2021年1月24日日曜日

今日の新聞を読んで(430):支持率、求心力が総理の条件か

 

内閣支持率が下がると「メデイアの世論調査での支持率に一喜一憂せず、政治を前に進めよ」と自民党の誰かが言ったと記憶しているが、国民に都合のいいことがあれば支持率は上がるが、国民にとって厳しい政策でも遂行しなければならないのが総理であり、政権だ。 

新型コロナ対策で支持率を30%台に落とす菅総理にとって緊急事態宣言の期限である後2週間に東京の感染者数が500人以下になることを一番願っているはずだが、期待するワクチン接種も菅総理の「6月まで・・・」という発言をよそに河野担当相、官房副長官、厚生労働相で情報の不統一が目立つ。 

更には東京オリンピック開催の是非が海外から入ってくるし、朝日新聞のアンケート記事でアスリートにも複雑な思いがあるようだ。女子長距離ランナーの新谷選手がテレビで「アスリートとしては開催を希望するが、国民としては中止したほうが言い」と複雑な心境を吐露したが正論だろう。 

菅総理は「コロナに勝った証」としてやるしかないと思っているようだが、国民の8割は「中止」だ。判断を誤り、混乱を増せば支持率は下がる。 

支持率が下がれば自民党内での求心力も低下、総選挙に向け「選挙の顔」ではないと「菅降ろし」が始まるだろう。そうなるとポスト菅がいるのか。菅内閣支持の理由に「他の人よりマシ」と消去法での支持が高い。 

朝日新聞(2021.1.24)「日曜に想う 「求心力 回復のパターンはあるか」が目に留まった。

 

朝日新聞 2021.1.24

自民党のリーダーの生まれ方を4つの類型にまとめ、「無投票型」2人、「野党総裁型」2人、「派閥優先型」8人、「挑戦型」2人にまとめている。 

今の菅総理は「派閥優先型」に属している。二階さん主導で「安倍政権の継承」をうたい文句に「菅さんしかいない」とすでに名乗りを上げていた石破さん、岸田さんに挑戦した。全党員投票だと地方で人気のある石破さんに勝てないと見たのか二階さんは国会議員による投票にごり押しした。結果、石破さんは3位、岸田さんが2位になり石破さんの芽を摘んだ。 

自民党政権のリーダーは「派閥優先型」が多く、14回のリーダー選びで8回だ。安倍さん、菅さんを除いては皆派閥の長だが、町村派で町村さんが出馬したので安倍さんに「降りろ」という声が上がったが安倍さんは断り、安倍さんが勝ったのが9年前の総裁選だった。政権を放り出した安倍さんは再び政権の座に着いたのには驚いた。 

「無投票型」では宇野さん、森さんがいる。 

宇野さんはリクルート事件で辞任した竹下さんが指名したが、「妾」問題が出てきて短期で辞任した。総選挙にも街頭に立てない状況だった。森さんは「神の国」発言などで顰蹙をかいこれも短期政権だったが、当時の総理の小渕さんが病に倒れて後継をどうするかになったが、自民党の重鎮が集まり密室で「次は森さん」と決めた。表向きは小渕さんの意向となっているが、小渕さんはそんなことが言える状況ではなかったのだ。 

無投票というと椎名裁定でクリーンな三木さんが総裁、総理になったことを想い出す。金権政治で「政治とかね」が問題になって田中内閣の後、「クリーンさ」を強調するために椎名さんが三木さんを指名したのだ。 

その三木さんも党内のゴタゴタで「三木おろし」になり短命に終わった。国民の支持は得たが、党内での反発が高まったのだ。三木派も自民党内では弱小派閥だった。 

総理になれなかった「野党総裁型」に河野さん、谷垣さんがいる。河野さんは当時「総裁になれなかった唯一の総裁」といわれたが、今谷垣さんが加わった。谷垣さんは自民党が下野しゴタゴタしていたときに自民党をまとめた。政権奪取前の総裁選で谷垣さんが本命であったが、当時の幹事長だった石原さんの出馬意向が強かったために出馬を断念した。自民党が不利な立場に立ったとき何時も「谷垣頼み」が出てくるが、今は引退した。 

今、谷垣さんが引退していなければ自民党の「救世主」として総裁、総理の芽が出ていたのではないか。惜しい人材だった。 

そして何と言ってもポピュリズムの台頭になった「挑戦型」の小泉、2期目の安倍さんだろう。小泉さんはすでに数回総裁選に出馬し、名前も知れ渡っていたが、泡沫候補から立ち上がった。「反対するものは抵抗勢力」と自民党重鎮を黙らし、郵政民営化、高齢議員の辞任など改革に力を入れた。年金制度が社会問題化する前に国会を閉じ、早々と議員辞職し総理としての汚点を残さずにすんだ。「後任は」と聞かれ「安倍で良いだろう」と後継者を指名した。 

就任時は期待感もあって支持率は高いが、次第に能力がばれて下落、特に国民生活の大きな影響がある政策、たとえば民主党菅政権時の福島第一原発事故対応、そして今の新型コロナウィルス対応での国民の不満は手厳しい。どの政権でもこの種の対応は苦手なようだ。

求心力は党内問題だ。大臣待望組のどう答えるか、派閥の長の支持、選挙に強いかなどが左右する。安倍政権が長期政権だったのは、「恐がられた」ことと選挙に強かったことではないか。 

自民党政権は政権を維持するために不祥事には説明責任を果たさず、つぶしにかかり、内閣人事制度を悪用し忖度政治、公文書偽造、隠蔽など民主政治の根幹を揺るがす事態になり、改善の気配すら感じられない。 

野党は政権交代できる状況にはない。ここは自民党内での政権交代に掛けるしかない。

 

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