新しい日銀審議委員に「リフレ派」委員が国会で承認されたと言う。これで9人中4人が「リフレ派」と見られているが、非伝統的金融政策である「異次元の量的緩和」は一体どうなるのか。
2013年「市場に流すお金、2年で2倍」「2年で2%物価目標」を掲げてきたが、7年たっても未達、2019年は0.6%だ。一方、米国、欧州は1%を超えている。FRBは安定的に2%を超えるまで緩和政策を続けるという。
日銀の「当面の金融政策運営について」(2021.1.21)では
日銀は2%の物価安定目標を目指し長期金利操作付き量的質的金融緩和を継続する。マネタリーベースについては前年比上昇率が安定的に2%を超えるまで拡大を継続するという。
そして、引き続き新型コロナ対策資金繰り、支援策プログラムで国債買い入れ上限を設けない。ETF,の積極的買い入れにより資金繰り支援、金融政策の安定維持に努めると言い、必要があれば躊躇無く追加的金融緩和を実施するという。
黒田総裁のお決まりの常套句だが、やったことはないか。ただ、一人の委員が長期金利をもっと引き下げることを提案したが否決された。
景気が下降局面になると市場は日銀の金融政策を期待し、日銀は量的緩和策を強化し市場に答える。そんなことを繰り返しても物価は上昇しない。目標値に達しないのだ。
だから緩和策も長期国債、ETFの買い入れ枠の拡大、ついにECBやスイスで先行していたマイナス金利で市場にお金を供給する量的質的金融緩和を強化した。
マイナス金利は長期金利下落、銀行経営を悪化させた。長期金利操作の導入は短期金利0.1%、長期金利0%に誘導だ。副作用が目立ってきたという。日銀はその副作用を過小評価していたと専門家は言う。
国債の4割以上を日銀が保有することから国債市場、更にはETFの買い入れで株式市場で「市場の見えざる手」が「見える手」になったとも言う。異状状態が起こっているのだ。
国債発行残高は1131兆円、GDPの2倍、さらにコロナ禍で長期国債買い入れ上限の撤廃では財政規律の緩みと市場がみなせば国債価格は下がり、金利は上がる。しかし日銀が買い入れているから長期金利を抑えることが出来る。財政ファイナンスだ。
海外の政府機関や市場が財政ファイナンスを認めるか。先進国一悪い債務国なのだ。
リフレ派経済学(?)で2%物価上昇を目指すが実績はコロナ禍前の2019年0.6%、22年には0.7%を日銀は予測している。素人が見ても程遠い目標だ。
黒田総裁は自分の任期中に2%目標を達成することが出来ない可能性がある。だから言い出した。3月までに今までの金融政策を総点検するという。
一方、財政健全化はどうなっているのか。財政審議会は何時も健全化を主張する。PBもだんだん先送りで達成の見込みはない。
今月の15日の予算委員会で野田元首相が久しぶりに質問に立った。新聞報道によると菅総理が「為替を注視している」と言ったのに対して野田さんは「為替も大事だが金利だ。日本銀行が国債を「爆買い」しているから金利を心配しないですんでいる」と財政も緊急事態だと訴えた。
野田さんは民主党総理のとき消費税増税、財政再建派なのだ。今は財政出動の時だという声が大きい。MMTなどは「財政赤字を気にせず財政出動を」と言う。でも財務省などは否定的だ。当然だろう、財務省は財政健全化だ。
経済成長は民間の設備投資、家計による個人消費にかかっているが、個人消費は伸びないのであれば財政出動しかない。その財政政策に日銀の金融政策があいまって今、バブル経済か。株価は3万円台、4万円になるという煽り発言も出てきた。
しかし「リフレ派」経済学は非伝統的金融政策で、何ら検証されていない学説(?)だ。リフレ派推進者の浜田エール大名誉教授だって2%物価目標未達でも雇用が改善したのだから良いだろうと言い出した。安倍前総理もそういっていた。
でも、日銀は2%物価目標が安定的に達成できるまで金融緩和を継続、マネタリーベースも拡大継続するという。
3月の総点検で日銀はどう評価するか。黒田総裁も事あるごとに「異次元の量的緩和は一時的な時間稼ぎ、財政政策を」と主張していた。
日銀の審議委員は9人中、4人がリフレ派になりその一人は「もっと長期金利を引き下げろ」と提案し否決されたという。
安倍政権からの継続で日銀の審議員に「リフレ派」の任用が続くが、そろそろブレーキを掛けるときではないか。
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