2012年9月21日金曜日

環境税導入:身近なはずの地球温暖化問題の議論は未熟なまま

環境税導入を報じる読売新聞
2012.9.21

身近なはずの地球温暖化問題が議論未熟のまま二酸化炭素排出量削減のために、10月から環境税が導入され電気代、ガス代、ガソリン代が値上がりする。気温上昇原因には二酸化炭素人為説が主流であるが、一方で自然変動説を唱えて否定する学者もいる。身近なはずの地球温暖化問題もオープンな議論の場がないまま課税だけが先行する。

讀賣新聞(2012.9.21)によると、来月から導入される環境税も完全実施後は年間で2600億円の増税になると言い、一般家庭の電気代は1kWhあたり0.05円、ガソリンで1Lあたり0.25円の値上げに相当するらしい。

ところが肝心の温暖化起因説に関して、各分野の科学者による十分な議論がされないままに、政治マターとなり、コンピューター・シミュレーション結果によりCO2人為説が主流になった。

JGL 変化は人的起因か
平均地上温度変化を太陽変動や火山噴火など自然の影響だけで見た場合、観測値と計算値の傾向が合致しないが、これに人為的要因を加味すると観測値と計算値の傾向が一致したという(JGL 変化は人的起因か)。

しかし、CO2のどういうデータをアルゴリズムに組んでいったかは公表されていない。地球シミュレーターで計算した人と人為説を信じて活動している人とは別なので講演などで質問しても分からないのだ。

ところがこのCO2人為説を主張する研究者の間でデータをねつ造、改ざんしたのではないかと疑うクライメートゲート事件(英国イーストアングリア大学の電子メール盗難事件)が発生したが、事実は認められなかったと結論付けた。

しかし、気候学者や他分野の研究者からCO2人為説に疑問が呈され話題を呼んだ。私もこの点に非常に興味を持っている。

アラスカ大学名誉教授の赤祖父先生は、IPCCの「政策立案者のための要約」で、温暖化の「大部分」が炭酸ガスの温室効果によるとしているが、「この大部分」を数字で示すことができる何人いるのか。温暖化問題が重大問題であれば「大部分」という漠然とした言葉は使うべきでないといい、自然変動が5/6、人間活動の影響が1/6であるという(正しく知る地球温暖化 赤祖父俊一 誠文堂新洸社 2008年7月)。

色んな分野の研究者がその専門知識を生かして地球温暖化問題に取り組まなければならないのだが、その赤祖父先生に国立環境研究所のCO2起因説をとる研究者、他の分野で活躍している研究者ら5人による討論が繰り広げられた。

エネルギー・資源学会の
新春e-mail討論
現在も学会のHPで見る
ことができる
エネルギー・資源学会が2009年に実施した「新春e-mail討論 地球温暖化:その科学的真実を問う」だ。今も学会のHPに載せられているので見ることができる。十分な科学的なコンセンサスを得ないまま、予防原則に重点を置いてその先の議論を進めることは大変危険であり、純粋に科学的な検討を徹底的の行うことが焦眉の急と言えると討論の意義を指摘している。

この種の討論をいくつか読んだが、お互いに自分の見解を述べ合うもので、データの取り方、読み方に事実誤認、誤解があると言いあっているばかりのように思える。

CO2削減対策として国民に課税するのであるから、広く国民に議論の場を作るべきだと思うが、今まで国民を巻き込んだ議論はなかったと思う。


聖教新聞2012.9.21
に掲載された記事
ところが、聖教新聞(2012.9.20)に「温暖化リスクにどう向き合うか」という記事が掲載され、前述のエネルギー・資源学会の討論にCO2人為説論で参加した、国立環境研究所の江守さんがインタビューに答えていた(断っておくが私は学会員ではない)。

その中で、温暖化リスク判断の主体者は市民であり、科学者による温暖化予測を踏まえた丁寧な情報提供は不可欠であるが、そのうえで幅広い主体者が「自分にとっての温暖化リスク」を踏まえ、オープンに議論するような、双方向的なコミュニケーションの在り方が定着していくべきだと指摘している。

さまざまな対話の場を設けながら地球温暖化問題に向き合う必要があるのだ。

政治が先行すると、2009年9月の鳩山イニシアテイブのように90年比25%削減を宣言したりする。そして今、原発ゼロ議論が湧いてくると益々CO2削減は難しくなる。そんな中で、課税のみが先行する消費税増税の二の舞だ。



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