今、世界経済はリーマンショック以前に似てきたが、次の世界金融危機でも米国に頼ることができるか。リーマンショックから10年、日本経済の検証記事が新聞に載っていたが、アメリカ経済も減税での好景気、海外資金で消費を続ける慢性赤字の構図はリーマンショックの一因でもあったが、今のアメリカの経済状況も同じなのだという(朝日新聞2018.11.18「不均衡 抜け出せぬ米経済」)。
次の危機でもアメリカに頼れるかは疑問だというのだ(アダム・トウーズ・コロンビア大教授)。
アメリカの消費マインドは高水準で18年7~9月期の実質GDP成長率は年換算で3.5%増を記録、参考に日本はマイナス1.2%だ。
ところが世界経済はIMFが世界経済成長率を下方修正し3.7%と予測している。米中貿易摩擦などで投資の冷え込むとみている。
世界危機の火種はあるのだ。イタリア、ギリシャのように国内財政悪化での欧州危機、ポピュリズム台頭での内政混乱、世界経済をけん引してきた中国経済の減速、更には金融システムの不透明さが挙げられている。
米国も「経常収支」は慢性的赤字を抱え2018会計年度の財政赤字は7790億ドル(約87兆円)、6年ぶりの赤字幅といわれている。トランプ大統領の法人税減税、軍事費アップが影響しているのだ。
アメリカの対日赤字は約7兆円、対中赤字は約40兆円、トランプ大統領は赤字慢性化を回避するために「保護主義」「二国間貿易」、関税貿易戦争に出た。
米国へのマネー流入→高額金融商品、サブプライム住宅ローン→リーマンショックの発生。
エリザベス女王がある大学の経済研究所の落成式に出席した時、周りの経済学者に「どうして経済学者はリーマンショックを予知できなかったのか」と聞かれ、経済学者は即答できなかった。後日、「一部の学者は感じていたが経済全体を見る目がなかった」と答えたそうだ。
皆がバブルの熱病にさらされると正しい判断が鈍るのだ。専門家も同じなのだ。
リーマンショックを振り返り専門家は、金融危機はリーマンショック以前からあったと指摘する。
「今の経済状況と変わらない」、「家計が財力を超えて借入する」、「格差が拡大」、「減税するも財政は悪化」している。
アダム・トゥーズ・コロンビア大教授は、「世界金融危機は米国のせいとみられているが間違っている。1/3は欧州の金融機関がかかわっていたし、FRBは大量のドル資金を銀行に供給したが半分以上は米国以外の銀行支援だった」と言うのだ。
米ドルは基軸通貨だから危機が発生すれば米当局の反応にすべてがかかっているが、トランプ大統領ではどうなるかわからないと警告する。トランプ大統領は世界危機への対応を一手に負うとは考えられないのだろう。
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