2014年11月21日金曜日

解散・総選挙で考えてみよう:アベノミクスの是非の判断と共に野党育成を

解散・総選挙に当たって考えてみないか、アベノミクスの是非とともに野党育成の必要性も。ついに任期半ばでの解散・総選挙になった。安倍総理は自身の経済政策「アベノミクス」の信認を訴え、「この道しかない」(安倍首相声明文)と言うが、今回の選挙は今までの安倍政権の経済政策の是非の判断と共に野党育成への第一歩にすべきではないか。

現行の衆院・小選挙区比例代表制は妙な現象が起きるという。所謂「揺り戻し現象」だ。05年自民党圧勝→09年民主党圧勝→12年自民党圧勝、そして次の選挙は順番から言うと自民党が議席を減らす選挙になる。

大企業、富裕層優遇の経済政策に大方の国民は恩恵を受けていないと感じている。雇用、賃上げも改善していると言うが、その内容は非正規従業員の増加、賃上げも大企業などに偏り「津々浦々まで恩恵を」と安倍総理は言うが、地方に十分な給料を払う仕事があるとは限らない。

「地方創生」をいうが、未だ具体策はなく、その実効性に疑問が出ている。近づく統一地方選用の見せかけの政策だ。

賃上げも一部で実施されたが、消費税8%と円安による物価高と相まって実質賃金はマイナス成長が続く。政府、経済界、労働界など政労使会議でも安倍総理は改めて賃上げを要求する始末だが使用者側にはそれぞれ事情がありそうだ。

又、GDP成長率も2期連続のマイナスで「消費税増税先送り」の判断がされたが、結局はアベノミクスの成果が出ていなかったことの結果と見られても仕方がない。逆に速報値に政府が何か手をい加えたのではないかとの疑念も湧く。

それを増税は大事な問題なので国民に信を問う必要があると問題のすり換えをしていると批判されるのも当然だろう。

18日の夜の民放テレビのニュース番組を安倍総理はハシゴしていたが、短いインタビュー時間の中で自分の言いたいことをめいっぱい主張し、キャスターやコメンテーターの質問を遮っていたように見えた。放送内容にクレームを付ける安倍政権だから大手メデイアの追求も腰砕けだ。

気になることもあった。テレビ局が用意した画面で中小企業の経営者が「アベノミクスの効果はない」と言う発言に安倍総理は「誰が儲かっていると言いますか。儲かっていると言えば値下げを要求されますよ」と反論していたが、これが一国の総理の発言かと思うと驚く。

今回の選挙では自分の身の周りを見直し、アベノミクスの是非の判断をすべきだ。

一方で、自民一強、安倍総理の強権政治に楔を打ち込む必要もあるのではないか。

健全な野党育成の第一歩にすべきだ。

今、選挙を控えて国会議員は自らの「生き残り」をかけて離党が横行しているが、残念なのは軸になる政党、旗印がはっきりしないことだ。「今、何故解散か」と問われて困る議員は多いはずだ。

自民党に「NO」を突きつけようと思うと選挙区の野党の候補者を見てどうするか考える。良く知っている候補者であれば容易に判断できるが、判断しにくい場合は中央政界での野党代表や幹部議員を頭に浮かべ是非を判断することになる。

しかし、国民が野党に対する印象で悪いのは民主党政権だった。

小沢さんという政治家の存在は権力の二重構造を生み、鳩山、菅さんなど資質に欠く総理の存在など民主党政権は確かにまずかった。しかし、末期の野田政権は「前に進める政治」を心がけ評価は高く、海外でも評価されていたが「近いうち解散」に足を引っ張られる結果になった。選挙選で「前に進むか、後戻りするか」と訴えた野田総理にはそれなりの自信もあったのではないか。

政策立案でも自民党政権は官僚が政策を提案しているが、民主党政権では若手、中堅の議員が専門性を生かして政策を決めていたようだ。安倍政権でのインフレターゲット設定や強力な量的緩和が効を奏したように見えているが、野田政権の末期には民主党政権も日銀に同じような要求をしていた。前原さんが日銀の決定会合に政府を代表して出席し要求していた。

ただ、当時の白川・日銀は物価目標2%を目指すが取り敢えずは1%とし、それを越えるようになると次の手を考えるとし、市場に流す通貨量も緩慢に増加させていた。エコノミストは「市場との対話がない」と批判していたが、黒田総裁の日銀は確かに異次元だ。2倍、2倍とわかりやすい数字で金融政策を説明し市場が動いた。

ところで、FRBは量的緩和を終了し金融政策の正常化に向け金利上げのタイミングを狙っているが、日銀は量的緩和まっしぐらで10%への増税でのリスク回避に追加緩和までやってしまった。政府と日銀の政策の食い違い違いが目立った感じだ。黒田さんの会見での顔色は悪い。

問題は出口戦略だ。そんなにジャブジャブ国債を買い取ってどうするんだ。国債下落は日銀の経営にも大きく影響すると思うが、日銀は政府と一体だから倒産することはないらしい。

よく考えると、民主党政権でも決して悪くはなかったのだ。円安、株高への展開は時間の問題だったのだ。

今回の選挙では、私たちの身の回りを見渡し安倍政権の政策に「YES」と言うか、「NO」と言うかの判断と共に、健全な野党育成への第一歩とすべきではないか。

安倍政権、メデイアが作り上げた虚像ではなく自ら考え判断を下すべきだ。

そう考えると、決して楽な選択ではない。


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