2015年7月28日火曜日

安保関連法案、新国立競技場のボタンの掛け違い:必要以上のことをやろうとする間違い?

安保関連法案、新国立競技場問題がゴタゴタしているがボタンの掛け違いは必要以上のことをやろうとする間違いにあるのではないか。参院で審議が始まった安保関連法案は政治の負の遺産、ザハ案の新国立競技場は白紙撤回されたが,そのまま進んでいるとスポーツの負の遺産になる一歩手前だった。

そのボタンの掛け違いは安保関連法案では本来は憲法改正ですべきところを解釈改憲で強行していること、国立競技場問題では奇抜なシンボリックなデザインを世界にアピールしたかったことにある。

安倍総理が精を出す安保関連法案は中国の軍備の強化、南シナ海、尖閣諸島領海侵犯、北朝鮮の核開発など我が国を取り巻く安全保障環境は厳しくなる一方で、「一国で国民の命、平和を守れる時代」ではないことぐらい分かっている。だから抑止力と言うことを考えれば米国との関係を強化することしかない。

でも9条の解釈改憲など憲法の枠を越え、従来の政府見解を越えての集団的自衛権行使容認を認めることは出来ない。その合憲の根拠を政府は最高裁の砂川判決(瑕疵があるが)に求めているが多くの憲法学者も「違憲」とする意見が多数である。

正攻法でいけば憲法改正手続きであるが我が国の憲法は硬性憲法で改正のハードルは高い。安倍自民党は2回に渡り衆院では多数の議席を確保でき内閣の支持率も高かったし安倍さんの地方への視察では多くの国民が集まってくる。

安倍総理は人気のあるうちに集団的自衛権行使容認まで持って行きたいと思ったのだろう。解釈改憲の荒技に出た。安倍総理もそこは意識してのことだろう。解釈改憲について「今回が限界」とまで言い放し国民に理解を求めたが、国民の民意は政権から離れるばかりだ。

国民の多数の民意を反映すればこの法案が成立すること自体あり得ないことだ。ここにボタンの掛け違いがある。

国立競技場のゴタゴタもタイミングギリギリで白紙撤回、ゼロベースからの見直しになり文科省から官邸へ作業チームが移った。責任問題にまでなったが下村さんは責任を取らず、文科省の担当局長が退職した。あくまで定期異動だという。

何故こんなことになったのか。
そこでJSCHPから「新国立競技場 国際デザインコンクール」報告書を開いてみた。

1次審査で46応募件数から11件に絞り込み2次審査で1,2,3位を決めた。審査のコンセンサスは神宮外苑という特殊な場所であり環境を考慮する必要があるが内苑は伝統的様式、外苑は異物と思われたり近未来的なものをOKとする。

審査基準は、未来を示すデザイン、スポーツイベントの実現性、技術的チャレンジ、実現性、その他評価すべきポイントからなる。各デザインでも突出した評価の作品はなかったが、「日本が世界に発信できるイメージ」として意見交換しチーム全員で意見集約していこうとなったようだ。

その中で作品2,作品17(今回のザハ案)、作品34が選ばれたという。そして2016年の失敗の反省から「チャレンジに値しインパクトのある」ことを考慮しザハ案が最優秀賞に決まったらしい。

審査の前に技術調査を実施し○、△、×で評価した結果は見当たらなかったが、問題も多くあるが基本設計で対応委出来ると踏んだようだ。ザハ案のキールアーチも当然に技術的問題が指摘されていたが、ザハ案が奇抜なデザインでありシンボリックで、技術的に難しいが建築技術を世界にアピールするチャンスという意向もあったようだ。

しかし当然と言えば当然で工事費は高騰し大会後の維持管理費も高くなることから国民が立ち上がり批判の声を上げた。

文科省、JSCは技術的には問題が残っていても世界にアピール出来る「他に似たものがない真新しいスタジアム」を狙ったが、国民は工事費も安価でシンプルなスポーツ施設を望んだ。

ここにボタンの掛け違いが出た。


政治も、国を挙げてのオリンピックという大イベントの公共事業も必要以上のことをやらず、国民の民意をくみ上げ反映させる努力をしなければ挫折の道を歩むだけだ。

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