2017年9月19日火曜日

気になった記事:BIS幹部曰く「低インフレが政策枠組みを決める大きな謎」と

朝日新聞(2017.9.19)の「低インフレ「大きな謎」BIS幹部」の記事が目についた。国際決済銀行(BIS)の金融・経済部門のトップであるクラウデイオ・ボリオ氏が「世界で成長が加速しているにもかかわらず低インフレが続く。数年間の先行きを定め、政策の枠組みを決める大きな謎だ」と指摘し、「誰もその答えを知らず物価上昇が緩やかなために急激な金融緩和縮小への懸念が薄れている」という。

これを「過度なインフレでも景気減速でもない適度な経済状態に入った」と指摘している。

そうなのだ。日銀の仕事は「物価の安定」、0%前後を上がったり下がったりしているが労働市場は改善、企業も高収益を維持しているのに物価、賃金は上がらない。経済成長率も1%前後で伸びない。

日銀、政府は「2%物価目標達成」までアベノミクスで異次元の金融緩和を継続しているが年間80兆円のカネを市場に流しても物価は上がらない。アベノミクスは市場にカネを流して物価を上げることを目指していたのではないか。

成果として輸出産業を中心に企業業績は伸びるがカネは内部留保406兆円、景気回復基調は内部留保積み上げになっているし、日銀のマネタリーベースは8月時点で469兆円になった。

ダブつくカネは海外投資にも回った。

一方、労働分配率は過去最低で賃上げ→消費増→物価上昇のパターンが構築されていない。アベノミクスの成果が出ていないのだ。雇用は改善していると言うが賃金の低いサービス業に集中している。

責任は企業側に大きい。企業の儲けを家計に再分配すべきだ。経営者は何時も経済の先行き不透明を理由に挙げるが、自分でカネを貯めるよりも賃上げで消費が伸び経済の好循環を来す方が良いのではないか。

今、小売業、流通業は値下げ競争だ。日常よく使う商品を15~20%値下げしている。消費者、高齢者はデフレマインドが強い。だから企業として支援するのだそうだ。

BISのボリオさんが言うように「適度な経済状態」に入っているのかも知れない。

(参考)日本の成長率とインフレ  世界経済のネタ帳より
   年     成長率    インフレ率
 2010年  4.19   -0.72
 2011年 -0.112  -0.27
 2012年  1.50   -0.06
 2013年  2.0     0.34   日銀異次元の金融緩和開始
 2014年  0.34    2.76
 2015年  1.20    0.79
 2016年  1.00   -0.11
 2017年  1.25    1.01  2017年4月

専門家は2%目標達成には成長率3~4%が必要と言うが可能性は低い。2%物価目標達成まで異次元の金融緩和を続けるとすると緩和縮小はかなり先になる。欧米の中央銀行は縮小に入るしFRBは利上げ、資産売却を狙っている。

政府、日銀は出口戦略すら市場との対話をしない。出口戦略に言及すると国債暴落、長期金利上昇で日本経済はどうなるか。異次元の金融緩和策は日本経済の体温計ともいう金利を狂わし、株価の操作は「市場の見えざる手」を不自由にしている。

安部自民党は今回の総選挙で「経済成長」をメインに掲げると言っていたがアベノミクスに言及することが出来るのか。

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