2017年9月23日土曜日

2%物価目標:グローバルスタンダードと言うが何故、拘るのか


2%物価目標は世界の中央銀行が目指すグローバルスタンダードと言うが、各国で達成が困難視されながら何故、拘るのか。金融緩和も縮小に向かっている世界情勢でありながら日銀だけは「2%達成に向けて」緩和継続だ。しかし専門家、市場関係者からは危機感が出ている。

日銀も金融政策に頼ってばかりではなく財政再建、規制緩和など政府の政策に注文も付けている。異次元の金融緩和も一時の時間稼ぎなのだ。

今の日本経済は「緩やかな拡大」(日銀)、GDPはプラス成長と言うが物価上昇率は0.5~1%、時々はマイナスになるときもある。景気は回復しているのに物価の動きは鈍い。

雇用は逼迫しているので賃金は上昇するはずだが価格への転嫁が見られない。商品を値上げすれば即、消費減につながるのだ。小売業、流通業は値下げ競争に走っている。高齢者や年金生活者に協力するというのだ。

他の中央銀行の動向を見ると欧州では金融緩和の縮小を予定しているしFRBは利上げ、資産売却のタイミングを狙っているが、米国経済のことを考えるとトランプ大統領はイエレン議長の人事も考えているようだ。

日銀も金融緩和の継続を維持しているが実体は厳しい。

国債購入も当初の年間80兆円から60兆円、金利の下がりすぎを懸念して今は50兆円に落とし実質金融緩和縮小の動きだ。政策手段で長期金利を0%に操作する手段に出たが日本の経済の体温計とも言われる金利を操作されては日本経済を壊してしまったことになる。

日銀の国債保有は発行残高の40%、430兆円に達した。国債の値動き次第では日銀の経営を揺るがすことにもなる。

そして日銀の政策を世界は財政ファイナンスの見方をしている。財政赤字の穴埋めを回避している中央銀行だが日銀は一時認められているが、いつまで世界が認めるか。

日銀の黒田総裁は財政再建を訴えるが、安部政権は選挙公約でどう対応するか。「経済成長」を掲げるのであれば財政出動だろう。当然赤字国債に頼るようになるが、2020年度のPB黒字化はご破算になる。

ところで2%のグローバルスタンダードは、どうして出て来たのか。

2014年3月20日に黒田総裁が日本商工会議所で講演した要旨が日銀から公開されている。「なぜ、「2%」の物価目標を目指すのか」だ。

それによると3つの理由が上げられている。金融政策マンのご都合主義の経験則なのだ。

(その1つ)は消費者物価指数には指数の上昇率が高めに出る傾向があり前年比で「物価安定目標」を示す場合は、ある程度プラスの値にする必要がある。

〈その二つ目〉景気が大きく悪化した場合にもある程度の物価上昇率を確保しておく方が良い。所謂「のりしろ」と言うらしい。

そして(最後の3つ目)「2%」は主要国中央銀行の「グローバルスタンダード」になっている。

何のことはない。失敗しないための目標値なのだ。

デモ今は、リーマンショック以来、経済構造は違ってきているのではないか。各国が国の実情に合った目標を立てるべきではないか。そういう意味からも白川総裁の時の「取り敢えず1%を目指す」目標は理にかなっていたのではないか。

アベノミクスに引っ張られていては日本経済は沈没する。黒田総裁、安倍総理は早期に退陣させるべきだ。

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