2013年8月4日日曜日

外房での津波避難情報:元禄地震津波情報と地震で隆起した断層を見る

元禄地震の再来 想定津波高 4~5m?
国道128号線 白子付近
2013.8.3
国道128号線を九十九里から館山まで走ると、津波避難対策として元禄津波情報と海抜、避難先を国道沿いの電柱などへの表示が整備され、野島崎では地震により隆起した断層を見ることが出来る。

延宝地震の再来津波高さ
長生村


千葉へ所用で行った帰りは、いつも外房をドライブし、地魚を食べ東京湾アクアラインを利用することにしている。前回までは九十九里から128号線を館山へ走ると「津波一時避難場所」として保養所、マンションなど高層の建物が指定されているのが分かっていたが、今回は「元禄地震の再来想定津波高」、「ここは海抜○.○m」、「「避難先」情報が目についた。整備が進んでいるのだ。

千葉から東金道路で九十九里へ、128号線に入ると白子の辺りで「津波注意 ここの地盤は海抜1.1m 大網白里」の表示が目に止まり、少し離れたところに三角形の津波のマークとともに「元禄地震の再来想定津波高」で高さが赤い線で表示されていた。

少し離れると海抜は変わる。ここは海抜が1.9mで、赤い線の高さが約2m程あったので4~5mの津波が襲ってきたのだろう。


元禄地震は1703年12月31日に発生した関東地震で白浜沖を震源にした震度7の揺れで、地盤の隆起、沈下、津波を伴った地震だ。九十九里では5~6mの津波が来襲し海岸から5kmの内陸まで達したという。

この元禄地震では、白子、長生村では多くの犠牲者を出した。そのために津波避難情報が多く表示されているのだろう。

津波距離目標ライン 後2kmという
長生村
長生村の一松海水浴場入り口は、海抜1.2mであるが、ここは延宝地震(1673年)の再来想定津波高が表示されていて周辺に比べて少し低めだ。何故延宝地震に変わったかは分からない。

避難情報として「海岸から600m、津波避難目標ラインまで 後2000m」と表示され、避難方向が→で表示されている。

この表示は役立つ。でもこの辺は平野部で2kmも行けば10m位の高台でもあるのか。

一宮辺りを過ぎると国道沿いの表示も減ってきた。海岸から離れて内陸に入ったので海抜も高くなったせいだろう。海抜表示も8~9mが多くなる。でも「津波緊急避難地」として高台の小学校や公民館が指定されているようだ。


避難場所として小学校、公民館が
指定されている
興津小学校
興津では、避難場所に興津小学校が指定されているが、「3F部分 約13m」の表示がされている。3階部分で13mになるという意味か。

南房総では「ここは海抜6.1m 津波に注意」程度の表示が目立つ。海岸線を見ると道路との高低差が4~5mある。

野島崎付近は、ポールが立っていて、「海抜8.3m 元禄地震の白浜町津波最高高 赤線」とある。赤線はどこかと見上げると上の方に赤線が入っている。

しかしこの津波高さも見直されている。

白浜では津波高さが8.3m
で表示されている
元禄地震と予想される南海トラフ巨大地震で試算し直した結果、房総半島最南端の館山で最大14.7m、九十九里では、いすみ市が9.6m、勝浦市8.3m、白子町で8.1mを予想している(朝日新聞2013.3.3)。

これでは元禄地震再来想定津波高さより遙かに高いことになる。堤防や土塁のかさ上げでも間に合わないと言うことで、ソフト面での対応にも力を入れるらしい。

一方、ここ野島崎は、元禄地震、延宝地震で4~5m地盤が隆起したことでも有名だ。観光案内所にその辺の地質の説明資料をもらいに寄ったが「ない」という。場所を確認した。

この南房総の地震隆起段丘は千葉県指定の天然記念物になっている。学術上も貴重で自然を記念すると言うことらしい。

野島崎周辺は、こういった段丘が
多く見られる
野島崎にて
それによると、巨大地震で海岸が隆起し、階段状の段丘が残されたが、6000年前、4300年前、2850年前、300年前で交互に発生し、大きな段差をつけたのは元禄地震、小さな段差は関東地震らしい。1673年の延宝地震では白浜~千倉にかけて4~5m隆起、元禄地震では房総半島は3.4m隆起したという。

三浦半島でも同じ段丘が見え、1.7m隆起したという。見に行くことにした。

元禄地震の震源域は東経139.8度、北緯34.7度。房総沖地震、千葉県東方沖地震などが頻繁に起きるがこの元禄地震はどの震源域かと思って調べたら、気象庁が地震情報で用いる震央地名は千葉県南東沖地震になるらしい。

元禄地震の震源域は千葉県南東沖地震
になるのだ
気象庁が発表している地震情報の
震央地
この区域でも結構発生していて2012年には19回発生、2013年4月2日は同じ地域でM3.4,震度1を記録している。

では元禄地震、関東地震クラスが次に何時起きるか。

総合研究大学院の神沼名誉教授は、関東地震の発生間隔をみると1241年(仁治)、1495年明応、1703年元禄、1923年関東地震で200年間隔だ。それを考えると次に発生するのは2130~80年ではないかと予想している(zakzak.comより)。

でもそれ以前に地震活動は活発になるから注意すべきだとも指摘している(同上)。

巨大地震の発生予想は、いろんな研究者が予測している。「何時起きても不思議ではない」と言ったり、「まだ先だ」と言ったり予測の難しさは分かる。

しかし、「必ず起きること」は間違いない。


ドライブを楽しむにも、津波避難情報がどう伝えられているかを確認するのも大事ではないか。

元禄地震、南海トラフ巨大地震で
見直しされた津波高さ
朝日新聞 2013.3.3

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