2014年11月1日土曜日

日銀追加緩和で2%物価目標へ:需要はどこに? 供給過剰では物価は上がらないのでは

供給過剰では物価は上がらないと言うが、需要はどこにあるのか。日銀が31日の金融政策決定会合で追加緩和を決定、年80兆円にしてデフレからの脱却、2%物価目標を目指すと言うのだ。9人の政策委員のうち日銀や学者5人が賛成、民間出身の委員4人が反対したという。

黒田総裁の議長提案でサプライズになったようだが、2年で2%の物価目標に陰りが見え、黒田さんや岩田さんの首がかかってきたのでなり振り構わぬ手段に出たのか。

黒田総裁はデフレ脱却に強い姿勢を示す。記者会見では「デフレ下ではリスクを取った行動やイノベーションは起こらず家計も企業もデフレマインドを払拭しなければならない」という。

でも、家計の実質収入のマイナス成長が続き、円安は中小企業を苦しめ、国内設備投資は沈滞気味で海外へ移転した生産設備を国内に戻すことも難しい。

企業が国内投資しようにもどこに需要があるのだ。第16回経済財政諮問会議で榊原議員が「国内生産は「国内需要」プラス「80円でも利益が出る製品」に限定されている」と発言している。輸出も伸びない。円安になったからと言って直ぐには変わらないというのだ。

日銀は今回の追加緩和→企業業績がアップし、賃上げ→消費が上昇し→物価高の「良い経済循環」を目指しているのだろう。

でも、このサプライズ決定で円安が進み1ドル112円20~30銭台までになった。

最近の物価上昇を日銀は単なる円安によるものではなく、日銀の量的・質的金融緩和の成果だと言ったことがある。今回も円安で物価が上がる「悪い経済循環」進むと思うのだが、プラス面もあればマイナス面もあり全体でプラスなら良いと思っているのだ。

しかし、いま原油価格も値下がりし2%物価目標達成が危ぶまれた。失業率など他の経済指標も良くなく、消費税再増税にも黄色信号が灯ってきた。それに先手を打ったことで政府は日銀の決定を評価しているが、黒田総裁は無関係を主張した。
日銀はこの決定により年に60~70兆円から80兆円へ追加緩和をしたのだ。そのジャブジャブしたおカネはどこに行っているのか。投資などの実体経済ではなく、投機に走っているとも言われている。金融バブルが心配されているし短期国債ではマイナス金利が発生した。

「副作用に要注意」になってきた。

金融緩和は非伝統的金融政策で時間稼ぎと言われている。米国は量的緩和を終了し金融政策の正常化を目指し利上げが課題になってきた。

一方、日銀は量的緩和真っ盛りである。難しい舵取りが要求される。今回の追加緩和は年明けとみられていたので大きなサプライズとうけ止められ112円台への円安、株価も750円高の16400円台までになった。

しかし、消費を上げるには家計収入を上げることだ。若い者が結婚し子どもを作ることのできる年収、安定した雇用を確保できることではないのか。労働環境の改悪は禁物だ。

高齢者をいじめてはいけない。若者は年収が上がっても消費を控えているが、高齢者は年収が減っても消費を続けているのだ。

日銀の金融政策に頼りすぎる経済運営は危険だ。


0 件のコメント: