2021年2月5日金曜日

菅総理の「いばらの道」:いつ政権を放り出すか、早ければ早いほど良いか

 

菅総理就任で6か月が過ぎるが「いばらの道」だ。政局を考えるといつ政権を放り出すかだが、早ければ早い方がいい。菅総理の発言で一番頭に残っているのは「仮定の問題には答えられない」だ。緊急事態宣言を発出した時、記者が「解除の条件は」と質問した時のコメントだ。過去にも何回か聞いたことがある。 

何だ、何も先のことは考えずにやっているのかと思ったら「いろんなことを考え、悩みながらやっている」と言うではないか。だから「後手後手」になっていると批判されるのか。新型コロナ対策も「専門家の意見を聞きながら」が口癖だが、政治的判断は別なのだ。「国民の安全と健康」第一ともいう。 

それでも菅総理の150日間の通常国会の道は「いばらの道」だ。政局になれば政権放り出しの決断も迫られる。 

緊急事態宣言の延長期限はまた「1か月」だ。今度は再延長は無理だろう。とりあえずの注目は7日の新感染者数だ。解除の条件が東京では感染者数500人以下、病床利用率も考慮しステージ3をクリアーということだがどうなるか。 

検査件数にもよるが、4日は734人でここしばらくは1000人を切っている。感染者数が減少傾向にあるのは素人でもわかるが、家庭、高齢者施設でのクラスター発生が病床率を高めている。そして変異株による市中感染も警戒されている。 

3月7日までに宣言解除条件に至らなければ菅総理の責任が追及される。菅総理も「私に責任」と強調しているので「総理の座」をかけているのではないか。 

3月中には東京オリンピック開催の是非が問われる。医療機関のひっ迫、病床使用率が改善できなければ、例えIOCが無観客の開催を認めても国民は反対売るだろう。今での民意は80%が開催反対だ。 

菅総理は当初「新型コロナに勝った証」と言っていたが、今は「世界に希望と勇気を与える」という。世界の前に日本国民に希望と勇気を与えてほしいものだ。 

緊急事態宣言が長引けば、廃業、失業、自殺者の増加など社会問題が大きくなる。生活支援、事業支援で失敗すれば「菅おろし」だろう。再度の給付金支給を菅総理や麻生財務相は否定した。 

感染拡大を阻止するため、感染症法案改正で罰則を導入した。国会審議では「必要な協力」「正当な理由」について野党の追及を受けているが、罰則適用の判断を誰がするのか、「従業員がダメ」と言ってのお客が守らなければどうなるのか。 

成果を出したいために政権は罰則を導入するのだろうが、実施に当たっては問題が多いようだ。法の趣旨として「適用事例」を付記した方がいいのではないか。何時もここで問題を起こす。

3月7日に成果が出なかったら菅総理の責任になるだろう。潔く退陣だろう。新型コロナ対策ばかりでなくいろんな政策課題があるのだ。その一つ一つに政治生命がかかっている。

4月には3つの補選が予定される。自民党は候補者を立てない選挙区も出てきたし、広島は県連と自民党本部の対立がある。岸田さんも必死だろう。 

東京の千代田区長選、沖縄の宮古市長選では自民党が負けた。3人の自民党の要職にある議員が深夜、銀座ではしご酒をしていたし、菅総理自らステーキ屋で会食していたことがわかり、国会の施政方針演説や国会審議で菅総理は謝罪を繰り返している。国民に外出自粛、時短を要請しながら国会議員は勝手なことをやっているというのだ。

3補選で自民が全敗でもするとどうなるか。菅総理では選挙に勝てないということになる。 

都議選はどうなるか。千代田区長選では都民ファーストの支援を受けた候補者が当選した。小池知事が自民党を敵に回しての先の都知事選、都議選での関係悪化を改善すべくドンと言われた内田さんとは手打ちをし、二階幹事長にも近寄っているが、自民党東京都連と自民党本部はどう出るか。 

自民党総裁選も気になる。これまでの選挙に負けるとなると菅総理では選挙に勝てないという声が出てくる。立憲民主党は政権交代を主張するが政党支持率が6%程度ではどうしようもない。共産党との共闘も課題にはなっているが、これを嫌う岡田さんのグループが別グループを作ったようだ。 

国民の80%が反対する東京オリンピックを開催するかどうか。ここが大きな節目にならないか。「国民の健康第一」と言っている菅総理がどう判断するか。IOC, 組織委員会、菅政権は開催へ向けて前のめり状態だ。病床利用率も改善せず、期待するワクチン接種も遅れれば厳しい判断にならないか。 

その組織委員会の森会長が「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」とJOC理事会で本音を言ったようだ。これが五輪憲章に反する不適切発言として世界を駆け巡った。海外メデイアは「辞任を」主張するが、森さん本人はその気がない。撤回すれば責任は無くなるとでも思っているのか。「老害は掃除し掃き捨てれば」と他人事のようだ。 

菅総理も追及され、「あってはならない発言」と言わざるを得なかったが、辞任を要請する気はない。政界、スポーツ界にも絶大な権力を握っている森さんだ。そんな動きはないだろうと高を食っているのだ。森さん自身が反省し辞任するしかないのだ。 

東京オリンピックも多数の女性ボランテイアの活動を必要とするだろうが、女性は抗議を含めてボランテイアを拒否したらどうか。IOCも組織委員会もそこがわかっていない。

また菅総理自身にも関わる面倒な事件で「文春砲」がさく裂した。菅総理の長男が務める東北新報社が総務省の高級官僚を接待したというのだ。総務省とは菅総理は強い発言力を持つ。官僚も事実を認めている。この件は接待を受けるときに内規にも反している。関係官僚の処分が必要になる事態だ。菅総理自身は「全く承知していない」というが官僚と総理の長男」ではただ事ではなかろう。

菅総理の置かれている立場は厳しい。何時政局になっても不思議ではない。 

国会予算委員会での自民党質問者の下村さんが菅総理の立場を思ってか「菅首相に全力で支える」と言い出した。もちろん以前に「2つの補選で負ければ政局になる可能性がある」と発言し二階さんらから不快感を示されたことがある。 

野党から批判が高まっているため、菅総理を「党を挙げて支援する」姿勢を示したのか。 

いずれにせよ菅総理にとっては厳しい道だ。決断するのであれば早い方がいい。「後手後手」に回れば傷が大きくなるばかりだ。外交面でも難しい。海外では「短命政権」と見られている。そんな政権を誰が相手にするか。

 

 

 

 

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