2015年10月26日月曜日

追加緩和で市場vs麻生財務相vs米財務省:さて肝心の日銀はどう動く? いずれにせよ国民と情報の共有を

1030日に日銀が追加緩和するかどうか、市場は期待するが麻生財務相は否定する。米国からも金融制度でクレームが付く。肝心の日銀はどう考えているのか。金融政策で国民の生活、物価を守る日銀は国民にしっかりした説明が必要ではないか。日銀は「緩やかな回復基調」「2%物価目標の安定的達成時点まで」とオーム返しするが、実体経済との乖離感もあり国民にしっかり説明し、情報の郷勇が必要ではないか。

世界的に物価上昇率の伸びない経済環境下で市場は勿論のこと、中央銀行も追加緩和を示唆しだした。新聞報道では、EC圏でも物価上昇率の伸び悩みから市場や欧州中央銀行総裁のドラギ総裁も12月に金融緩和の度合いを見直すと言い追加緩和を匂わす。

我が国も強気の日銀黒田総裁発言とは裏腹に実体経済との格差は拡大を強めている。

市場は原油安で物価は伸びず来る30日の決定会合では追加緩和に踏み切るのではないかと期待感をにじませる。2016年度の物価上昇も1.9%だったが下方修正も必要になると見ている。

一方麻生財務相は、23日の記者会見で「物価が上がらないのは需要がないため、金融政策だけでは目的に行きにくい状況だ」と追加緩和に否定的な考えを示した。

経済財政諮問会議でも麻生財務相はこういう発言をしていたが内需拡大策を打ち出さなければ景気回復、物価上昇は覚束ないのは確かだが、補正予算は考えていないとも言う。「財政出動ではなく民間出動」を煽るが、経済界の反応は鈍いか。今、政府で正論を吐いているのは麻生さんだけか。

肝心の日銀はどうか。

「緩やかな回復基調」、「物価の基調は確実に高まっている」、「デフレ状況ではなくなった」、「2%物価目標が安定的に維持できる時点まで何でもやる」と強気の発言を黒田総裁は繰り返しているが、本気でそう思っている民間エコノミストはいない。

一旦、日銀が弱気になると安倍政権の経済政策であるアベノミクスの信頼が吹っ飛び、政権維持も覚束なくなる。実体経済との格差が拡大しても強気の発言を繰り返さなくてはならない。

更に、また黒田総裁、岩田副総裁の公約を反故にした。2%物価目標達成15年度中から16年度前半にしていたが、更に先送りし16年度後半になるという。何時、責任を取って辞任するのか。

市場は追加緩和を期待し、織り込み済みの動きもあるが麻生財務相の発言もあり政府と板挟みの状況だ。安倍総理に至っては何も分かっていないのだ。

そこに米国の「円が過小評価されている」発言が飛び出した。ロイター(2015.10.20)による米財務省・為替報告書の中での記述らしい。日本は内需が完全に回復していない。この状況下で債務削減に固辞すれば景気回復もデフレ脱却も脅かされる。

ここは、財政政策を調整し金融政策や円安による外需主導の成長輸出への過度の依存を避けるべきだと提言する。

昨年の為替報告書でもアベノミクスによる大幅な円安にもかかわらず輸出は伸び悩んでいる。金融政策では行き過ぎた財政再建を穴埋めできず構造改革の代替にもならないとし成長を促す構造改革の実行を主張する。

米国はドル高/円安を警戒しているのだ。

更に年内にはFRBが利上げをするかもしれない。今は新興国の経済減速で株安、国内の雇用も大きく変動しているため見送られるようだが、万一利上げに踏み切ったときはドル高/円安に動く。

そうなると米国も輸出が停滞するだろうが、我が国だって円安で輸入品高から来る物価の上昇は悪い経済循環の様相を呈する。円安で海外の生産設備の日本回帰も見られるようだが生産設備の海外移転は変わらない。

一時は評価された安倍総理の経済政策であるアベノミクスも今は、海外でも評価は落ちている。

安倍総理は政権の評価として株価を上げていたが、欧米の経済事情で大きく変動し、よく言われていることだが東証株価もドル換算すると約145ドルで安倍政権発足時とそう変わらない。

そこで30日の決定会合で日銀はどう判断するかが注目なのだ。。
質的・量的金融緩和策は「劇薬」、行き過ぎは弊害をもたらすだけと言われている。

出口戦略も考えなければならない。決定会合で木内委員は、マネタリーベース及び長期お国債保有残高が年間約45兆円に相当するペースで増加するように金融市場調整を提案しているが、いつも1vs8で拒否されている。

更には今までのペースで買い入れすると市場に出回る国債量も減り、あと12年で行き詰まる可能性もあるようだ。

でも、その時は安倍政権も終わり頃で、アベノミクスも行き詰まったと言っても政権にそれほどの影響はないだろう。

黒田・日銀は市場の期待感ばかり煽らず、実体経済に即した国民の納得のいく金融政策を行うべきで、国民に積極的にメッセージを送るべきだ。


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