2013年3月13日水曜日

哲学者内山節教授の「中央銀行はマネー制御不能」に説得力あり


哲学者の内山節教授の「中央銀行はマネー制御不能になっており、この状態を放置して金融緩和をしても意味がない」に説得力ありだ。朝日新聞(2013.3.13)オピニオン「リフレ論争の限界」によると、内山節教授は、「実体経済に回るお金よりも投機マネーの方が遙かに多く、お金を増やしても実体経済には回らない。それでも金融緩和を続けるのは、同じことを繰り返すしかないと言うのが本音だ」と言い切る。

世界は今、金融緩和への期待感から株高を演出している。

FRBも量的緩和への副作用が懸念されるようになったとは言え、バーナンキ議長は量的緩和を継続すると言うし、我が国では量的緩和に慎重な白川総裁に代わって、2%物価目標、更なる大胆な金融緩和を主張する総裁、副総裁が選ばれそうだ。

白川総裁は、今までの日銀の非伝統的金融政策で市場にはお金がダブついているという。今まで120兆円も流通させ、更に増える。日銀の当座預金残高は40兆円を超えている。しかし、これは日銀と銀行間で行き来しているだけで、そこから先には出ていない。日銀の金融政策だけではダメで、第2、第3の矢が必要だという(麻生財務相)。

ところが新しい総裁、副総裁候補達は、もっとやれることは何でもすると言う。外債はダメだが、長期国債や買い入れることの出来る商品はもっとあるともいう。慎重な白川総裁と変わって大胆さを訴えているのだから、結果を出すには大変だろう。

白川総裁は、金融政策への過度の期待を戒め、デフレ脱却には各主体が協力しなければならないと、財政政策、規制緩和など構造的転換の必要性を常々訴えていた。

裏を返せば、白川総裁は内山教授と同じように「中央銀行はマネー制御不能になっている」と感じているのではなかろうか。

ここ15年ほど、日銀は金融緩和をやって来たが一向に効果が出ない。一方、海外でもデフレにはなったが脱却出来ている。何故、日本だけ脱却出来なかったのか。

その原因に、グローバリゼーションで日本の企業も、中国、韓国、東南アジアの安い賃金と競争しなければならず、固定費に大きく占める人件費の削減、コストダウンをせざるを得なかった。

失業者、非正規労働者を出す一方で、企業は利益を上げ、株の配当、内部留保は260兆円を超えている。

クルーグマン教授も、企業利益は労働者の犠牲の上に成り立っていると言い銀行ばかり支援するのを止め、労働者を支援しろという。

私も前に、メデイアはまだ何も言っていないときに、「経団連は賃上げで脱デフレに協力したらどうか」という記事を掲載したことがある。

今は、安倍総理も経済団体に賃上げ要求したことや、政府の委員会のメンバーであるローソンの社長が賃上げを実施したことから波及効果が出てきた。従業員の給与を上げて消費拡大をしようとしているのだ。

企業の業績が良くなっても、従業員の給料アップに届くまでには時間もかかるが、直接賃上げすれば時間は短縮できる。

今、金融緩和で金利は低く維持されている、企業が借り入れ、投資しやすい環境にはある。しかし、経営者に言わせれば投資しようとする事業が見つからないのだそうだ。規制改革、成長戦略が重要になってくる。

安倍総理も日銀ばかりに頼らず、これからは政治の出番だ。

0 件のコメント: