2016年6月8日水曜日

参院選での問いかけ:「先に進むか、後戻りか」と問われても

参院選に向け、成長路線を維持しようとする安倍総理は「アベノミクスで加速か、後戻りか」と問う。民主党政権時の野田総理(当時)も自民党への政権交代の機運が高まった衆院選で「前へ進むか、後戻りか」を問うた。

でもその前に安倍総理が提言する政策を評価するためのデータが欲しいが、それが恣意的で身勝手な論調、政策隠しが含まれているとしたら問いかけにはNOだ。

民主党政権時の野田総理は、政局が解散総選挙にあっても「前ヘ進む政治」を心がけた。

最後の党首討論では政治改革、選挙制度、消費税増税と税の一体改革を進めるのであれば「明後日解散します」と当時の自民党安倍総理との党首討論で発言し、解散総選挙に打って出た。

野田総理は下野するほどの惨敗をするとは思っていなかっただろうが、意に反して大敗した。正当な政策を前に進めようとしているのだから有権者はついてくるはずと思ったのだろう。

政権と国民の間に大きなギャップがあったし、後を継いだ自民党・安倍政権はことごとく約束を破って消費税増税は2度目の延期、選挙制度など政治改革は後戻りだ。

一方、今回の参院選はどうか。

安倍自民党は「アベノミクスを加速か、後戻りか」とか、「消費税増税延期は是か非か」と問うという。

アベノミクスの成果を津々浦々まで実感出来るように成長戦略と骨太の方針の両エンジンをふかせという。燃料は財源だろうが消費税増税2度目の先送りでは増税での税収増は望めず、麻生財務相と「赤字国債に頼らないのか、頼るのか」で一悶着起きた。総理は「赤字国債に頼らないということではない」という。

アベノミクスの成果による増収分と歳出削減でできる限り赤字国債発行を抑制するらしい。

安倍総理は「新しい考えでの判断」と言うが、ここで消費税を上げれば安倍政権の支持率も落ちる。それだけは避けたい一心なのだ。2年後にだって増税できるとは思えないが、成長路線で税収増も考えにくい。

「ここからは財政出動に頼らない民間出動だ」とは麻生財務相の経済財政諮問会議での発言だが、その通りなのだ。ガス欠ではエンジンのフル稼働は無理だ。

大事なことは「アベノミクスの評価」をしっかりしなければ今後の経済政策は過ちを起こす。「前へ進むか、後戻りか」問う前に、恣意的な経済指標ではなく、「皆が議論する経済指標ではどうか」に応えるべきだ。

第一の矢の金融政策では大企業が儲けを出していることは確からしい。最近のニュースで内部留保が過去最高の360兆円を越えたという。 アベノミクスで期待したトリクルダウンなどは起きない。家計への再分配など経営者は考えないのだ。

円安で輸出産業は好調と言うが輸出での数量は増えていないという。円換算での成果なのだ。その要因は円安でも海外で値引きしていないことにあるらしい。

不思議な政策として海外から企業を誘致するために法人税の実効税率を下げるという。経済界からの要望も大きい。ところが大企業は各種優遇策で既に20%台になっているのだ。


チグハグな政策で日本経済が成長路線に乗るとは考えにくい。安倍政権はアベノミクスを正しく評価し、公約、約束事を守ることだ。そこから「前へ進むか、後ろに戻るか」問うべきだ。

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