2012年10月22日月曜日

箱根が噴火するのか:前回から富士山300年、箱根山3000年経つが

大涌谷の噴気 遠隔で監視されている
2012.10.21
活断層と見られる新しい断層
2012.5.10TBSニュース23

3.11以降、火山活動が活発化し、焼岳、箱根、富士山で噴火の可能性が高くなってきた。メデイアは「富士山がもし噴火したら」と予測ニュースを流し、富士山直下では新たな活断層が見つかり、M7クラスの地震の可能性も出てきたという(2012.5.10 TBSニュース23)。

約3000年前が最後の噴火で、火砕流が発生したと言われている箱根山で、鎌倉時代以降にも水蒸気爆発が5回ほど起きていたこともわかっていた。噴気地帯として知られる大涌谷周辺の調査で、噴出物でできた5つの地層が見つかったのだ(朝日新聞2004.10.20)。

また、大震災で噴火が誘発される懸念が出てきた。巨大地震が発生すると、マグマだまりを揺さぶり、マグマに溶け込んでいる水やCO2が発泡し、マグマが上昇し地震直後から数年後に噴火すると専門家は警告している(MSN産経ニュース2012.9.17)。

実際に、昨年の3.11の4日後静岡県東部でM6.4の地震によって富士山のマグマだまりに噴火を起こしかねないほどの大きな圧力がかかっていたことが防災科学研究所のチームの研究でわかったという。宝永地震により富士山に加わった力よりも今回の力の方が強く、警戒が必要という。噴火に至らなかったのは、十分な量のマグマがたまっていなかったか、ガスが十分でなかったためと考えられている(夕刊フジ 2012.9.6)。

しかし、数年後に噴火する可能性もあるので警戒が必要という(河北新報2012.9.6)。

大湧谷から直線距離で30km弱
噴火の危険が報じられる富士山
2012.10.21
では、富士山から直線で約30km弱あり、付近には新たに活断層の存在がわかった箱根山はどうなのだろうか。

気象庁の「箱根山の火山活動解説資料」(平成24年7月)によると、2011年3月11日の東日本大震災後の地震回数を見ると12日53回、13日99回と異状に増えている。大涌谷の噴気高度も通常は0~200mだが、一時300mになるが、直ぐ通常の高さに戻った。今は、火山活動に特段の変化はなく、噴火の兆候もないという。

富士山は2011年3、4,5,6月には高周波地震、低周波地震ともに異常な回数を記録した。

お互いに近くの活火山だから同じような動きをすると思うのだが、何故富士山は300年周期、箱根山は3000年(?)周期なのか。

箱根大涌谷の「地球の息吹を感じよう」というパンフレット(神奈川県公園協会)によると、20万年前、8~6万円前の2度の大噴火で徐徐に今のような形になり、約3000年前の水蒸気噴火で神山が崩壊して大涌谷ができたという。

10月21日、好天に恵まれたので箱根に行ってきた。日曜だったせいもあって、行楽客で賑わっていた。40年前にも大涌谷に行ったことがあるが、当時は黒たまご販売も見学コースの途中にあり、男性が噴気孔に卵をザルに入れ黒たまごを作り、熱々を客に売っていた。今は特別の施設で作り冷えてから販売されていた。

黒たまごを作っている人に、「最近変わったことがあるか」と聞こうと思っていたが、これではだめだった。

現場の地滑りはひどい状態で、地滑り防止の工事もすすめられていたが、噴気に大きな違いはないようだった。臭気もそんなには感じなかった。

全体を見ると、チョット揺れれば大きく崩壊(山体崩壊)する危険を感じた。前兆をしっかりとらえて対応しなければ、岩屑崩壊で埋没したり、ロープウェイで宙づり事故になりかねない。

しかし、富士山噴火との動きは連動していないようだ。平成9年損害保険料算定会がまとめた「火山災害の研究」の富士山噴火の古文書記録でも、箱根山が動いた記述は見つからない。

ただ、東京周辺でも箱根火山噴火に起因する軽石地層が存在することは確かなようだ。

小田原を襲った宝永地震、大正関東地震
で倒壊、焼失を繰り返した小田原城
2012.10.21
特に小田原周辺はここ400年間に5回も大地震に出くわしている。1703年の元禄地震、1923年の大正関東地震で小田城は崩壊、焼失しているが、江戸地震と呼ばれた「小田原地震」M7クラスが3回起こっている(大地動乱の時代 石橋 岩波新書 1994,7)。

その原因は、相模湾西部から、小田原北方の箱根、足柄山地の東麓にかけて、地下のフィッリピン海プレート自身の裂け目が南北に延びていて、それが繰り返し大地震を起こしているのではないかと考えられている(同上)。

噴火間隔が3000年と非常に長く、箱根山周辺での火山活動は複雑で、把握しにくい活火山になっているが、観光地のために一旦噴火となると甚大な被害が想定される。過去の火山噴火で形成された急峻な断崖にへばり付く温泉街、保養地、観光地である。

富士山噴火の可能性に噴気が見られると言うが、噴気であれば箱根の方が断然上ではないか。
小田原市内を歩いていて標高の表示が
ないことが気になったが、小田原駅と
隣の交番に11.1mの表示があった。
小田原は東海地震などでどの程度の
津波高さになるのか 5mか10mか















[後記]
箱根山に地震が多発していることで、噴火が心配されていたが、朝日新聞に下記の記事が掲載された。

箱根で地震多発 「噴火兆候なし」 朝日新聞 2013.2.21
神奈川県が、箱根山が1月から、地震活動が活発になっていることから、近隣自治体などと箱根町役場で連絡会議を開催したという。

2月に入って震度1~3の地震が7回あり、山体膨張も確認されたが、「噴火の兆しはない」と気象庁などは分析しているという。

箱根の地震は今年に入り観測された回数は1739回、震源は仙石原や駒が岳付近、昨年1年間の地震発生回数252回と比べるとはるかに多いが、2001年にも年間4321回観測され、その時も山体膨張が見られたという。

気象庁は、こうしたデータを考慮して噴火警戒レベルを最も低い「レベル1」としている。
                                             (2013.2.21)


テレビ朝日も「箱根山噴火の可能性」の情報をスクランブルで流した(2013.2.21)。

大涌谷で震度5の揺れ
テレビ朝日スクランブルより
2013.2.21
それによると、10日大涌谷で震度5を観測し、ロープウェーは安全のた運転を中止したというが、8kmはなれた箱根町役場では観測されなかったというのだ。地下の極浅いところで起こっているのか。構造の複雑さを表している。

しかし大涌谷付近の地震は今年に入って50日間で1700回を数え、いままでで一番多かった2001年の年間3700回と較べると確かに多い。





噴火の前兆は山体膨張、群発地震、噴気の異常、温泉の異常
等が上げられているが、山体膨張から噴火に至るケースも多い。
富士山の噴火が危険視されているが、箱根も60年前は一緒に
噴火したと専門家が指摘している。地下で繋がっている可能性が
あるというのだ。

                                                                                              





東京軽石層の分布(同上)
万一、噴火するとなると関東地方はどうなるのか。6万6000年前の噴火では、関東地方は20cmから4mの軽石層の分布が見られ、富士山同様被害は甚大だ。

でも専門家は、今直ぐの噴火の可能性は否定している。

                        (2013.2.22)






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