2013年3月9日土曜日

安倍総理の「政治は結果」発言:まだ言うには早すぎないか


国会予算委員会での野党民主党の閣僚経験者の質問に、安倍総理は「政治は結果」のフレーズで息巻いているが、まだそう言うには早すぎないか。2%物価目標、大胆な金融緩和、積極的金融緩和論者の日銀新総裁提案で市場は期待感から円安に動き、株高基調が続いている。

強い日本を取り戻すために、まず永年の課題であるデフレ脱却を掲げ選挙戦を戦い、政権の座に帰り咲いた。民主党政権に飽き飽きしていたことも大きいが、国民は自民党政権に托そうとしたのだ。

欧州経済、特に米国経済の成り行きには敏感に影響する為替、株価だが、今は安倍総理の言動にもよくマッチし、安倍総理が「市場も良い方向に反応している」と考えるのも当たり前かもしれない。

海江田民主党代表が国会予算委員会で「今、株価が最高値を更新しているのは、実体経済への効果ではなく、期待感からの市場の動きで、自分の手柄だと誤解するな」と戒めたほどだ。

今国会での予算委員会での民主党閣僚経験者による質問でも、安倍総理の答弁は民主党の弱点を突いたモノだった。

前原元経済財政担当相の2%物価目標に関する質問では、日銀を動かし2%物価目標を設定、その達成に日銀に責任を課せたこと、経済財政諮問会議で4ヶ月に一回説明責任を負わせるシステムを作り上げたことを政治の成果だという。

玄葉元外務相は、米国と取り交わした共同文書の内容は「当たり前のことを書いたまで」と指摘したが、「だったら、民主党政権でも文書にすれば良かったのではないか」と反論した。

海江田代表が、民主党政権では減らしたはずの公共事業の割合が増えていることへの指摘も、「税収を増やしていかなければ財政再建は出来ない。公共投資の利益は次世代も利用できる」と反論した。

NHK の国会予算委員会の中継を聞いていると、民主党の攻めに、「市場の好反応」でもって答えるしか出来ない安倍総理の了見の狭さが感じられる。

安倍総理の唱える3本の矢は、健全な状態の矢は無く、それぞれに弱点(ひびが入っている)がある。皆が「アベノミクス」を信じているわけではない。特に市場は儲けのために動いているだけだ。

世界中が、量的緩和政策への期待で動いているなんて信じがたい傾向だ。何時反転するか、そこが怖い。

白川・日銀総裁の「過剰な量的緩和の副作用」の警鐘は、本当だったと後悔しないようにしなければならない。

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