2011年11月3日木曜日

TPP:賛否二分化する「平成の開国」、その本質は?







TPPへの参加が、激しく賛否二分化され、「平成の開国」も国の基本を揺るがす様相を呈してきた。物品貿易を100%自由化すると、GDPが2.7兆円増加するというが、じったいは日米二国間の自由貿易協定で、おまけに米国での事前協議が必要になるというのだ。

アメリカを始め参加している9カ国に日本が加われば10カ国になるのだが、日米でGDPの厄91%を閉めることになるが、中国、韓国は不参加だ。関税障壁を除けば産業界も自由に海外への進出が出来るが、輸出となると頼みは米国だけだ。

TPP参加の効果として、野田首相は2.7兆円のGDP押し上げと国会で説明しているが、確か「10年間で」と聞いたことがある。そうすると年間たったの2700億円となるのだが・・。

しかも分かってきたことには、米国の議会と政府の事前協議が必要で、その後米議会の承認手続き、ルール作り参加、TPP交渉合意とスケジュールが続くのだ。完全に2国間の自由貿易協定だ。依然、小泉政権の時、米国から「年次改革要求事項」が突きつけられ進捗状況まで報告を求められたことがあるが、それに良く似ている。この年次改革報告書は在日米国大使館のHPで閲覧できたが、今は消されている。

10月30日の衆議院本会議の代表質問で自民党・谷垣総裁は「政府が情報を提供しないから国民的議論が全く熟していない」とひはんし、交渉参加の賛否を明らかにせよと迫った。

自民党も外交・経済連携調査会で、4日までに意見を集約する方針ではあるが、APECでの参加表明には反対している。

逆に、自民党にはどんな対案があるのか。「民主党よりも先に党の態度を決めるべきだとの考えもあり、主導権争いの様相を呈してきた。

公明党は、10月26日井上幹事長が、「賛同するには国是を変えることになる。断じて認めるわけにいかない」と交渉参加に反対した。

一方、政権与党である民主党もTPP参加反対慎重派として「TPPを慎重に考える会」があり、反対運動を展開しているが、民主党の経済連携プロジェクトチームでは、推進派と慎重派が綱引きをしている。どうも推進派は勢いを増してきたようだ。

野田首相は、2日に交渉参加の方針を決め、10日に記者会見で表明し、衆参両院予算委員会で集中審議をして、12日のAPEC前の決着を目指している。

十分な議論、情報公開が不十分な状況下で米国政府や産業界に配慮した決断のようだ。

一方、農業、漁業関係者の反対意見も理解できるし、自由化することにより競争力のついた農業、漁業も期待できるかもしれないことも理解できる。さらには、医薬品や保険制度も貿易目標にいれて医療のコストダウンも狙っている。wsjのオピニオンー日本が世界貿易で主導権を握るチャンスーによると、元ヤイター通商代表が「地域競争を前向きに受け入れ、TPPを通じた雇用創出メカニズムを活かせるチャンスだ」と効果を訴えていた。

米国主導のTPP参加は、郵政民営化の二の舞にならないか。郵政民営化は小泉政権が終わり、政権交代した途端に修正に動いている。TPP参加の国益が何処にあるか、政府はもっと情報を出さなければ国民は判断に迷う。

写真左:TPPに関する野田首相の答弁 読売新聞2011.11.3

写真右:TPP参加、揺らぐ前提 「米国内での事前協議が必要」 asahi.com2011.11.2

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