読売新聞 2018.11.15 |
GDP以外では個人消費マイナス0.1%、設備投資マイナス0.2%、輸出マイナス1.8%、公共投資マイナス1.9%、住宅だけがプラス0.6%そして名目成長率は年換算でマイナス1.1%だ。
住宅を除くと内需、外需共に不振、堅調とみていた輸出も落ち込んだのだからショックも大きい。主たる要因は北海道の地震、連続して上陸した巨大台風など自然災害が上げられている。
先行き世界経済もIMFは実質GDPで0.2%減の3.7%に下方修正された。米中貿易摩擦、中国経済の減速、欧州のポピュリズム台頭に見られる政情不安、英国のEU離脱などリスクは限りなく存在する。
個人消費の伸び悩みも物価の上昇とともに家計収入の伸びない要因もある。内閣府が発表した「雇用者報酬」も調査方法の変更、見直しもあったが1~3月期3.1%増~2.7%増へ、4~6月期は4.1%増から3.4%増へ、7~9月期は2.5%増に下落だ。これに外国人労働者の受け入れ増は日本人の所得にも下落の要因にならないか。経済界は労働力不足を訴えているが結果として、労働賃金下落に期待しているのだ。
労働者賃金増→消費喚起→設備投資→内需拡大の好循環経済に規制緩和、構造改革と政府の政策が重要になる。ところが政府はやっていると言うが「モリカケ」問題に見るように内容には乏しい。
日銀の異次元の金融緩和も肝心の日銀の金融政策にはリスクが付く。日銀の国債保有は550兆円で日本のGDPに匹敵するまでになった。出口戦略になると長期金利アップ、日銀の経営に影響大だ。リフレ派で占めた政策委員も慎重論に傾いてきた。銀行経営にも影響を与える副作用が気になりだしたのだ。
企業は量的緩和で市場に溢れたカネは投資よりも内部留保に務め、440兆円にもなっているらしい。これに課税しようと思ったら2重課税と経済界は怒る。法人税の下げ、富裕層も含めた優遇税制を見直すべきではないかと思うが、一度得た利権は手放さない。巨大企業の納税額には驚くほど少ないのだ。
7~9月期のGDPをはじめ主たる経済指標のマイナス成長の要因は自然災害のためなのか、それとも前期が良すぎたためか。日本経済は一体どのレベルで安定なのか。
政府、内閣府が発表する経済指標は信頼出来るのか。政府と民間機関が発表する値にはギャップがある。そのために経済評価、運営にも違いが目立つのだ。これで良いのか。勿論政府が発表する指標は政策的な意味もあって高めになっている事もあるだろうが、政策の失敗を繕うようなことがあってはならない。
つい先日、日経新聞(2018.11.13)に「GDPなど、日銀が制度に不信感」という真相深層に興味を引く記事が掲載されて。
それによると、日銀と内閣府が基礎データの提出を求めつばぜり合いをやっている。元データを求めて日銀がGDPの精度を上げようと考えているのだ。政府が使っている1次統計の精度を上げれば2次統計であるGDPの精度も上げると言うのだが、統計に携わる人員が少ないのだ。リーマンショック後、各省の統計部門の要員は半減しているらしい。それでも増員しているが間に合わないらしい。
GDP統計の揺らぎは脱デフレで政府と日銀の政策判断を誤らせないか。
デフレか、デフレ脱却か、デフレへの逆戻りがあるのか、その判断は内閣府や民間機関の調査に依存している。昔から言われていることだが、1次統計の生データ、国がやっているGDP統計処理法を公開すべきではないか。
国よりも民間エコノミストの方が信頼出来るのではないか。
0 件のコメント:
コメントを投稿