「品質は現場で作り出すもの」ではないのか。今、メデイアを騒がせている日本を代表する大企業の品質不正問題には驚くばかりだが、これが大方の品質管理の本当の姿ではないのか。
日立化成の品質不正問題は今から約50年前の1970年代からはじまっていたと言うが、品質管理の国際規格ISO9000番シリーズは31年前に整備されたのでその時に見直していれば良かったのにどうしてしなかったのか。
一般的に品質保証部門は、営業、研究、製造部門に較べてアウトサイダーで、権限も弱く、納期、コスト、社内効率が優先だ。品質に関する最終責任は本社の営業部門の長で事業所長(工場長)ではない。
顧客も品質を要求するが、立ち会い検査はしない。お任せだ。免震ダンパーの不正も発注者やゼネコンが同イズテ立ち会い検査をやらなかったのか。
品質部門との人事の交流も少ない。リーマンショック後、人員整理はこう言う部門からだ。人は減らしたまま仕事が増えても増員しない。だから手が回らないのだ。
内部通報制度はあるが、するかどうかは迷う。評価を落とされたり人事で不利になる。改善につながるのはほとんどない。
一番悪いのは。経営者の意識だ。自社の製品に関しての責任が経営トップにない事が品質不正の原因になっている。経営者の日常業務上に品質管理を入れるべきだ。そうすれば品質管理部門の社員の意気も上がるし全社員の意識も改革出来る。
新聞報道によると、日立化成の再発防止策に経営者の意識改革、内部通報制度の信頼性を高め、品質保証の担当本部を設け監視や改善を指導するという。
今時、そんな事で良いのか。
JR東日本の社長が今までの事故を風化させないための施策をいろいろやっている事を紹介したテレビ番組を見た事がある。その時大事な事を言っておられた。
「安全は守るものではない。作り出すのだ」と。安全もそうだが、品質もそうだ。本部を設置し監視や改善をするのも良いが、「品質は現場で作り出すもの」ではないか。各製造工程で「品質確保」の手段を設け品質保証部門は最後のチェック部門なのだ。
顧客の要望、納期、コストも製造部門で作り出すべきで、それ以外の部門で作り出そうとすると不正が起きる。
品質保証、安全は経営者、企業が絶体に守らなければならない事だが、残念ながら意外に軽視されている。「カネ儲け」にならないとでも言うのか。
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