2013年9月1日日曜日

QE3,異次元の金融緩和:行過ぎた量的緩和は効果なし?

FRBQE3,日銀の異次元の金融緩和は本当に効果があるのか。アベノミクスの効果と囃し立てる経済学者、エコノミストのコメントを聞く度に疑いたくなってくる。そんなとき、疑問を投げかける記事が目についた。朝日新聞(2013.8.25)の「緩和縮小いつ? 視線集中」の中のグレン・ハバート氏(元大統領経済諮問委員長)の「FRBは透明性を高めよ」、朝日新聞(2013.8.30)の経済気象台「アベノミクスの虚実」だ。

グレン・ハバート氏は、金融危機後のFRBの政策は良かったが、最近の政策の効果に対しては疑問を持っていると言い、FRBが主張しているほど、緩和が経済をよくしたことを示すデータは見つからないとして、量的緩和の縮小は年内には始まらないと見ている。そして、FRBの「市場との対話」をめぐる能力を疑問視している。

一方、経済気象台では、アベノミクス、黒田日銀の異次元の金融緩和でドル円相場、株価は鋭角的に回復。上昇しだが、その後は反落し現在は一進一退だ。「まあ円安、株高になったのだから良いか」という思考停止の状態にあるが、現在のドル・円相場はアベノミクスを持ち出さなくても、従来の金融緩和でも十分に実現していた水準であり、現在の景気循環局面は従来の金融緩和の結果、実現したもので、アベノミクスの実質的な経済効果はこれと言ったものはないと言い切っている。

日銀の量的、質的金融緩和の実施前から、すでに欧州では株高の気運が出て来ており、日本もその影響で行く行くは株高になると一部のエコノミストは分析していたのを覚えている。

1日のフジテレビ新報道2001を聞いていても「アベノミクスの効果で・・・」という発言が聞かれたが、言われれば言われるほど、あまのじゃくではないが「そうかな?」と疑問が湧く。

確かに先の衆院選前の安倍総裁(当時)のインフレターゲット、大胆な金融緩和の口先介入で円相場、株価は動いた。

それまでの日銀白川総裁(当時)の慎重な金融緩和、マネタリーベースは対GDP比で先進国一高い比率保っていると主張しても、リーマンショック後の欧米の急激な資金供給に対して日銀は1.5倍で先進国一低い水準だと政治家、多くのエコノミストから批判され続けた。

でも日銀の量的緩和はリーマンショック前から慎重に進められた結果、対GDP比で高い比率を保持しているのであって、決して欧米の資金供給に劣ってはいない。

今、日銀は月に78兆円のペースで国債などの買い入れを実施している。国債残高も190兆円になるらしい。ところが、消費者物価指数2%目標があり、金利は上昇するらしい。金利が上昇すれば国債価格は下落、日銀は株式会社として資産の目減りで経営は大丈夫なのか。

そうならないように日銀総裁は、デフレ脱却に向け各主体が努力すべきだとして政府に財政健全化を強く要求している。

経済財政諮問会議でも、日銀の財務状況を注視すべきだという意見が出ていたほどだ。

兎に角、円高→円安、株安→株高で海外ファンドは大儲けし、一部企業は潤ったが、今は円も株も足踏み状態だ。アベノミクスよりも欧州、米国、中国経済に大きく影響されるのだ。

一方、円安効果で食料品、ガソリン、電気代などの値上がりは家計を圧迫してきた。家計収入が増えないのに物価だけ高くなる。

政府もそれは十分に分かっていて、政労使で雇用、賃金に対する協議会を設けるという。一時、経済界に賃上げを要求したがボーナスなど一時金で応えた企業はあるが浸透せず。寧ろ経営者は「賃上げより雇用の確保」だという。でも雇用改善と言っても正規従業員ではなく、非正規従業員の数が増えているのだ。

1000兆円という国の借金に大量の国債購入による金融緩和策、G20で中期財政計画を説明する必要があるようだが、そのために消費税増税をごり押しされては困る。

「予期せぬ」ではなく、当然の物価高に消費税増税では国民生活はどうなるのか。

ある経済学者が、「残念ながら経済学では実験ができない」という。実験してうまくいった政策だけ実施に移すことが不可能なのだ。

アベノミクス、異次元の量的緩和も予めの実験なしに実施に移され、国民はその実験台になっている。

行き過ぎた量的緩和は、弊害こそあれ一利なしだ。

量的緩和も早く正常に戻したいところだろうが、出口戦略でまた経済が混乱することになるのだ。FRBは市場に対して丁寧な説明が必要なのは当然だ。日銀だって早晩やってくる。世界の中央銀行の関係者が集まる米国ワイオミング州でのシンポジウムで黒田総裁が異次元の金融緩和の効果を説明したというニュースが流れたが、自画自賛では困るのだ。

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