。
良いことを言っているが、今進んでいる雇用形態、非正規従業員の増加など若者に希望を抱かせる ことが出来るのか。
何故、内部留保が356兆円のもなっているのか。ついこの前260兆円と言われていたがもう100兆円も上積みされている。
内部留保を崩して「投資しろ」と言っても積極的に取り組む事業が見つからないでは困る。所謂、内需不足では投資もままならないと言うことなのだろう。おまけに少子化、人口減では成長の足かせになる。だからといって急に出生率を1.4から1.8に上げたとしても労働力になるのは20年かかり、先立つものは財源だ。政府が政策に取り上げたから直ぐ出来る問題でもない。
企業の儲けを家計へ再分配するシステムも不十分だ。過去にも中曽根内閣で「前川レポート」、福田内閣で「21世紀版前川レポート」で内需拡大での政策が提言されたが、所得の再分配で企業側の理解が得られず成果を見なかったと言われている。
政府は経済界の要望を聞いていろんな政策の実現に向け進めているが、問題は経済界、企業の意識次第なのだ。
経済界、企業が将来の日本にどんなビジョンを描いているか。国民と共有するためにもしっかり発信していかなければならないのではないか。
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