米国、トランプ大統領の「保護主義」、中国、習主席の「自由貿易」、GDP第1位のアメリカと、第2位の中国が世界経済の至る所でかき回し、APECでは共同宣言も出せない事態になっているが、アルゼンチンでのG20首脳会談ではどうなるか。
第3位の日本は両国からのエールを送られ右往左往、仲介役など出来ない。
読売新聞(2018.11.25)「地球を読む 自由貿易論」で猪木先生は「歴史は、自由貿易を常に正しいとしたわけでも、保護主義を常に擁護してきた訳でもない。いずれを主張するにも目的と守るべき理念が求められる」という。
トランプ氏は「一国主義」以外の理念が不明確で自己矛盾を起こしていると指摘する(同上)。
欠けている「理念」とは何だろうと考えてみた。アメリカは「優位」、中国は「覇権」だろうか。
昔、貿易とは「比較優位の原則」で、それぞれの国が相手国に対して優位となる財、サービスを交易してそれぞれに利益があることと習ったことがある。ところが今は大違いだ。経常収支で、一方が大赤字を抱え、他方が黒字計上していては長続きする交易ではない。それがアメリカであり、中国だ。
トランプ大統領は寂れた産業とその地域の復興、失業対策で「アメリカよ再び」と「保護主義」を訴え、多国間交渉から二国間交渉へ。特に膨大な貿易赤字の解消に対中国に対して高関税貿易戦争に打って出たが、輸入額に大きな差があるため中国は関税へ「弾切れ」の状態だ。
しかし、アメリカも農業や米国産業でも打撃を受ける企業もあり、日常雑貨品も値上げになるために国内経済もマイナスの要因になってきた。
一方、中国は輸出市場拡大のために「自由貿易」を推奨する。習政権はアメリカに取って代わろうと「覇権」の拡大路線に出た。AIIBに始まり「1帯一路」構想、大幅貿易赤字、知的財産侵害はアメリカの安全保障にも関わる事態と判断、トランプ大統領は中国に危機感を抱いた。
しかし、中国も国際競争で有利になっているとは限らない。経済成長率6.5%で世界経済をけん引しているが投資資金の増大、国内生産増→過剰生産→在庫を抱えての製品の下落、中国労働者の労賃の上昇、格差拡大、「一帯一路」構想では相手国に債務を強要、反対のためのテロ行為も発生している。
このままでは中国の「覇権主義」も行き詰まるだろう。「一帯一路」構想に対抗しインド太平洋インフラ整備構想をトランプ大統領が打ち出した。日本にもエールを送られている。
ところがトランプ大統領は「一国主義」以外の理念がないために自己矛盾を起こしているという(同上)。
確かに国内経済政策とはかみ合っていない。法人税減税、金融や自動車の規制緩和で消費や投資が増え、これが経常収支の赤字の積み上げになっている。更には金利高→ドル高→輸出に不利と悪循環だ。
このままでは経常収支の赤字増大、更には悪化と自己矛盾が「裸の自己利益」だけを求める理念なき政策が早晩遭遇せざるを得ない運命ではないかと言うのだ(同上)。
アメリカは貿易で「優位」になろとしたが、益々「不利」になり、中国は「覇権」拡大を狙ったが共産主義政治には世界覇権の可能性は少ない。
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