2013年10月28日月曜日

「国家戦略特区」で、「どんな日本を取り戻す」のか

「日本を、取り戻す」自民党選挙公約
自民党HPより
「国家戦略特区」構想が進んでいる。関連法案提出に「特区諮問会議」の設置も加えるらしい。トップダウンで規制緩和を進めると言う。「日本を取り戻す」と選挙公約に掲げたが、一体自民党・安倍政権は「どんな日本」を取り戻そうとしているのか。国家戦略特区でどんな日本をテストしようとしているのか。

自民党の「日本を取り戻す」公約には、復興でふるさとと取り戻す。デフレ、円高からの脱却、名目3%以上の経済成長、世界で一番企業が活動しやすい国、海外投資収益の国内還元を日本の成長に結びつける国家戦略、大胆な規制緩和、ニッポン産業再興プランで日本経済を取り戻す。そして教育再生、外交再生、安心を取り戻す。

みんなで新しい日本を作ろう
自民党HPより
その向こうにあるものは「たくましく、優しく、誇りのある日本」があるというのだ。

それには第3の矢の「成長戦略」が重要になる。政府は産業競争力強化に向け新規ビジネス参入を拒んでいる過剰規制を見直し、規制緩和のテストに35カ所の「国際戦略特区」を設けるようだ。

特区の進める規制緩和には外国人医師、看護師の業務解禁、保険の使えない診療と保険診療の併用拡大、雇用契約のガイドライン作成、公設民営学校の設置、土地利用規制の見直し、農業者は農地にもレストランを開ける、農業でも公的信用保証制度を使える等が上がっている(朝日新聞2013.10.21)。

農業なら農業委員会、教育なら教育委員会などの既得権益者との岩盤規制見直しが必要になる。

労働では、労働者を解雇しやすくする規制緩和が検討されたが、厚労省の法の下に平等に反するという反対で棚上げされたそうだが、ILO労働問題研究所長のレイモンド・トネスさんは、「それで雇用を生み出したと裏付けるデータはない」と、日本で増えている非正規雇用に懸念を表明する(朝日新聞2013.10.14)。

規制緩和が「日本を取り戻す」に効果があるのか。

そもそも規制は、国民の生命、財産、安全の確保、業界の健全な発展の為に設けられたものであり、日本的長所があったはずだ。過去には「JAPAN AS NO1」と評価されたこともあった。
しかし、関係者、監督官庁がルール作りをしていく内に、既得権益者として、国会議員を族議員に仕立てることで新規参入を拒み閉鎖的業界を形成していった。

政府は規制改革、岩盤規制の見直しで壁に風穴を開けようとしているが、どうなのだろうか。

外国の医療は高度に進んでいるものもあるが、大方は日本の医療に比べていい加減な医療が多いようだ。日本では認可されていない医薬品もつかえるようだが、認可業務を急げば良いのだ。雇用契約の見直しは、良い社会慣習だった日本的雇用を破壊する決して喜べる改革ではない。

私立学校があるのに公立学校を民間に運営委託するメリットは何か。今でもカリキュラムで揉めているのにそれに火を注ぐことにならないか。

農業への企業の参入は大規模農業として効果があるのではないかと思うが、農業委員会の改革が必要だ。岩盤規制への強力な見直しが要求される。

戦略特区構想は、古き良き時代の日本を取り戻すのではなく、競争の激しい経済社会を構築し活性化しようとしているのだ。

安心、安全は自己責任になる。今まで以上に弱者は排除される社会になることを懸念せざるを得ないのではないか。



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