2013年10月4日金曜日

危うい安倍総理の経済政策:「アベノミクス」と名づけて過大評価していないか

1日の「消費税4月8%決定」でメデイアは家計の負担増を予測、一方で「賃上げ」の実現はままならず、安倍総理の経済政策の危うさが浮き彫りになってきた。打ち出す経済政策を「アベノミクス」と名付けて過大評価されている傾向はないか。

メデイアで賛成をぶったエコノミストも決まった法律を施行する政府の姿勢、財政再建という国際公約を守り国債の信任を得ることで評価するが、必ず景気の腰折れを警戒し追加の経済対策の必要性を強調する。

それでも「失敗した時、どうなるのか」に一切言及を避けている。考えられるのは景気は失速し、逆戻りで株価は下落、国債も信用を維持できず下落し金利は上昇、アベノミクスはぶっ飛び安倍政権は求心力を失うことなどが考えられる。

では逆に、もともと消費税増税を見送っていたらどうなるか。

消費税増税を見送った場合と消費税を増税し景気腰折れで物価高の景気停滞した場合と比較し、「悪さ加減の少ない」のはどちらか。

エコノミストは、誰も論じないようだ。

内外の経済学者からアベノミクスに欠けているのは「賃上げ」と雇用だと指摘されると、躍起になって経済界に法人税などの減税の代わりに賃上げを要求することになった。

経済界は当然に業績向上→賃上げを主張する。政労使の会合でも「賃上げが先か」「成長戦略が先か」の鶏と卵の議論だ。

安倍総理の経済政策の危うさが目立ってきた。

そもそも、安倍総理の経済政策を「アベノミクス」を銘打って過大評価していなかったか。

自民党は民主党政権の失政で政権復帰できる期待から安倍総理が提唱する経済政策を「アベノミクス」と称して期待をあおった。

クルーグマン教授も「経済学は知らないようだが、大方は正しい」と評価した。教授が常々主張する「ここは財政出動で成長戦略だ」に応える結果にもなった。

第一の矢「大胆な金融政策」では、2%インフレ目標設定、量的緩和で円高→円安、株安→株高へと市場は期待感で動いた。海外のファンドに大方の儲けをもっていかれたが、国内でも株高、円安は業績を上げることができた。

ついで、第2の矢「機動的財政政策」では国土強靭化政策で公共事業を増やし土建業者に期待をもたせる。昨今の異常気象による災害はその必要性を目の当たりにした。

ところが、1000兆円を超えた債務残高はIMFをはじめG20でも問題化し、財政再建が喫緊の課題になってきた。国債の下落、金利の上昇は大きなマイナス要因だ。

そこで、財政再建と経済成長を両輪とすることになった。

経済学の主流(?)は「緊縮政策が経済成長に繋がる」というのだろうが、経済学では亜流(?)の財政出動も加味して成長路線を目指すという。当然赤字国債に頼ることになる。成長し税収増になれば良いが、赤字の積み上げで終わる可能性も大きい。

難しい選択をしたものだ。

第3の矢「成長戦略」も評判は良くない。それはそうだろう。民主党政権も含めていつも同じ内容の政策があがるが、一向に成果には結びつかないようだ。

結局、異次元の量的緩和で市場にカネをジャブジャブ流すが、日銀の当座預金口座に貯まって、市場には流れ出さない。日銀と銀行を行ったり来たりしている状況なのだ。おまけに金利が比較的良いので銀行はそのままにしている。

カネをジャブジャブ流せば、デフレからも脱却でき、2年で2%物価目標を目指すが、物価だけ上がって消費は低迷の可能性も出てきた。消費税増税になった時は、消費を控えると考えている人が56%もいるのだ。

GDPの60%を占める個人消費が萎んではアベノミクスも破綻だ。

経済界に賃上げを要求するが、企業の儲けを家計に再分配することでは、過去に失敗した経験がある。前川レポート、21世紀版前川レポートだ。結局は家計への再分配で合意形成が出来なかったのだ。

デフレからの脱却が出来なかったのはマネタリーベースが欧米の先進国に比して低かったからという理由で大胆な金融緩和に踏み切ったが、結局は家計収入が増えなかったことが物価下落に関連しているのだろう。

経済界への安倍政権の働きかけが失敗に終われば、物価高の経済不況に陥るのだ。

安倍総理の経済政策を「アベノミクス」と称して過大評価する事は、もうよそうではないか。冷静に時の政権の経済政策として読み直してみることが大切だ。

レーガン元大統領の経済政策も、一時「レーガノミクス」とはやし立てられたが、いつの間にか気だ付けば失敗に終わっていた。

そんなものなのだ。




















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