2013年3月3日日曜日

黄砂の飛来:今度は最悪物質PM2.5を抱えてやってくる

黄砂発生場所 アラビア半島、タクラマカン砂漠、ゴビ砂漠
2003.5.21 NHK「黄砂の謎を追え」

3月というと黄砂の飛来のシーズンだが、今度は最悪物質であるPM2.5を抱え込んで飛んでくるのだ。黄砂を吸い込むと肺で出血したり、喘息が悪化する健康被害がでてくるが、今度はそれに肺がんや脳梗塞を誘発する最悪物質PM2.5が含まれている。

黄砂に関しパソコンに保管していた資料を開いてみた。

細かい黄砂がくっつきあい、風速8m
以上になると空中に飛び上がる
NHK 2003.5.21「黄砂の謎を追え」
黄砂の飛来の謎を解こうと日中共同プロジェクトADECが発足し、発生源はゴビ砂漠、タクラマカン砂漠、アラビア半島で細かい粒子の黄砂がくっつきあい、風速が8m以上になると空中に飛び上がり風にのって韓国、日本へ飛来するという(「黄砂の謎を追え」風速8mで飛び上がる NHKテレビ 2003.5.21)。

更に日本で観測された黄砂の約1/5が、米・西海岸に到達すると言うのだ。中国を飛び立って10日後だ。九州大学応用力学研究所、東京大学気候システム研究センターの共同研究で分かった(朝日新聞 2002.4.9)。視界を妨げる原因物質は6割が黄砂で、残りが大気汚染物質の可能性があるとも言う。

黄砂は10日後には米・西
海岸へ到達するという
朝日新聞2002.4.9
その黄砂や汚染物質でできた「褐色の雲」の動きを捕らえようと日韓で共同観測がされた。済州島に拠点を置いて観測を続けたそうだ。観測対象は工場から出る硫酸塩、黄砂のような微粒子、オゾンガスなどが上げられていた(朝日新聞 2005.2.21)。

3月中旬に観測された黄砂に工場地帯から発生する硝酸塩、硫酸塩が付着していることもわかり、2割が中国飛来の黄砂という研究もある(讀賣新聞 2008.4.6)。

その後の研究で、カビや細菌などの微生物、食中毒菌、こうじ菌も見つかっている。微生物は紫外線や乾燥に弱いが、黄砂に守られ大陸から沢山運ばれてくるのではないかと考えられている(朝日新聞 2008.6.30)。

興味を引く研究もある。黄砂が増えれば花粉は減少する・・10年周期で反比例する関係にあることを山梨県環境科学研究所がまとめた。河口湖湖底ボーリング調査で、過去100年分の堆積物調査で分かったという(河北新報 2005.5.21)。

ネズミを使った動物実験で肺から
出血が見られる
NHK「黄砂の謎を追え」
しかし、なんと言っても喘息患者が急増すること、症状が悪化することは健康被害として困った問題なのだ。それに発がんや脳梗塞を誘発する最悪物質PM2.5が加わるのだから黙ってはおけない。

旧正月の花火の打ち上げを自粛する通達が出ていたにもかかわらず道路上で打ち上げる無謀な光景、車の排ガスで街中がかすんで見えるほどの大気汚染状態はあっけにとられる。環境汚染を無視して経済発展を続けてきた中国の開発のやり方は無謀で、これが世界第2位の経済大国かと驚くばかりだ。

東京オリンピックの頃の日本と似ていると言われているが、それ以上に悪いのではないか。

環境汚染の責任を外国企業のせいにする無神経さだが、中国の汚染源を絶たなければ日本が参ってしまう。技術協力し、そこに日本の大気汚染防止施設を売り込もうとしている。

我が国では、PM2.5の環境基準値は35マイクロ・グラムだが、大気中の濃度が高くなった場合に外出を控えるなどの注意喚起をする濃度を70マイクロ・グラムとするようだ。子供や高齢者は体調の変化に注意するよう喚起されている。

PM2.5の飛散シミュレーション
読売新聞2013.2.22
又、PM2.5の日本への飛散状況をコンピューターでシミュレーションした結果を国立環境研究所が公表した。環境基準値を超えた1月31日の計算結果では、中国からの越境汚染が一因と指摘している(讀賣新聞2013.2.22)。

黄砂対策では砂漠化の拡大を防止しようと日本の学者が砂漠の緑地化で貢献しているが、大気汚染物質PM2.5の排出源が中国と言うことでは先が思いやられる。自己防衛しかない。





砂漠化を食い止めるための植林
NHK「黄砂の謎を追え」

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