2013年4月10日水曜日

円安は日本の財政を反映した本来の姿ではないのか

債務残高の国際比較
対GDP比
財務省HPより

円安基調は、我が国の財政を反映した本来の姿ではないのか。安倍政権やメデイアは、「アベノミクス」やリフレ派の黒田・日銀総裁を登用した結果だとはしゃぎすぎではないか。確かに15年もデフレに苦しめられた日本経済が、円安、株高基調に転換し1ドル99円台で100円台も見えてきた。株価は13000円台を超えようとしている。

でも、日本の債務残高は2012年では対GDP比214.1%で、90年代後半に財政の健全化を着実に進めた主要先進国と比較して、日本は急速に悪化しており、最悪の水準になっていると財務省はいう(債務残高の国際比較(対GDP比))。

平成24年度末<予算>で、国・地方の長期債務残高は940兆円程度で、対GDP比196%になる(国及び地方の長期債務残高 財務省)。数値は少しずつ違うが債務残高1000兆円、対GDP比200%を超えようとしているといわれている。一方で、資産もかなりあるので心配ない数字だという経済学者もいる。

他の先進国をみると、米国は108.6%、英国104.2%、ドイツ88.5%、フランス105.5%だが、イタリアは120%から2012年は122.7%で日本に次いで悪い状態だ。

そのイタリアは、G20サミットで、ギリシャの債務危機を回避した直後、イタリアの債務危機が話題に上ってきた時、当時のベルルスコーニ首相は「大丈夫だ」と危機を否定したが、国債利回りは危険水域の7%を超え、ベルルスコーニ首相は財政再建法案成立後に退任し、IMFの監視下に入り、モンテイー新首相の下で財政緊縮強化へ向かった

当時のイタリアの財政危機から来る国債の売りが売り招く事態は突然やってきたような感じもした。イタリアも高齢化が進み社会保障費がかさむ財政状況は我が国にも通じるものがある。

アベノミクス、黒田・日銀は2%物価目標達成に果敢に挑戦する金融政策を発表した。でも物価引き上げ圧力は金利にもかかってくるのだ。

国会・予算委員会で「金利が1%上がれば金融機関の損失はどれぐらいか」という質問がよくでた。日銀は「1%で2.6兆円」と答えた気がする。

物価が2%上昇し、14年度から長期金利が上がると初年度2兆円、2年目4.9兆円、3年目8.2兆円と国債の元利払いが増えていく試算を財務省が発表した。3年目で消費税3%の増税分を越えるのだ。

今、政権、日銀はデフレ脱却に向け、さい先良いスタートを切ったとはしゃいでいるかもしれないが、投資家はハゲタカで薄情なものだ。金儲けの為ならどんなことでもする。

国債の海外保有率は9%、株の外国人投資家も7%になったと聞いたことがあるが、こういった投資家が、何時、どんな行動に出るか分からない。

はしゃぐ政権に財政審は「財政規律」を強く要求した。

バラマキ予算の批判を回避するために、政権は財政規律に言及せざるを得なくなったが、今までの政権と同じように2020年に赤字ゼロにすると繰り返すばかりだ。今から7年後まで誰が責任を持って財政再建の行程を進めて行くのか。

景気対策の財政出動と財政規律は、相容れないモノであるが、歳入に限りがあるのだから官僚の利権打破、目的外支出の削減など歳出にも大なたを振るわなければならない。民主党政権時の事業仕分けを聞きに行ったことがあるが、必要性の乏しい目的用途に、まだまだ無駄がある。あのときやり玉煮上がったのは氷山の一角だ。

官僚と共存姿勢を示す安倍政権、自民党にどれだけ期待できるか。

又、気になることとして国債価格の変動が大きく、長期金利が乱高下している。一時0.315%に下がった後、2倍近い0.620%に急上昇し、その後0.440%に低下した。9日は0.530%にあがった。

長期金利が上昇すると企業向け融資の指標となるプライムレートの金利は、10日から年1.20%に上がる。企業への貸出金利が上がってしまうのだ(朝日新聞2013.4.10)。

白川前総裁の時は、企業への貸出金利を低く維持し、企業や個人が借金して事業をやって行きやすくしていたが、黒田新体制の大胆な緩和で、かえって逆の結果になっている。

メデイアは「市場は壊れてしまった」というエコノミストのコメントを載せている。

白川前総裁は慎重な発言に終始したが、政策の欠点もしっかり説明することを忘れていなかった。翻って黒田総裁はどうか。行け行けドンドンで政策の欠点について何ら説明していない。それにもかかわらず市場にわかりやすい説明をしていると評判が良い。

円安は、市場にお金をジャブジャブ流す質的・量的金融緩和への期待効果なのか、債務残高1000兆円、対GDP比200%の先進国一悪い国の債務の為なのか。

今は前者のようだが、何時後者になるか。

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