2013年8月20日火曜日

やっぱりアベノミクスは、まがい物経済学か

やっぱりアベノミクスは紛い物経済学か。安倍総理が大胆な金融政策、インフレターゲットに言及したとき、経済学者の間では、「低金利下での金融政策は効果がない」と言うのが通説になっていたはずだ。ところがアベノミクス、日銀の異次元の金融緩和に市場が反応し、円高、株安から円安、株高に転じた。

しかし、円は97~99円、株価は13、000~14、000円の間で乱高下を繰り返し膠着状態で、長期金利も上昇傾向を示し、「市場は壊れてしまった」とか「中央銀行は市場をコントロール出来なくなってきた」と言い出すエコノミストもいる。

円安効果で輸出産業、大企業は経営が好転した企業もあるが、景気回復の指標でもある設備投資は未だ増えない。従来からの海外投資はなされるが、国内投資に目立った変化はない。政府は投資減税を考えているようだが、財務省は税収減になるので反対しているようだ。

消費を増やすには所得増で可処分所得を増やさなければならないが、ボーナス増は見られても基準内賃金は増加していない。

安倍総理は失業率が3.9%で好転したと吹聴しているが、内容は正規従業員(正社員)ではなく立場の不安定な非正規従業員数が増えているようだ。

結局のところ、実質GDP年間換算2.6%プラスでデフレから脱しているように見えるが、円安による食料品、電気代、ガソリン代などによる物価高で、給料が増え消費が増えてのインフレではない。いわゆる「好ましくない循環」なのだ。

ここまで見れば、アベノミクスは紛い物経済学だ。

何故、アベノミクス、日銀の異次元の金融緩和に市場が反応したのか。

すでに欧州では株高の動きがあって、日本の株もそれに乗ったという見方をするエコノミストもいたが、海外ヘッジファンドが大儲けの舞台を日本に選んだのではないか。

低金利下では金融政策は効果がないと言われていたが、欧州や米国経済に大きく左右され為替、株価も乱高下の結果となった。

リーマンショック後、欧米の中央銀行は大胆なゼロ金利、量的緩和策に踏み切った結果、マネタリーベースも日銀に大きく差をつけた。日銀に言わせると欧米と違って今まで緩和を続けてきて、決してマネタリーベースが劣るわけではないと反論するが、慎重な金融緩和で白川前日銀総裁は政権から批判され、経済学では亜流のリフレ派の台頭となった。

早期に資金を市場に大量に流し込んだ米国は、今、緩和縮小の検討に入ってきたが、我が国は拡大中である。米国の出口戦略で世界経済はどんな影響を受けるのか。そして我が国はどうするのか。IMFは年次報告でアベノミクスの今までを評価するも、出口戦略の検討も必要だと付け加えたようだ。

長期の金融緩和、行き過ぎた緩和政策に警告を発し続けたのは、白川・元日銀総裁だ。

バブル経済破綻から銀行を救済し、景気を刺激するために低金利政策がとられたのだろうが、ゼロ金利では日銀の金融政策はほとんど期待出来ない。

一時、日銀は速水総裁の時にゼロ金利からの脱却(金利上げ)を試みたが失敗し、経済成長を腰砕けさせた。安倍総理もそのことで日銀を牽制していた。

給料は上がらないのだから、銀行の預金利息を正常にした方が消費拡大に役立つのではないか。

朝日新聞2013.8.14の「ゼロ金利の罠」の記事の最後のマッキノン教授の「金利を徐々に正常化した方が投資や生産を刺激し、景気にはプラス」の見立てに注目すべきではないか。


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