2013年9月23日月曜日

TBSドラマ「半沢直樹」最終回:半沢次長出向、大和田常務降格の結末が予想できたか

22日のTBSドラマ「半沢直樹」最終回は見応えがあった。TBS久々の高視聴率を稼いだドラマだったが、この結末が予想できたか。勧善懲悪で終わらなかったところが見せ所だったのだろうか。北大路欣也演ずる中野渡頭取は常々「銀行は人間が大事」という意味のことを言っていた。取締役会後の頭取の下した処分は、香川照之演ずる大和田常務を常務職を外し取締役に降格、堺雅人演ずる半沢直樹次長は、部長職で子会社へ出向だった。

半沢の父は、良い製品、良い技術を持っていた町工場の経営者だったが、つなぎ融資を銀行に依頼したが断られ経営難で自殺した。その時の銀行の担当者が今の大和田常務だった。半沢は同じ銀行に入って復讐するのだ。

やられたら、やり返す「倍返し」が半沢の仕事に常について回った。

半沢は、金融検査など銀行の生死を賭けた難題に果敢に取り組み、行内の邪魔には「倍返し」で抵抗し解決していく半沢の仕事ぶりに共感する者が多かったはずだ。中野頭取も裏でそのことは評価していた。

それに情報収集で半沢に協力する上戸彩演ずる妻・花の存在も大きな感銘を受け、高視聴率に貢献したはずだ。

一方、復讐の相手となった大和田常務は、妻の経営難の事業に迂回融資するルール違反をやったし、半沢に協力する同期を懐柔し半沢の仕事を邪魔し続けた。半沢は証拠を元に取締役会で不正を糾弾する。

常務の悪事を追求し続けた同期の滝藤賢一演じる近藤が常務に懐柔され証拠提出をしなかったために半沢はピンチになるが、花の助けもあって取締役会では状況証拠で常務を追求した。

最後に、半沢は約束通り「土下座して謝れ」と迫る。大和田常務演じる香川の演出はさすが歌舞伎役者と感心した。

そして、取締役会後の頭取の2人への処分だ。

大和田常務は北か南への出向を覚悟して頭取室に入っていくが、処分は常務職を外し、取締役に降格だった。大和田常務は一瞬驚く表情だ。

一方の半沢は行内、同期の「部長職へ2階級特進」の大方の見方に反して、部長職で子会社の証券会社へ出向になった。予想に反した処遇に顔が硬直した。

中野頭取は、「銀行は人間が大事」という意味のことを言っていたが、半沢には取締役会でやったことはやり過ぎと批判していた。

頭取は人間として半沢の方に怖さを感じたのではないか。大和田は迂回融資など私利私欲の行為が目立ったが、人間としてはまだ使えると判断したのだろう。

勧善懲悪で終わらなかったことに、このドラマの見せ所を感じた。

安倍政権は「日本経済再生」を謳い、アベノミクスを強力に推進しようとしている。成長戦略に向け、中小企業の設備投資減税、研究開発投資にも優遇策をとるという。

しかし、量的緩和で市場に資金をジャブジャブ流すが、中小銀行は国債の保有を増加しているらしい。町工場、中小企業へ資金を流していないのか。

貸し倒れ、不良債権を考えると中小銀行も融資に躊躇するのだろう。貸し出したい会社には需要がなく、貸してほしいという企業は経営難だ。


軒先で裸電球の下で夜遅くまでガッチャンガッチャン下請けをやっていた45年ほど前の経済にはもう戻らないのか。

0 件のコメント: