13日深夜の福島県沖地震M7.3,震度6強の発生を予想した人がいるか。先に起こった3.11東北地方太平洋沖地震はM9の巨大地震であったためにアウターライズ地震や余震の危険を指摘していた専門家が多い。更にこの付近は地震多発地帯である。気象庁のHPから「最近の地震情報」を見ても常に地震が発生している。
測量学の村井先生のMEGA地震情報でも常に危険ゾーンになっているが、昨年12月29日の新春特別号で予知に近い発表をしている。根拠は地殻変動が4cm以上になれば危険を見ている。
zakzak 夕刊フジ 2021.2.15
MEGA地震予測で震度5弱から震度6強の
地震が2021年1~2月に発生する可能性が
あるという
しかし今回の地震で死者は出ていないようだ。新聞報道での被害状況は負傷157人、家屋1700棟損壊、死者が出ていないのは何故か。
テレビのインタビューでの被災者のコメントに「10年前の地震より今回の方が被害が大きい」という。でも倒壊した建物の下敷きになったり、家具ではさまれたり、崖崩れに巻き込まれたという情報もない。
深夜にもかかわらず、避難所にはコロナ対策もされたテント仕切りが見られる。以前からいろいろ検討されていたことが役立っているのだろう。
読売新聞(2021.2.16)「編集手帳」に歴史学者の磯田さんのコメントが記載されているのに気が付いた。磯田さんは古文書などを読み解いて先人たちの知恵を紹介している学者だ。
磯田さんは、今は「災後」では無く、「災間」だという。貞観地震で巨大な災害が終わったのではない。地震、津波、風水害による災害と災害の間に生きているのだという。
日本は災害大国だ。今の21世紀は巨大な災害が相次いだ9世紀とよく似ているのだという(「歴史の中の大地動乱」保立道久書、岩波新書2012.8)。だから今必要なのは防災意識だ。
磯田さんは「防災とは起きてもいないことを想像することが防災の生き方だ」と言う。
3.11東北地方太平洋沖地震、津波災害でも報道で思い出すのは、大きい児童が小さい児童の手を引いて高台へ向かう姿、老齢の女性が一人で高台へ向かって急ぐ姿、日常の訓練、親から聞いた「教え」を黙々と守っている姿だ。
親や知人が津波被害に合っているかもしれないが、今は自分が助かることをしなければならないのだ。
朝日新聞(2021.2.16)の記事でも京大防災研究所の矢守教授が「「揺れたら即逃げる」が鉄則と言う。今回の福島県沖地震では早いうちに「津波に心配なし」との情報が流れたが、その後の情報を注視し避難できるようにしておくことが大事」と言う。正論だ。
「逃げるが勝ち」なのだ。
京大教授の鎌田先生は1100年前の869年に起きた貞観地震M9,10mの津波についての知識は専門家の間では知られていた。地層にも痕跡が残っている。しかし知識としては分かっていたが、思考力、想像力が鈍っていたために(今回発生することなど)想像できなかったのだという。
「津波がやってくる」→「高台へ逃げる」、これが出来なかったのは「腰は動かなかった」のだという。
政府の調査機関や専門家は巨大災害の発生を警告するが「いつか」は分からず、「当分大丈夫だろう」との「安心バイアス」が働き気が緩む。
寺田寅彦博士も言うように「文明が進めば進むほど天然の暴威による災害が激烈の度を増す」、「災害を大きくするように努力しているのは我々文明人なのだ」とも言う。
何時発生してもおかしくない首都直下地震、2030年の中ごろか、まだ200年先か分からない南海トラフ巨大地震、その前に発生する内陸型巨大地震もある。
万一発生するとどういう状況になるか。誰が想像できるか。
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