今、経済成長がままならぬ日本でマルクスが見直されている。マルクスは「資本主義はそのうちに大きな矛盾をはらんだ不安定な体制」と指摘していた。そんな中で岸田総理は「新しい資本主義実現を目指す」といい、「成長と分配」を言い出した。
ところが京大名誉教授の佐伯先生は朝日新聞(2021.12.18)オピニオン&フォーラム「異論のススメ」での「資本主義の臨界点」で「分配と成長」を実現する「新しい資本主義」も実現困難と言う。
経済活動で資本を投下し、商品を作り売れる、新たな市場ができ、新たな樹いうが生まれ新しいものへの欲望をふくらませなければならない。そのために経済活動のフロンテイアの活動が必要になる。
空間のフロンテイアはグローバリゼーションで巨大な富をもたらし、産業革命は技術のフロンテイアを開拓、金融商品、金融取引はITと言うフロンテイアを求め、情報革命はGAFA問題を起こしている。新たなフロンテイアは限界に達しつつあるという。
グローバリゼーションは格差拡大、成長率低下、ITは金融市場を不安定にし、資産格差を生じた。グローバリゼーション、イノベーションが経済成長につながるかと言うのだ。
科学や政治の力で多くの富、自由、寿命、快楽を求める欲望に問題があるというのだ。
資本主義は限界点に近いが、新しい富を手に入れるためにAI、遺伝子、生命科学、脳科学により我々自身を改変しようとしている。
何時かは死ぬる運命になる「有限な」人間が無限で永遠なるものへ接近しようとしている。人間と言う「分限」を超えようとしているが、経済成長の限界に突き当たっている。資本主義の限界と言うより富と自由の無限の拡張を求め続けた果てしない欲望、急激なフロンテイアの拡張にその要因があるのではないかと言うのだ。
人間の欲望をかきたてる経済活動は格差を拡大するばかりか。
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