2014年11月26日水曜日

政府の財政政策、成長戦略、日銀の金融政策に限界?:笛吹けど企業踊らず

内需拡大に出番だが
経団連
政府の財政政策、成長戦略、日銀の金融政策はすでに限界で「笛吹けど企業踊らず」の感がする今の経済情勢ではないか。期待感をあおり企業や消費者が一歩踏み出す気にさせることはなかなか難しい。それでも自民党は選挙で「日本全国隅々までアベノミクスの成果を」と更なる政策を掲げるし日銀は追加緩和までやってしまった。この状況下で脱デフレ、好ましい経済循環が確保できるのか。

各メデイアの世論調査のトップは雇用、賃上げ、社会保障が入ってくる。財政政策、成長戦略、金融政策→企業活性化→好ましい経済循環→税収増ですべてが解決できればいいが、そうはいかない。

経済界は成長戦略、法人税下げに期待するが国内市場が拡大しているニュースは見ない。逆に海外での生産設備の増強のニュースが見られる。貿易は比較優位の原則があるから、ただ円安になったからと言って今までの動きが急に逆になることなど期待できない。

好ましい経済循環にも内需拡大→インフレが必要だが供給過剰ではインフレは期待できない。「内需拡大」は今まで多くの政権が挑んだが、前川レポート、21世紀版前川レポートに見るように失敗だった。その要因に企業の儲けを家計に再分配することを企業が拒んだのだ。

そういう再分配のシステムができていないというのだったが、今でもデフレ下にあっても人件費のカット、合理化を進めて社内留保に努め、その金額は先には280兆円にもなると言われていた。

安倍総理は「津々浦々までアベノミクスの成果を」と政労使会議で経営者側に更なる賃上げを要求している。法人税下げを賃上げに回せという考えもあるようだ。

どうしてもアベノミクスの成果として家計収入の増加を挙げたいところであるが、消費税の8%への増税、円安に絡んでの物価高は賃上げよりも実質賃金のマイナス成長となり「アベノミクスの失敗」と攻撃されているが、安倍総理は雇用者総所得の指数を挙げて改善していると反撃するありさまだ。

何時まで続く 異次元の量的緩和
そろそろ出口戦略の話を
日銀本店
一方、日銀は先の決定会合で80兆円の追加緩和を発表し、市場はサプライズで受け止め株高、更なる円安に動いた。喜んだのは海外ファンドで儲けを独り占めの感じだが、苦しくなったのは原材料高に苦しみ中小企業であり、消費者だ。

それでも今回の選挙で自民党は「政策BANK」で300項目にあがる政策を提言している。「日本再生のためにはこの道しかありません」では、足元の経済改善に力強い景気対策、雇用・賃上げの増加にともなう経済の好循環、成長戦略実行、法人税改革、低コストのエネルギー需給構造の確立、人材の育成、行政改革、規制改革、観光立国、国土強靭化など今まで言われていた政策を網羅している。

日銀も先の決定会合での追加緩和決定には賛成5vs反対4での厳しい状況があったようだ。日銀系委員は賛成で、民間系委員は反対という構図だ。2%物価目標達成に向けなりふり構わぬ日銀の姿勢が分かるが、日銀の信任も考えてのことらしい。

消費税10%増税でのリスク回避もあるようだ。企業収益、賃上げに効果があるとでもいうのだろう。

でも、15年中頃までに2%物価目標が達成できなければ黒田総裁、岩田副総裁は首だ。朝日新聞(2014.11.26)によると、OECDは15年度の日本の成長率を0.8%と予測している。首は確実だ。

このように政府、日銀の政策が行き図まりその効果に限界が見えているが、自らがんばらなければならない経団連などはどう考えているのか。スーパーなど小売りががんばっている様子はニュースで見るが、製造業はどうなのか。

経団連のHPから「日本経済の発展の道筋を確立する 2014.1.20」を開いてみた。

その中に「成長をけん引する「6つのエンジン」」があり、(1)グローバル化を進める、(2)イノベーションを加速する、(3)国内の新たな需要を掘り起こす、(4)人材力を強化する、(5)成長の基盤を確立する、(6)立地競争力を磨く等を挙げている。

その中で、国内の新たな需要を掘り起こすを見る。

地域経済の活性化としては観光産業の復興、コンパクトシテイ・スマートシテイ―で高齢化、省エネ化により人・物・サービスの集積効果を高め、生産性を高めるとともに新たな需要を創造し産業の新陳代謝を促すという。

基幹産業として大きな役割を担っている農業分野では経営規模の拡大・効率化、6次産業化、輸出力の強化で収益性の高い農業経営を目指すという。

農業への企業参入で規制改革が必要になる。

また、大胆な規制・制度改革で新たな事業機会を創造していくことが重要で「国家戦略特区」「企業実証特例制度」「グレーゾーン解消制度」などのスピード感をもった展開が必要と言うのだ。

政府の政策と整合性されているようだがスピード感をもって内需拡大に効果がありそうな政策があるのか。

政府を頼らず、がんばっている企業の例がテレビ東京の番組などで紹介されている。

大事なのは経営者の意識改革だ。笑顔で満足感の滲んだ経営者の顔を見るとそう思えてくる。

確かに「仕事量は増えたが儲けはない」という中小企業の経営者のコメントを聞くとデフレ下の日本経済から抜け出ていないことが分かる。



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