2014年11月19日水曜日

安倍総理の21日解散表明:長期政権へ「大義なき」解散権の乱用

安倍総理 解散記者会見
2014.11.18 NHKニュースウオッチ9
21日の解散表明は、安倍総理の長期政権を目指した「大義なき」解散権の乱用ではないか。誰が内閣に何の不信認を突き付けたのか。総理の解散権と言う専権事項は衆議院の内閣不信任決議権に対し可決された時に解散するか、総辞職するかの選択をするのだ。総理のご都合で解散権を行使するのは乱用としか言いようがない。

自らの政権の評価として株価と支持率を気にしているが、沖縄県知事選、那覇市長選で敗北し、続く統一地方選、次に国会での重要法案の審議を考えると支持率が上向くテーマは全くない。いま、株価も「増税先送り」で高値を更新しているようで、今しかチャンスはないと思ったのだろう。

記者会見では、増税は国民に重大な決断を迫るので国民の信を問うと言うが、「増税を18ヶ月先送りする」と言うことは国民に負担をかけることを先送りするのだから何も解散・総選挙で信を問うことはないのではないか。

それよりも増税先送りで社会保障の改革が出来なくなったこと、自民党が公約したことを実施できなくなったことに対して国民が許してくれるかどうかを問うのか。

また、自公で過半数が取れなかったときには退陣することは当たり前のことだろうが、社会保障とと税の一体改革法案での景気条項である附則第18条を削減し、必ず増税を実施すると言う。これから世界経済がどう動くのか分からないが、今以上に経済状況が悪化した場合も必ず増税すると言うことの危険を感じないか。

この安倍総理の解散表明に対して野党は挙って、「大義なき解散」「何故、今解散か」と反論するが安倍総理には通用しない。

安倍総理は政権の生命とも言えるアベノミクスに大きなウェートを置いているのだ。G20などの国際会議では「私のアベノミクスで日本は、脱デフレを目指している」とデフレが心配されている欧州は参考にしろとでも言いたいようだが、海外では「日本のリセッション」を危惧されている。今回の2期連続のマイナス成長は、「それ見たことか」という感じではないか。

最近は特にアベノミクス批判本が出版されているし、エコノミストの「アベノミクス失敗」の論陣が増えてきた。安倍総理にしてみれば気がきではないのだろう。

今、アベノミクスを評価しているのはクルーグマン教授位だ。

18日の夜は多くのニュース番組が安倍総理との対談を組んでいた。

アベノミクスの評価について、安倍総理は細かな経済指標を上げて、民主党政権時に比べて改善された数値を上げて説明していた。いかにも「経済の好循環」をアピールしたいのだろうが、キャスター、コメンテーターも反論できないほど、次から次へ数値が飛び出す状況は異様だった。

雇用も改善し失業率は良くなり、雇用者所得は上がっている。賃金も企業収益が上がったので伸びていると言うが「実感が湧かない」ことに関しては、その点も国民に信を問うのだという。

しかし、今回の解散の決断には他の要因もあるのではないか。誰が内閣の何に不信任を表しているのか。

「増税先送りの」の判断をしたが、野党は「アベノミクスの失敗」を追求するという。

財務省、自民党税制調査会など増税推進派も反安倍の動きをしている。

国会内外でアベノミクス批判が高まってきた。

内閣改造後に「政治とカネ」の問題が閣僚間で多発し、小渕、松島のW辞任でも跡を絶たず安倍総理の「任命責任」が高まっている。

更には自民党内の反安倍の動きも出て来た。先の総裁選でが予備選で第2位だった安倍さんが決戦で第1位になり総裁→総理の道が出来た。立候補に当たっては長老などが「辞退しないか」との動きもあったようだ。しこりが残っているはずだ。

そして、対抗馬をことごとく内閣に取り込みポスト安倍の芽を押さえにかかった。改造内閣では干された派閥もある。

安倍総理のスタート時はアベノミクスの3本の矢で円安、株高と一定の効果を上げたために反安倍勢力も音なしの構えだったが、批判が出て来た今、反安倍派の動きも活発になってきたのだろう。

このままでは、狙っていた長期政権も覚束なくなり、二進も三進も行かなくなり、国民に信を問うてこの難局を打開しようとしているのではないか。

自公で300議席を確保できる今、自己中心の解散・総選挙の暴挙に出たのではないか。

「大義なき」解散・総選挙と言うが、「国民が安倍総理にどんな判断を下すか」と言うことの他に「野党がどうみられているか」にも大きな関心がある。










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