2021年2月20日土曜日

菅総理の「逆風」と「追い風」:まれに見る難局面の総理か

 

東京オリンピックでは世界中に「希望」と「勇気」を届ける、新型コロナウィルス対策では「一日も早く収束させ安心して暮らせる日常を取り戻す」、組織委員会・会長選では「透明性、ルール化」と言葉だけが先行する菅総理が今、直面している事態は今までの政権に比べてまれに見る難局に接している。 

その「逆風」、「追い風」を見ると自業自得の面もあるが、余りにも「逆風」が強すぎる。 

すべてが間髪をいれず決断しなければならない局面が続くのだ。喫緊の課題である緊急事態宣言解除の是非は今後の経済再生、東京オリンピック開催の是非に続く重大な決断を強いられる。 

小池東京都知事に振り回された感があり「後手」と批判されたが、「先手」を打てる場面が来るか。

一時は海外でも「短期政権」のレッテルを貼られたようだが、G7テレビ会談では良い感触を得たと本人は感想を述べる。 

今後の成り行き次第では命取りになりかねない。国民の民意をどうくみ上げるか、自民党の動きを見ると民意にかけ離れた発言が目立つ。二階幹事長の「驕り」か。 

相変わらず文春砲の炸裂は激しい。こんなことをやっていれば「まずい」と言う意識が関係者には無かったのか。難しい国家試験を受け官僚になった人間がつい最近のことに「記憶にない」とはどうしたことか。 

菅総理の長男が東北新報社の系列会社の役員をしていたが放送権益に関連し総務省の幹部官僚と接待会食をしていたことがすっぱ抜かれた。音声データまで突きつけられて関係者は白状し2人の更迭人事を発表した。 

菅総理は国会審議で「別人格」などと関連を避けていたが、安倍政権時の規制緩和が贈収賄事件にまで発展しそうだ。菅総理は総務相経験、総務省に絶対的権威を持っていたが、その時長男が秘書官を勤めたという。 

これなら平常時ならアウトだが、今後どうなるか。 

国民に外出自粛、時短を要求しているときに自民党の国会議員3人が銀座で酒盛りをしていたことが分かり、批判の高まりに自民党を離党したが、更に1人が出てきた。菅総理、石破さんなどの多人数での飲食が問題になった。国会では施政方針演説で謝罪し、予算委員会でも野党の追及に謝罪を繰り返す羽目になった。 

メデイアへの圧力も欠かせなかったのか。NHKでは2人のMCが更迭されたという。NHKでは否定しているが誰も信じていない。政権の政策に反対したり、インタビューで意に沿わなかった質問をされたら官邸が強く抗議することは安倍政権時からたびたびあった。菅さんが根源だ。 

吉川元農水相の収賄事件に絡む辞職、河井参議員の辞職で北海道、広島、立憲民主で参院幹事長だった羽田さんの死亡で長野の3補選が予定されている。河井さんの「政治とかね」の問題はその原資が何だったのかが国会で追及されている。菅さんは官房長官として河井さんを積極的に応援したのだ。 

今回の補選は自民党にとっては厳しい結果になるだろうと見られている。そもそも菅総理は選挙も顔ではないという動きもあるらしい。都議選に向けた選挙ポスターで自民党候補者は河野ワクチン担当相を採用している。 

新型コロナ対策ではワクチン接種が大きな課題だ。担当者が西村経済再生担当相、田村厚労相、河野ワクチン担当相とバラバラで齟齬も目立つ。国会で野党議員の質問に「最終的責任は私にある」と認めさせられた。 

ワクチン接種が医療関係者から試行され始めたが、ワクチンが入ってくるスケジュールが定かでないらしい。自治体の関係者は予行演習などで接種の問題点などのチェックをしているようだが入荷スケジュールなど情報が入ってこないと困惑している。 

このままでいくと早い時期に責任を取らされることになりかねない。でもポスト菅が見当たらないし、野党もだらしない。 

菅総理にとって不利な点がもう一つある。創価学会の副会長で選挙を牛耳っていた人材が定年を迎えたのだ。菅総理が公明党に強いパイプを築いていた人材がいなくなるのだ。自公による選挙協力もどこまで維持できるか。解散総選挙も必ずある。 

一方「追い風」があるか。 

財政支出、ワクチン接種で今年後半景気は回復すると見られている。日米豪印4カ国による「開かれたインド太平洋」構想は対中国包囲網として効果が出そうだ。バイデン政権が「インド太平洋構想」調整官を任命した。 

COP26、コロナ対策などG7での対応だ。東京オリンピックも開催に強い支持を得たという。 

「追い風」も他人任せ、「逆風」は自業自得の感がある。官房長官時代のように権力を振り回すことが出来ない局面でどう乗り切ることが出来るか。

 

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